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◼︎「国際法をふりかざしても無駄」 ゲスト 評論家 中野剛志(西部邁ゼミナール)

◼︎「国際法をふりかざしても無駄」 ゲスト 評論家 中野剛志(西部邁ゼミナール)

評論家 中野剛志
【近著】佐藤健志 中野剛志共著『国家のツジツマ』ー 新しい日本への筋立て(VNC新書)

【ニコ動】
西部邁ゼミナール)国際法をふりかざしても無駄①2014.05.11


世間では「経済評論家?」と見られている中野剛志。だが、スペシャリストではなくジェネラリスト。政治や歴史、哲学に至る範囲のことを広く論じている。

北半球の反対側で、現進行中の「ウクライナ紛争」や、日本のすぐそばで次第に深刻味を増しつつある「尖閣問題」などを視野におきながら、【ナショナル・テリトリー】、つまり、領土の問題を巡って法と力が互いにどう関わっているのかを論じる。

ただし、領土についての話は単に【テラ】(terra:土、大地、陸地)、つまり土地のことだけでなく、経済・政治・文化の全般におけるナショナルなものに強く関係してくると思われる。

僕、最近人から聞いたのですけどね、テレビにチラホラ出るある若者が・・・

「もしも戦争になったら自分は逃げるんだ」

ということを公言して憚らない。

[*もしも戦争になったら自分は逃げる・・・]

僕は男で、あなた(小林麻子)は女ですけども、女としてこういう発言はいかがお感じになる?

小林麻子
恋人が襲われたり、殺されそうになっても、サッと逃げてしまうような・・・

すたこら逃げてしまう?(中野:ニヤニヤ)まぁそういうことなんでしょうね。

僕も小さい声で言う。僕も臆病者だからね、あなた(小林)が僕の恋人だとしたら、いざとなったら相手が爆弾もナイフもみんな持っているとなったら、そしたらね・・・逃げる可能性がなきにしもあらず、と認めるけども、「僕は逃げまーす!」なんてことを最初から言うね。

自分のことなんですよね。自分に恋人がいるかもしれない・・・たぶんいないんでしょうけど、いるかもしれない(笑)

中野剛志
(吹き出す。笑)

子供がいるかもしれないとか、あるいは、息子の嫁がいるかもしれないとか、同胞の友人がいるかもしれないという。

【「他人のことは考えない。」】

自分というか、小さい声で言うけど、『てめえのお命のことしか考えないから、(自分は)逃げます、ということを自慢気に言える』と。そういうことなんだろうね(呆)

中野剛志
(西部に向けて)考え方が「古い血」なんじゃないですか?(笑)・・・あっ、やべえwww

(困惑顔で俯き加減に)・・・苦笑。古い血というか、古い人はもっと立派でしょう(笑)

中野剛志
(笑)

国防問題、安全保障問題、あるいは国際秩序の問題ですけどね。

集団的自衛権?』 日本がね、集団的自衛権の行使を認めるかどうかということで。どうもね、「認めない!」という人たちがね昔からいるんですけどね。

具体的に言うと『日米』ですけどね、日米の関係をとった時に、「認めない」という人たちは『戦争に巻き込まれる』というね。アメリカが仕掛ける戦争ね、かなり「侵略戦争」が多いのですけどね、歴史上ね。これに巻き込まれるからやめましょうと。

ところがね、いま安倍政権その他で「集団的自衛権を認めるべきだ。憲法解釈もそのように明確に変えるべきだ」と言ってる人たちは、『こうしないと、アメリカから見捨てられる』というね。

どうもねこれ(A)と これ(B)の戦いみたいなんですね、分かりやすく言うと。

(A:集団的自衛権の行使反対:戦争に巻き込まれるのが嫌)

(B:集団的自衛権の行使を認める:さもないとアメリカから見捨てられてしまう)

自分の国が、もしもしっかりしていればですよ、例えばね、アメリカがやる「とんでもない戦争」にはね、『これはこうこうこういう理由で(集団的自衛権を)行使しません、参加しません』と言えばいいだけのことであって、こっち(B)の方も最初から「アメリカ頼み」でね、『私たちを助けてくださいね』ということでしょう?

リップサービスでですよ、「俺たちが守ってやるからな。(by オバマ)」みたいなことを言うかもしれない。いざとなったら「それはお前らの問題だろう」と。「なんでそんな情けない国のために、我がアメリカの青年たちが、命を血を流さなければいけないのか」と、こうなるに決まっているでしょう?

中野剛志
そうですね。

この(AとBの)対立そのものがね・・・先ほどの「古い血」か「新い血」か・・・忘れたけども(中野に向かって、お返しと言わんばかりに、頭に手を乗せておどけてみせる。笑)

中野剛志
ニヤニヤ。小さい声で言ってくださいよ(笑)

小さい声だったか・・・(笑)

一同爆笑!!

この対立自体が本当に子供っぽい。

1951年にサンフランシスコ講和条約、同時に日米安全保障条約が出来てから63年間・・・(中野:そうです。)こんなことをやってるんだぜ。

中野剛志
でも、そろそろ「子供の議論」を続けたくても出来なくなりつつあるのが、尖閣を巡る問題ですよね。

まぁ、(A)こちらでは「集団的自衛権の反対」する人は「アメリカの戦争に巻き込まれるから嫌だ」という。(B)賛成する人は、せいぜい「(そうしないとアメリカに)見捨てられる」と。

いま起きていることは、アメリカが(尖閣を)守ってくれるという話が怪しくなってきて、尖閣は中国に狙われている。武力衝突が起きると、アメリカが日本を巻き込んで、防衛しなきゃいけないのだけども、アメリカが『嫌だ』と言っていると。ハッキリと『嫌だ』と言ってしまうと、日米同盟もひっくり返ってしまうので、四の五の四の五の言っている。

日本が尖閣に対して統治権というか「管理権」(※「施政権」のこと)を持っていることは認める。がしかし、領土権(※「領有権」)ね・・・

【「尖閣の領土が日本のものか中国のものか、それは知らん!」by アメリカ】

と言っているのね。

[*アメリカの立場は一貫して、尖閣についての日本の「施政」は認めるが、「領有」については日本側・中国側のどちらの立場も取らない。日中双方が話し合いで決めるべきこと、とずっと言い続けてきている。]

1971年頃になるのかな、要するにアメリカと中国が国交回復に入ったでしょう?

[*「参考」以下、矢吹晋が以前、西部ゼミ出演時に「米中結託と尖閣問題」について語ったもの

沖縄返還協定はですね、71年の6月17日に調印しました。で、その2ヶ月前の「4月になにがあったか?」【ピンポン外交】ですよ。(※世界卓球選手権の裏で)

それから、その調停の一ヶ月後に、【キッシンジャーの隠密訪中】があったわけです。それで10月に、国連の代表権が、【台湾の蒋介石から北京へ変わる】んです。

ですから、1971年の「沖縄返還の年」というのは、特にこの年の4月〜10月までというのは、戦後の冷戦体制がガラッと変わる。ベトナム戦争を終えるために、キッシンジャーは中国へ行くんだけども)【米中結託の第一歩】がそこで出来た。そういう年である。

で、その時に「蒋介石」は、「日本に尖閣を返しては困る」とだいぶニクソン大統領に噛み付いて、最後には引導を渡すわけだけども、その時に蒋介石は何と言っているかというと・・・

『アメリカに裏切られた、、、』

「アメリカはいろんな事を言っているけども、これはリップサービスだ」と蒋介石は日記に書いているんです。そういう日記が出てきた。

日本の方も調印の一週間前に、パリにてロジャース国務長官と愛知揆一外務大臣とが、最後の詰めの交渉をやっている。そこで・・・

尖閣は日本に返すけども、それは「施政権だけ」を返すのであって、主権、領有権については返すのではない。これについては台湾側とよく話し合ってくれ!』と。

ケネディ特使が、当時、東京にきたり台北に行ったり、ソウルにきたりしてるんだけども、ケネディ特使は「(尖閣を)日本に返すのはやめろ!」と、ニクソン大統領に言っているんですよ。で、台湾との間でこんなにトラブルになっているのだから、このトラブルが解決してから返せ、と「それまではアメリカが預かりだ」と、ケネディ特使は言っていた。その方がいいとケネディが言っていた記録がはっきりと出てきています。

ですから、私は、日米安保がなんか守ってくれるなんてのは【全くの嘘】だと思いますね。

まず「尖閣」について言いますと・・・

❶【主権が日本にあると認めていない】わけだから、守る理由が無いわけです。

❷それからあぁいう小さな島は「自衛隊が守りなさい」という事が決まっているんですよ、日米2+2協議で。

❸さらに、安保条約の範囲には確かに含まれるけども、安保条約が発動するまでには『米議会による手続き』が必要になるわけで、絶対に米議会は通らない。

「何で、あんな無人島の為に、核を持っている中国と構えなければならないのか?」と。そんなことはありえない。

▷本編に戻る]

その時に【蒋介石】が、「アメリカよ。俺たち(台湾)を見捨てて、大陸と付き合うのか?」と、抗議をする。

その時の蒋介石・台湾政権は「これ(尖閣)は自分たちのものだ!」と言って、アメリカに抗議をした。その時にアメリカがね、適当に誤魔化すために・・・

「(尖閣の)領土については台湾のものかもしれないが、俺たち(アメリカ)は、それにはこだわらない」と。

それで、(尖閣の)統治権・管理権は日本にあるから、可能性として一応、日米安保の範囲内にある、とそれを言ったのは【アメリカ】なんですね。(中野:そうです。)

そしたら今度は台湾はね、「台湾は中国のものだ!」となると、『実は尖閣もだ!!』となって、こういう種(火種)を蒔いた責任者はひとえに【アメリカ】なの。

オバマ大統領が言っていることだってね、確かに管理権・統治権は日本のものだと言っているけども、よく読むと・・・(中野:そうですね。)もっともっとズルいことを言っているんです。

中野剛志
4月24・25日に日米首脳会談と、そのあと日米共同声明が出ました。で、その時の論点は二つあって、❶一つは「安全保障」で、❷もう一つは「TPP」ということになっているのですが、今日はもう『TPPの話は飽きた』ので(笑)安全保障の話を。

その時、日本側の狙いは当然『安保条約は尖閣にも適用される。その際に、中国が攻めてきた時には日本だけではなくアメリカも出てくる』のだということで、中国を牽制したかった。それが目的だったんですね。

報道によれば、日米共同声明において、「尖閣日米安保の対象である《明記》」というのがヘッドラインで踊ったですけども、これがいろんなカラクリがあって・・・

[*4月25日 日米共同声明(抜粋)

日米両国は,開かれた海を依り所とするグローバルな貿易網を有する海洋国家として,航行及び上空飛行の自由を含む国際法の尊重に基づく海洋秩序を維持することの重要性を強調する。日米両国は,事前に調整することなく東シナ海における防空識別区の設定を表明するといった,東シナ海及び南シナ海において緊張を高めている最近の行動に対する強い懸念を共有する。日米両国は,威嚇,強制又は力による領土又は海洋に関する権利を主張しようとするいかなる試みにも反対する。

・・・日米両国は,南シナ海について,関係国が自らの海洋における権利の主張の根拠を国際法に合致する形で明らかにするよう求める。

・・・日米両国は,南シナ海における海洋の紛争を解決するために国際的な仲裁を含む外交的及び法的な手段を用いることを完全に支持する。

日米両国は,両国が直面する共通の安全保障上の課題を踏まえ,日米防衛協力のための指針の見直しによることを含め,日米安全保障協議委員会の指示に従い,日米の安全保障同盟を強化し,現代化している。米国は,最新鋭の軍事アセットを日本に配備してきており,日米安全保障条約の下でのコミットメントを果たすために必要な全ての能力を提供している。これらのコミットメントは,尖閣諸島を含め,日本の施政の下にある全ての領域に及ぶ。この文脈において,米国は,尖閣諸島に対する日本の施政を損おうとするいかなる一方的な行動にも反対する。//抜粋終わり]

(※上記の「日米共同声明」の抜粋文章の特に「赤字」部分を留意されたし)

中野剛志
(先日の安倍晋三首相、オバマ米大統領との)日米共同声明でなんと言われたか。赤い字で強調してありますが、確かに「日米両国は,威嚇,強制又は力による領土又は海洋に関する権利を主張しようとするいかなる試みにも反対する。」とか書いてありますし、一番下になりますが、「これら(日米安保)のコミットメントは,尖閣諸島を含め,日本の施政の下にある全ての領域に及ぶ。この文脈において,米国は,尖閣諸島に対する日本の施政を損おうとするいかなる一方的な行動にも反対する。」と書いてあると。

従って、これは『中国を牽制する意味なんだ』ということで喜んだのですが、私珍しく「日米共同声明の全文」を読んで、《幾つか面白いこと》に気づいたんですね。

❶まず一点目なんですけども、これは驚くべきことにですね、『中国』という言葉が一回しか出てきていない。

確かに(声明が綴られた文章の)下の部分にあるように「尖閣諸島」とか書かれていたり、「東シナ海」「南シナ海」のことが書いてあるのですけども、(露骨に)【中国を名指ししていない】のですよ。

クリミアを併合した「ロシア」や、「北朝鮮」については名指しで非難している。ところがその文脈で、【一切、中国に対する批判が無い。】

それどころか、そういうい諸問題について、【「日本は、アメリカそして中国が協力して対応すべきで、その意味で中国との建設的な関係を築くべきである」】と。むしろ非難どころか、その逆のことが中国について書いてあります。

防衛識別圏問題とか尖閣の問題とかいろんなことが書いてあるのですけども、そこのところではうまく、まぁここ(※上記の声明)に書いてあるように【中国を名指しすることをうまく避けている】んですね。

❷もう一点目が、「尖閣諸島を含め,日本の施政の下にある全ての領域に(安保が)及ぶ」・・・この『施政』つまりその・・・【「主権」とは言わない】んですね。

で、これはオバマ大統領が記者会見において、記者の方から「今回、尖閣について踏み込んだ発言をしましたね」と言ったんですけど、オバマ大統領は実はそれを【否定】していて、言ったけども、アメリカの立場は別に新しいものではない。『前からずっとそう言っているじゃないか』と。その「立場」というのは・・・(※下記参照)

[*日米共同記者会見 オバマ大統領の発言(抜粋・拙訳)

⑴「米国の立場は新しいものではない。かつてヘーゲル(国防長官)やケリー(国務長官)が訪日した際にも、米国の一貫した立場を表明した。《米国は尖閣の主権については特定の立場をとらない》が、尖閣は歴史的に日本の施政の下にあったし、一方的な変更はすべきではないと考える。日米同盟に一貫しているのは、安保条約は日米の施政の下にある領土に及ぶということだ。従って、何も新しいことはない。これまでと一貫している。」

⑵「第一に、日米安保は私が生まれる前からあったのだから、これは明らかに私が引いた『レッドライン』ではない。日米同盟の多岐にわたる執行に関する単なる標準的な条約の解釈だ。
立場の変更はない。『レッドライン』は引かれていない。我々は単に条約を適用しているだけだ。」//抜粋終わり]


中野剛志
米国は尖閣の主権については特定の立場をとらないが、尖閣は歴史的に日本の施政の下にあったし、一方的な変更はすべきではない」

安保条約は日米の施政の下にある領土に及ぶということだ」

どういうことかと言うと、どっちの『主権』になるかというのは「国際法上の問題」なんですが、「日本の施政の下にある」というのは、『単に日本が(尖閣を)実効支配している』という事実の問題、政治的事実の問題を言っているだけで、従って、皮肉な言い方をすると、【日本は尖閣を法的に支配しているのではなく「力による支配」をしているということです。】(西部:アッハッハー。笑) アメリカはそう言っているに等しいんですね。(西部:そうねぇ。)

そう考えると、先ほどの日米共同声明に「日米両国は、〜力による領土又は海洋に関する権利を主張しようとするいかなる試みにも反対する。」と書いてあるんですけど・・・ぷぷっ(吹き出すw) これは、穿った見方をすると、アメリカからすると、【「日本も力による領土の権利を主張しているので、それに反対している」ということになってしまう】という。

そういうことね。このね【実効支配】の問題。英語で言うと「Effective Control」直訳すると「効果的制御」という意味になるんですけど、実際上はね、安倍政権も、実は実効支配尖閣に及んでいるんだと。ただ、具体的に「実効支配」について何をやっているのかと言えば、海上保安庁の船が時々(尖閣周辺を)回っていましたとか、昔の話ですけども、「鰹節を作る工場」があったこともあります、という程度のことで、実際上のことを言うと、日本はね【日清戦争】(1894~95年)、1895年あたりから「(尖閣は)日本のものだ」とドサクサに紛れて宣言して、(当時の)国際社会も(それを)暗黙。何も抗議しないから。

そういうふうなことが積み重なると、【「国際法」とはいわば暗黙の了解の積み重ねが中心】なんですよね。国際法上、日本のものだということになっているけども、『日本が実効支配はさほどしていない』のね。(中野:うん。)非常に(実効支配力が)弱い。逆に言うと、【実効支配を日本がしっかりやっていない】から、まったくそれをやっていなかったのが【竹島】ね。だから、韓国の実効支配によってものになっているわけさ。(中野:そうですね。)

尖閣もね、非常に弱い実効支配しかしていないことに乗じる形で中国が、(中野:そうですね、そうですね。)「俺のものだ!」と。

国際法と言うけれど、俺たちの身になれ。日清戦争の時は清王朝がめちゃくちゃで、その後の内乱が起こって、その後の文化大革命が起こって、我が国(中国)は、他のことで大あらわで大忙しでそこに手が回らなかっただけで、昔から尖閣は俺のものだと思っていましたよ」という(中国の言い分)のは理屈上成り立つわけですね。(中野:そうですね。)そういう中で、「現状の力による変更は許されない」と安倍さんが発言し、これね、アメリカのことを受けてでしょうけども、それでいいと思っているんだ。

『現状の力による変更は許されない』一見まともなようですけどもね、物事を綿密に考えていないことの証拠だと思う。領土の国境線というのは、実は、17世紀の『ウェストファリア条約』以来ね、「現状」ラテン語では「Status quo」というらしいけども、「現状はこうだから、ここは(小林)麻子ちゃんの領土、ここは中野くん」とこうなって、つまりね、【領土そのものは「現状の力関係の確認」】なのね。(中野:うん。)

ところが、その「力関係」にさ、皆がこぞって賛成しているわけでもないわけさ。つまり『法と力を分断』してね、なんか純粋な『法の支配』というものがあるんだという、これおそらく安倍さんのせいでもなくて、特に【戦後】だね。

法というものを憲法をはじめとして、簡単に言うと、『アメリカという王様から頂く』でしょう。これは絶対のもので、人から頂戴した法が「絶対のもので、これに従いましょう」というね。戦後日本人に(それが)あるもんですからね、『力の問題を抜きにした純粋な法の支配というものがある』として、これが現内閣(安倍政権)いい、そしてあらゆる新聞が「それでいい」としているのね。

中野剛志
そう。尖閣の場合で言うと、国内の法律じゃなくて、【国際法】というのはどういう意味か。尖閣を例にとると、尖閣の主権というのは、まず日本が実効支配をガンとして「力」でやった上で、かつ、他の国々が、『そこは日本の領土です』と認めると、国際法上の権利が生じるというのは、大雑把に言うとまぁこういうことなんですね。

ところが、いま「尖閣の場合」は、『日本の実効支配は極めて弱い』、まぁ一応はあることにはなっていると。で、日本の(尖閣の)「主権」について、【アメリカは認めていない】んですね。

中野剛志
日米共同声明、実は東シナ海(の尖閣)は、日本はもちろん、国際法上の日本の主権だと言っていますが、アメリカの立場、それから中国の立場は、『東シナ海尖閣諸島は「日本が力による支配をしている」ことになっている』わけですね。

いま中国との関係で領土の紛争が起きているのは、「東シナ海」と「南シナ海」、南シナ海というのは、中国とフィリピンとの間で問題が起きているわけですね。(※そしてベトナムも)そこで、東シナ海南シナ海の両方について、日米共同声明で言っているのですよ。この共同声明見て初めて気付いたのですけども、東シナ海南シナ海について書いてあると思いきや、この途中からですね・・・

日米両国は『南シナ海』について、関係国が自らの海洋における権利の主張の根拠を国際法に合致する形で明らかにするよう求める。」

つまり、国際法上の問題として権利を解決せよ!と言っているのは『南シナ海について』なんですが、ここから【東シナ海は落ちている】んですよ。ということは、アメリカの立場は、『東シナ海の領土紛争は、日本は力による支配をやっているけども、フィリピンと中国の争いについて、あれは国際法上の権利の争いである』と(東シナ海の紛争と南シナ海の紛争とを)【区別をつけている】というですねぇ。私もこれ(声明)を読んで初めて気付いたのですけども。

ビックリするねぇ〜。

中野剛志
ビックリビックリする!!こういう解説が全くされていないのですね。

いやぁ〜僕も初めて知った。
もう一度言うと、南シナ海ね。フィリピンやベトナムと中国との争い、それについては、いわば「国際法上の確認がある」というふうにアメリカは思っていて、従って、主権はフィリピンやベトナムに(アメリカは)有るとする。

ところがね、尖閣東シナ海)については、国際法上の主権問題というのは「領土主権」ね。これについては【不問】に付していますからね。

中野剛志
言い方を変えると、南シナ海のフィリピンと中国の対立で、アメリカの立場は「フィリピン側に寄っている」としたら、尖閣に関しては、もっと「中国寄り」になっちゃっているんですね、アメリカは。という方法的な権利を認めていないので。恐ろしいことになっている。

酷いことになるね。これは安倍政権だけじゃなくて、その前の民主党の野田政権の時もみんなそうですけどもね、もう、なんとかの一つ覚えのようにしてさ、『尖閣は日本の固有の領土です。国際法上の問題は存在しない』と。

【固有の領土】という考え方ね。これ英語だと「inherent(固有の)」と言うんでしょうけどね、ハッキリ言いますけどもね、固有の領土なんてことは、もちろん言葉ですから文脈に応じますけども、アッサリ言うと【存在するわけが無い】んですね。

数十年、数百年に渡る【領土を巡る力】ね。力だけじゃないんだけども、軍事力を中心とする、あとは経済力だ、文化力だ、その他の押し合いへし合いの中で『Status quo=現状』がだいたい決まってきて、それを国際社会も「そんなもんだよな」ということ。「法」的に認める場合もあればね、単に「慣習」というか「常識」として認めると、両方あるんですけどね。

そういうことで(領土は)決まることであって、もともと「固有」というね、「インヒアレント(inherent)な領土」なんてのはあるわけが無い。(中野:無いですね。)だからこそ、『実効支配をそれなりにしっかりやっていないと、いつ何時に、他人のものに移る(奪われる)かわかりませんよ』という、そういうことすら分からずにね。

僕ね、政治家というより、だいたい日本のお役人(官僚)は何を考えているんだってね、この場合は外務省ですけどもね。

中野剛志
じゃあ、いよいよその「尖閣について、安保条約が適用される」ということの意味を、もう一回確認したほうが、だんだんよくなってくるわけですね。

オバマ大統領の記者会見の発言で、CNNだと思いますが、記者がですね、「もし、中国が尖閣に軍事侵攻をやったら、武力行使をするのか?」と。「守るのか?」と。

つまり、もし変なことを中国がやったら、アメリカは許さないぞ!という、いわゆる「これ以上の一線」・・・『レッドライン』を引いたのか?という趣旨の質問をしたら、オバマ大統領はそれを否定した。そのセリフがこれで・・・

日米安保は私が生まれる前からあったのだから、これは明らかに私が引いた『レッドライン』ではない。日米同盟の多岐にわたる執行に関する単なる標準的な条約の解釈だ。立場の変更はない。『レッドライン』は引かれていない。我々は単に条約を適用しているだけだ。」と。

条約を読んでみる必要があるんですが、【日米安保条約 第五条】というのがありまして、これが「適用される」ということになっているんですね。

[*日米安全保障条約 第五条(要約)

各締約国(日米両国)が、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続きに従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。

前記の武力攻撃及びその結果として執ったすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従って直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し再び維持するために必要な措置を執ったときは、終止しなければならない。//

中野剛志
この要約においては、『日本国の施政において「アメリカが守ってくれる」ためには、3つの条件が書いてあるんですね。

この要約においては、「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃」があった場合には、「自国の憲法上の規定及び手続きに従って対処する」と。//抜粋終わり]

アメリカが守ってくれるためには「三つの条件」が(安保5条に)書いてあるんですね。

❶まずこの真ん中に有る『武力攻撃』ですけど、実は武力攻撃というのは。軍人が攻撃してきたら武力攻撃なんですけども、例えば、中国の漁民が1万人押し寄せてきて、実は「人民解放軍兵士です」みたいな場合は、彼らが上陸してきたら、実は『武力攻撃に当たるかどうか分からない』ということがあるんですね。

現にね、これまでいろいろ漁船が(尖閣に)近付いたり、一旦上陸したりしているけども、その(漁民であると言われる)かなりの部分が、実はその「解放軍の兵士が姿を漁民に代えているんじゃないかと説が、香港だろうが東京だろうがずっと。

だから、いま(中野が)言った話になるわけね。

中野剛志
例えば先般も「クリミア半島」をロシアが併合する前に、クリミア半島に【謎の武装集団】が(西部:笑)いっぱい乗り込んできた。それでロシアは「ロシア軍じゃない」と言っているわけですけども、誰が見ても「ロシア軍」なわけですね(吹w)

この点はですね、政府与党も重々承知していて、オバマ大統領の来日直後に石破茂自民党幹事長がホームページでこうおっしゃっていて・・・(※以下参照のこと)

[*4月25日 石破茂自民党幹事長のHP(公式ブログ)より抜粋]


オバマ大統領の来日で、尖閣有事に対する米国の関与が明確になり、TPPも前進が確認されました。注意すべきは、米国の関与があくまで有事におけるものであること、きっと米国が何とかしてくれるという思いで、我が国自身の防衛努力を怠ることがあってはならないことです。「急迫不正の武力攻撃」に当たらない主権の侵害、いわゆる「グレーゾーン」に対応する、国連海洋法条約に沿った国内法制が未整備なのは我々国会の責任です。早急な対応をしていかなくてはなりません。//抜粋終わり]

中野剛志
「きっとアメリカがなんとかしてくれるだろうと〜防衛努力を怠ってはいけない」と。「いわゆる『グレーゾーン』というのがあるから〜」、漁民が押し寄せてくるというのは、まさに【グレーゾーン】ってやつですね。武力攻撃かどうかわからないんですよ。

もしですね、武力攻撃かどうかわからない、漁民がいっぱい押し寄せて来て、追い払うことが出来ない、でいつまでも(尖閣に)居座る、そうすると、尖閣諸島は中国が実効支配をやることになる。そうすると、(日本の尖閣における)【施政の下から外れる】わけですね。【日米安保は、日本の「施政下」にあるから適用される】と言っているけど、もし、中国漁民の施政下に入ったらですね、【安保の適用から外れてしまう】というのがある。

さらにですね、ここ(日米安保 第五条)にですね、『自国の憲法上の規定及び手続に従って〜行動する』と書かれているんですね。つまり、アメリカが軍隊動かすためには、【アメリカ合衆国憲法】とか【アメリカの国内の手続】が必要だと言っている。つまり、『武力攻撃が中国から日本に対してあったら、自動的に米軍が出動してくれるんじゃない』んですね。

実はアメリカには、1973年に【戦争権限決議】という決議が行われていて、これは何かと言うと、大統領が例えば「攻撃」「武力行使」を言ってもですね、確か、『60日間以内に議会の承認』が無ければ軍隊を引き上げなければならないという。つまり、大統領が「ベトナム戦争」とかいろいろあったので、勝手に暴走しないようにという、そういう規定なんですね。

[*「補足」1973年の米国における『戦争権限決議』について

▷【戦争権限法】は、アメリカ合衆国大統領の戦争に関する権限を明確にするための立法

1973年戦争権限法(War Powers Resolution)

1973年に成立した両院合同決議であり、アメリカ大統領の指揮権に制約を課すものである。この法律はニクソン大統領の拒否権を覆して(両院の三分の二以上の賛成による再可決)により成立した。

①事前の議会への説明の努力、②事後48時間以内の議会への報告の義務、③60日以内の議会からの承認の必要などを定めている。「ベトナム戦争の反省」から、制定された。]

中野剛志
で、この『戦争権限決議』というのは、実効性が疑われている面もあるんですけども、でも実は、去年の8月に「シリア」で化学兵器が使われた時に、オバマは「武力介入する!」と言ったんですね。(西部:あ〜そうか。あの時ね。)その時、『オバマは議会の承認にかけた』のですよ。そしたら議会の承認が得られる見込みは非常に低くなったと。で、結局、(武力介入を)断念したという経緯があって。

例えば、大統領の支持基盤が弱かったり、今みたいに、アメリカが戦争したくない気分でいる時には、たぶん、【議会の承認にかける】ので、そこの『議会の承認で否決される』ということがあるわけですね。

こういうふうに言えるね。『(議会で)否決されることが見込まれる時には、そもそも(米軍を)出動させない』ってことね。

中野剛志
そういうこともあり得るということです。

で、シリアの武力攻撃はやらなかったんですね。その時、実はオバマはですね・・・

化学兵器をもしシリアが使ったら、アメリカは軍事介入するからな!』

と言った、その時に(オバマは)それをなんと言ったか・・・【レッドライン】と言ったんですね。

レッドラインを引いたのだけど、引いたにも関わらず「攻撃しなかった。」 それで、今回(尖閣のケース)は、(日米共同記者会見において)『レッドラインも引いていない』と言っているんですね(笑)

ハッハッハー(笑)

中野剛志
尖閣については、レッドラインすら引かなかった』と、まぁ〜こういうカラクリで。

尖閣には、安保は適用されます!」という言葉が明記されたと、みんなで喜んでいるんですけども、その程度の話なんです。(小林の方を見て)

小林麻子
そうかぁ。

日本側から言えば、『穴ボコだらけ』のね。(小林:うん。)恐らく、アメリカは実際には『何もしないだろう』ということを十分に思わせるような共同宣言しか出ないのに、実はね、それはいわば【人質】にされて、今日、中野先生は(TPPについて)発言されないけども、TPPその他でね、【ものすごい妥協】を裏で強いられているというね。

ところが、以前として日本人がやっていることは、『アメリカが助けてくれるハズだ!』と。(小林:あらぁ。)アメリカはもう手を代え足を代え【助けませんよ!!】と言っているようなもんなんですよ。(小林:そうですね。)

中野剛志
でしかも、この後、日本を経って、韓国にいったオバマ大統領は、朴大統領と記者会見をやって、その時に報道によればですね、『従軍慰安婦の問題は甚だしい人権侵害だ!』と言い、その後、アジア歴訪で、フィリピンに行ったんですね。フィリピンのマニラで、そこでなんと言ったかというと、『今回の歴訪の目的は中国の封じ込めではない』と言ってるという(吹w)

日本のいわゆる「左翼陣営」がね、ペケ(×)だということは明々白々なんだけど、【自称保守】と言われている陣営もね、いま中野さんが言ったことにね、もちろん思いっきりの阿呆じゃありませんからね、少々気付いている。ところが、【日米同盟論者】たちは、どういうふうに言い逃れるかというとね・・・

「今のオバマ民主党政権が悪いからだ!」と。

中野剛志
(渋い表情で)あ〜あ。それじゃぜんぜんダメだ(落胆顔)

「共和党政権になれば、アメリカは助けてくれるハズだ。だから、日米同盟でいいんだ。」というね、そういう言い逃れるをね、本気なのか口先合わせなのか分からないけども、そこまで我が国民の水準が落っこちているってことなんですね。

「戦争になったら、逃げちゃえ!逃げちゃえ!」という人も、青年諸君には発生しているのも無碍なるかなで。

ところがね、逃げるって、何処に逃げるんだって言われるとねぇ。

小林麻子
・・・無いですねぇ。

中野剛志
(嬉しそうに泳ぐジェスチャーをしながら)海に飛び込んで(笑)

ということで、また来週もお願いします。