ウクライナ問題をめぐる日露関係について(馬渕睦夫×木村三浩)

【ニコ動】
西部邁ゼミナール)「ウクライナ」ロシアに義あり 2014.09.28


西部邁ゼミナール)日露外交に努力を傾注せよ 2014.10.05


【ゲスト】

著書『国難の正体』(総和社)『日本の敵 グローバリズムの正体』(渡部昇一共著、飛鳥新書)

一水会代表

著書『お手軽愛国主義を斬る 新右翼の論理と行動』(彩流社

◼︎「ウクライナ」〜ロシアに義あり(第一週)

小林麻子
ウクライナ休戦についての批評を切り口にして、これからの世界はどうなっていくのか。特に、アメリカの主導する『Globalism(グローバリズム)』は、スラブやアラブの文化や社会のあり方に典型的に示されているような、『Regionalism(リージョナリズム)』、つまり『地域主義』と、どのような確執を演じるのか、木村先生に連れられてクリミアに行ってきた私としても、美しく穏やかな観光地クリミアのすぐ数十キロ、数百キロの西方で、『アメリカとロシアの代理戦争』が行われていると考えると、安閑としておられませんでした。

お二方の先生、世界はこれからどうなっていくのか教えてください。

そして、馬渕先生は、こちらの『国難の正体』(馬渕睦夫著 総和社)、『日本の敵 〜グローバリズムの正体』(渡部昇一馬渕睦夫共著 飛鳥新社)を上梓されています。

木村先生は、『お手軽愛国主義を斬る』(木村三浩彩流社)という本を上梓されております。

先生方どうぞよろしくお願い致します。

お二方どうもありがとうございます。

今日は「ウクライナ問題」を巡って、日露関係ということになるんですが、木村さんからいこうかなと思います。

木村さんつい先だって、クリミアに行って来られたのみならず、クリミアの地方選挙が行われて・・・

まぁ(クリミアの地方選挙の)「立会人」というんですかね。「選挙がちゃんと公正に行われているか」、中立性の立場で見て参りました。しっかり透明性もありまして、公平性があって、しっかり人々が『自由』に『自分の意思』を表明して、そして投票を公表していました。

『不正はなかった』と思います。

あぁ〜なるほど。

馬渕先生ね、先生の(著書の)『国難の正体』読ませていただいて、僕はえらく感激したのですが、この御本の中に書かれていることを、あえて一口で言うと・・・

ウクライナの内戦というのは、アメリカが引き起こしたものである』と。

えぇ。

プーチン追い落としという、陰謀というか策略というか、そういうことの帰結である』と。

しかも、その背後には、アメリカの政治というよりも、ニューヨークのウォール街あたりにいる【グローバル・キャピタリスト】(global capitalist)というか、全世界を相手に、特に、【証券資本主義】というかたちでマネーとか、セキュリティ(security=証券)を操作しているそういう【巨大なファイナンシャル・パワー】、金融力というものが、もう最後にやることがなくなって、最後かどうか知りませんが、そういうものだという。(馬渕を見ながら)紹介をしたのよ、いま?

はい、どうもありがとうございます。あの、非常に簡潔にですねえ(笑)僕の本のポイントを紹介していただきましてありがとうございました。

ウクライナで起こっていることは、『アメリカとロシアの代理戦争』だと。そのアメリカといった場合に、いま西部先生がご指摘になりましたように、必ずしも我々はアメリカと聞くと、国家なりアメリカ国民をすぐ想像するのですけども、そうではなくて、『今のアメリカ政府を動かしている最も影響力のある人たち』ですね。

ひとことで言えば、【ウォール・ストリートの金融資本家】であって、それが世界に仲間がいるわけですね。ロンドン・シティにもいるし、ドイツにもいる。まぁ日本にもいるでしょう。でそういう人たちが、『ロシアの経済をグローバル化する』と、そういうことが今回のウクライナ危機の実は本当の狙いというふうに私は見ているんですね。

それが証拠に、例えば、最近、ポロシェンコ大統領(ペトロ・ポロシェンコウクライナ大統領)と、いわゆる東部の親露派と言われる勢力との間で「停戦合意」が成立して、しかも親露派が要求していた、東部二州のまぁ一部の地域ですけども、その「自治権を拡大する」、そういうところまで合意ができたんですね。

にも関わらず、アメリカが主導するNATOはですね、アメリカ・EUは、ロシアに対する制裁(※経済制裁)を強化したわけです。追加制裁をまたやったわけですね。なんで(キエフ政府のウクライナと親露派東部ウクライナの間で)停戦が実現したのに追加制裁なのか。これは、我々が見ていても分からないですけどもね。先ほど申し上げましたように、彼ら(=アメリカのグローバル・キャピタル)の狙いが、【ロシアの市場をグローバル化することだ】ということにあるならば、それがよくわかる。

最終的には、【ロシアの資源(※ロシア産石油、天然ガス)を自分たちの資本の下に置こう】ということですね。ご承知のように、ガスと石油ですけども。それを押さえたい。

いま、プーチン大統領は、エリツィンの後に大統領に就任してから、そういう人たち、つまりロシアの財閥ですね、新興財閥を抑えてきたわけですね。

ところが、その新興財閥というのは欧米に味方というか、仲間がいるんですね。ですから、一旦抑えられたけども、その新興財閥の仲間が、いま再び、ロシアにおける自分たちの影響力を増やそうということで、このウクライナという弱いところに目を付けて、プーチンを悪く言えば抹殺、なんとか(プーチンを)追い落とそうとやっている。そういう状況だと思いますね。

[※ロシアの新興財閥(オリガルヒ)プーチン打倒で復活図る]

▷面白いサイトを参考までにどうぞ
ユダヤ財閥(オリガルヒ)をほぼ制圧したプーチン大統領  その1

ユダヤ財閥(オリガルヒ)をほぼ制圧したプーチン大統領 その2

僕は詳しくないのだけれど、そんな僕ですら分かっていることは、ウクライナでね、「日本の愚かな政治学者」が・・・

「今のウクライナは西欧型の自由民主主義で、それに対して反対する親露派はプーチンの独裁主義だ!」と

[※自由・民主vs独裁主義 という歪んだ見方]

で日本人は阿呆が多いから、「自由・民主 vs 独裁」と聞けば、自由民主がいいんじゃないのと言ってるけども、実際にウクライナはあれですよね、『クーデター』で出来た政権でしょう。

そういうことですよね。

僕はね、クーデターが悪いって言っているんじゃないんですよ。少なくとも、それ(=クーデター)は自由・民主主義の枠内には収まらないね。しかも、そのクーデター派の中には、いわゆる『ネオナチ』ね、みたいなそういう『極右』・・・(木村をチラっと見て)ごめんなさいね。

ハハハハハ(笑)

一水会には悪いのだが(一同笑)、そういう極右の人間たちが入って起こしたクーデターなのに、それに勝手に「自由・民主」という風に(外野が)言い、それに対して独裁主義のプーチン、あるいは親露派というね。これを、日本の政治学者がいけしゃあしゃあと新聞・雑誌・テレビで言っているんだからねぇ。

親欧米派だとか、そのデモを実は主導していたのは、いま西部先生が仰ったように、『極右勢力』といいますかね、はっきり言えば『テロ集団』なんです。

[※ウクライナ反政府デモ 極右・テロ集団が主導]

そうでしょうね。

それで一旦は、当時のヤヌコビッチ政権とデモ勢力との間で「合意」が出来ていたんですね。要するに、大統領選挙を前倒しでですね、今年の11月にやることで関係者はみな合意したんです。

ところが、それを破ったのが、その極右勢力なんですよ。それで、ようするに暴力沙汰に持っていったということですね。

うん。しかもその背後には、ほぼ間違いなくそういう糸を引いているのは、『CIA』にそんなことは120%決まっているのに、それすら日本のメディアでは、公然と言わない。

そうそう。

そうなんですね。

ローランドってのがいてね。ヴィクトリー・ローランドっていうアメリカのね。それが一生懸命デモ隊に、「あの人はあんまりにも人気がないから、表に出ないほうがいいよ。この人だったらもっと盛り上がるからいいよ。」とかですね。

さらに、EUの大使、アメリカの大使とEUの大使とか電話で話して、「実は攻撃したのだけども、あれは警察の方が先にやったと言っているけど、実は暴力沙汰で人を殺しているのはデモ隊なんだ。」と。ところが、ポロシェンコが大統領になった後に、ポロシェンコはそういうことを全て隠蔽してしまいましてね。

「逆になんでポロシェンコはそういう真相を捜査しないのか?それもおかしい。」とかまた(米大使とEU大使との)電話でのやりとりが公表されているんですよ。

ポロシェンコという人自体もですね、実はヤヌコビッチのそばにずっといた人なんです。チョコレートの王様でいっぱい売って金儲けて、『オリガルヒ』という新興財閥で金持ってた人なんですけどね。この人はうまく立ち回ったのですが、相当の曲者です。

[※ヤヌコビッチの元側近 ポロシェンコ大統領]

なるほどね。

実は、メディアでは「ポロシェンコは親欧米派」とか(呆笑)そういうふうに流されましたけども、実は、木村さんが仰ったように、(ポロシェンコは)親露派なんですよ。

[※もともと親露派 ポロシェンコ大統領]

今回、ポロシェンコのチョコレート企業が制裁にあってしまってロシアへ輸出出来なくなって困っているとこだった。もともとポロシェンコというのは、ロシアとうまくやってた人だし、今後もやるんでしょうね。そういうところで、私は、『ポロシェンコは、アメリカの言うことをいま聞かなくなったんだ』と思いますね。

なるほどね。

でまだ、ヤヌコビッチが健在の時にですね、「次はヤツェニュク(※アルセニー・ヤツェニュク首相)しよう」と。今だに首相にいますけども。

このヤツェニュク首相というのが、私の時も(※馬渕自身が駐ウクライナ大使だった時期)、外務大臣一時していたりして交流はあったのですけども、ちょっと曲者でね。これは今ね、ポロシェンコ(大統領)とヤツェニュク(首相)との間がちょっとうまくいっていないと。

でそれからもうひとつは、どうもいまおかしいのは、ヤツェニュクの連立政権は事実上、崩壊(2014/7/24)しているんですね。その極右勢力が抜けたんです。もう一つの『ウダル』という勢力が抜けましたけどもね。

[※ヤツェニュク政権崩壊 極右勢力が離脱]


ところがね、極右勢力が抜けたのが、あの『マレーシアの航空機撃墜事件』のその後なんですよ。もう、ロシアはハッキリと、『ウクライナの空軍機が撃墜した!』と言って、衛星写真まで公表している。

[※ウクライナ軍が撃墜とロシアは衛星写真公表]

ところがね、【そのアメリカは、衛星写真を公表しない】んですよ。したら、真相が明らかになるハズなんですよね。で今のところは、だからウクライナ空軍機がやったと100%は断定できないけども、状況証拠からは、私はウクライナがやったと思いますね。

なぜアメリカがね、そういうものを公表しないかと、公表しないには「それなりの理由があるだろう」と推測しなきゃいけないし、その理由は、「アメリカが手を入れたという、そういう証拠なり暴走なりがあるから伏せちゃうんだ」って、それぐらい推理力が無いとね。なんのメディアか。

実はね、(撃墜されたマレーシア機の)ボイスレコーダーが、オランダにあるのかイギリスにあるのかわからないのですがね、ボイスレコーダーウクライナの戦闘機が、マレーシアの民間機を東部地区まで、こっちに行きなさいと『誘導した』という話があるわけですね。

あ〜あ。

で(誘導に促されて)そこのところまで(マレーシア機が)行って、バーンとミサイルで撃墜されて落ちた。で、その後もういち早く、アメリカのケリー(国務長官)は、これは親露派がやったやったとバーっと言うと。ポロシェンコはポロシェンコで、「あそこ(マレーシア機が撃墜されたエリア)実は、我々の手の届かないテリトリーなんです」ということを言う。(一同笑)一国の大統領が、普通は「この地域は、手の届かない場所なんです」なんて言わないわけです。

事故の真相を解明するために、国際的に欧米から(調査団が)入っていったりするわけでしょう。それに対して、「親露派のあそこ(墜落現場近辺)の場所の人たちが非協力的であった!」と言うけど、逆に言えばですね、この人たちのちゃんと調査をするのか、ちゃんと選択権があって公平に言えるのかどうかというのをぜんぜん言われていないわけですよ。

[※マレー機墜落の真相解明調査団の公平性は?]

なるほどね。

もう選ばれたから、リットン調査団と同じでね、もうあらかじめ、シナリオに沿っちゃうから、ちゃんと公平じゃないですよということなんですよね。

僕はね、日本の政治学者をはじめとする「自由・民主vs独裁」というそういう概念図式が、非常に犯罪的だと思うのは、自由・民主と言ったって、自由には必ず『秩序』がなければいけませんよね。無秩序の自由じゃね。

それから、民主というけど、民主のためには古い字ですけども『輿論』(×世論)というんですかね。まともな『輿論』がないと。

[自由・民主vs独裁主義の図式で見る政治学者]

じゃあ、まともな秩序とまともな輿論はどこから出てくるのかとなると、可能性から言えば、それはあの【諸国民によって違う】わけですよね。ロシアの秩序、アメリカの輿論とかっていうふうにね。

[※まともな秩序と輿論は諸国民によって異なる]

そしてそれは、やっぱりその【各国の歴史によって具体的には違ってくる】んだと。

[※自由と民主は国の歴史によって違う]

そのことを理解さえすればね、プーチンの独裁というんじゃなくて、プーチンの向かっている先はね、自由・民主というものをロシア、もっと広く言えば、北方スラブ民族主義でもいいですけども、そういう北方スラブのロシアの【歴史に基づかせての自由と民主】で、これはアメリカともヨーロッパとも違うんだというね。当たり前のこと、そういう論理さえ日本人のおバカさんたちはね、これは学者連中ですけども、追えなくなっちゃっているのですよね。

[※欧米とは異なるプーチンの目指す自由民主

だから、僕は、プーチンが素晴らしいかどうかなんて詳しくはないけども、少なくともこういう論理がある以上、【「自由・民主vs独裁」などという馬鹿げた小学生級の概念図式】に日本の政治家までもが乗っかってしまっている。それにマレーシア航空機の問題ですら、こういう図式をもっているから、「プーチン側だ!」という短絡的な発言になってくるんですよね。

プーチンはハッキリと言っているんですね。『新しいロシアの理念』ということを言っていまして、それは「普遍主義」とか、いま(西部)先生が仰った「自由」とか「民主」といったそういう価値観と、「ロシアの伝統的な価値観」「スラブ主義の価値観」とを【融合】するんだと言っているんです。

[※プーチンが目指す自由・民主と伝統の融合]

そういうことですよね。

ですから、決してプーチンは、(自由と民主を)否定していないんですね。ただし、それを【ロシア的なもの】にしたいと。こういうことなんですね。

これは、どの国にとってもそうで、日本もかつてそういうふうにしてね、欧米的近代化を『日本的な近代化』に変えてつくりあげた。プーチンはそれを主張しているんですね。

ウクライナはね、そういう意味では残念ながら、自由でも民主主義国でもない。ソ連時代の残滓を引きずっていると言いますか。要するに、(ウクライナは)政治と経済が分離していない、経済人が政治家になっちゃうんですね。それで、自分たちに有利な法律を作るというのは、私がいる時(※馬渕氏がウクライナ大使時代)からそうだった。だから、逆に言えば、そういう【癒着体質】ですね。

そうですね。

それがまだね、(ウクライナは)抜け出ていないんですね。それが突然、民主主義国になるハズがない。

EUとの間の連合協定というのがね、批准されたんですが、恐らく、ウクライナがEUに加盟するということはないし、それはEUがハッキリと「NO!」と。私が(ウクライナに)いる時も、本当に(ウクライナに対して)冷たかったです、EUは。

[※EU連合協定批准するも ウクライナの加盟はない]

▷参考:ウクライナと連合協定 EU、旧ソ連3カ国と署名


ウクライナは、私がいる時は、親欧米派の大統領のもとで、一生懸命「EUに入りたい、入りたい」と言って努力していたのですがね、EUは冷たかったですね。ですから、突然に今のような状況になったから、「じゃあウクライナを(EUに)入れましょう」なんて言うはずないんですね。

[※EUは加盟を希望するウクライナを冷遇]

で、ポロシェンコ大統領もその辺はわかっているんでね、妥協せざるを得ないと。妥協したのが先般の『停戦合意』と。

それから、東部二州に『特別な自治権』を与えると。

[※妥協を選び停戦合意したポロシェンコ大統領]

特別の地位ね。三年間。(※東部二州に「高度な自治」を与える三年間の時限立法)

えぇ。三年間ですがね。その間に、EUとの貿易協定は結んだんですがね、それは、一年実施が延期されているんですね。その間に、『プーチンとの間の経済面の妥協点』を探っていく、そういう戦略だと思いますね。

[※EU貿易協定は延期され ロシアとの妥協点探る]

ちょっと薄気味悪いのはね、麻子さんね、かつての戦争は、第一次も第二次も世界大戦をもちろん帝国ロシアは戦うのですけどもね、戦争をやる時には、それなりの国家として、例えば、日本で言えば、教育制度からその他諸々、警察制度ほか、いろんなものを『総動員』して、それどころか何十年の【歴史的な国家としての準備訓練を経て、戦争に入っていく。】

ところがね、今度の「薄気味悪い」のは、たぶんほんの一握りのキャピタリストというか、ファイナンシャル・パワーを持っている人間たちが、『国家のことなんかどこ吹く風』か。

アメリカで言えば、アメリカの国民がですよ、「ウクライナの戦争に向けて準備した」なんてことは聞いた試しがないわけですよね(笑)

[※国家としての準備もなく 戦争起こす薄気味悪さ]

それが、ほんのちょっとした一握りの人間たち(※一握りのグローバリスト、ファイナンシャル・パワー)が、『お金の力』でもって、CIAなりペンタゴンなりですよ、動かしながらね、グローバリストが、globe=地球を破壊することも厭わずに、『目先の金のために戦争を起こす』というね。本当に子供っぽいとも言えるけども、薄気味の悪い、アンファンテリブル(enfant terrible)=恐るべき子供たちの世界で。

[※金の力で戦争起こし 地球破壊を厭わない globalist]

そのために、ロシアのプーチン大統領が存在していることが、厄介だと。これを倒そうということを、(米国中枢のグローバル・キャピタリストは)仕掛けているわけですよね、実際。

そうね〜。なんか、本当に数人、これは5人なのか10人なのか知りませんけどね、ほんのちょっとした会議なりパーティーなりを開いてね、世界情勢に対する、歴史に関する、国家に関する認識なんか、なんにもない連中たちが、「おい、(プーチンを)殺ろうじゃないか、やっつけようじゃないか」みたいなね、ほとんど、【ヤクザの談合】みたいな調子でことが進んでいる。

ハハッ(笑)

いや、そうだと思いますね。ですから、いま一応、停戦合意ができたけども、まぁ〜散髪的に戦闘が行われているんですが、実はそれは「親露派がやっている」とメディアは伝えますけどもね、私はそこはよくわからない。本当に親露派がやっているのか。

それから、いわゆるウクライナの政府軍側にもね、つまり『西側の傭兵』が入っているんですね。

[※国家単位で動かず 民間傭兵が政府軍に入る]

あ〜あ、そういうことですね。

これは、民間軍事会社ですからね。例えば、アメリカならアメリカの国防省、国防長官の配下にある人間ではなくて、民間軍事会社の傭兵がね・・・

まぁ〜イラク(戦争)でもそうだったんだから、そうだろうと推測できますけども。

イラクでもそうなんですね。

いわゆるブラックウォーターってやつね。(※民間軍事会社『ブラックウォーターUSA』、イラク戦争における傭兵需要で急成長する)

そういう連中がね、(ウクライナ政府軍と)一緒になってやっているから、これは、もう、【国家という単位では動いていない】んです。

そういうことですね。

クリミアの問題で言えば、3月にロシアがそこを編入したということで、【流血を防止した】んです。

あ〜あ、なるほど。

それは、非常にロシアのかつての領土であったということもあるし、【クリミアの住民の意思】ということもあって、それを、住民投票の結果を尊重して、流血を防止させるための緊急避難として、これをロシアへ編入したと、そういうことだったと思うんですね。

[※ロシアのクリミア編入 流血を防ぐ緊急避難]

【今回の「ウクライナのデモ」を仕掛けたのはアメリカ側ですから。】

そうですよね。

で、それで最大の問題はですね、【ロシア人排撃】だったんです、あれは。ですから、(ウクライナの)暫定政権ができて、最初にやったことが、「ロシア語公用化法案」というのがあるのですが、それを『廃止』しちゃって、それから、ロシア系住民を『虐殺』し始めたんですね。

ですから、プーチンがいま木村さんが仰ったように、『クリミアを虐殺から救うため』に、あぁいう手を打ったということだと思います。

[※反政府デモの実情 ロシア系住民への排撃]

これね、マルクスの言葉で、『資本に国境はない』ってね。本当にね、その限りでマルクスが正しくてね(笑)

[※カール・マルクス「資本に国境はない」]

具体的な名前は挙げませんけどもね、資本というのは国境を越えていくわけで、簡単に言えば、『儲かりゃいい』わけですよね。『利潤があがればいい』わけでしょう。そういう意味じゃ、国境を越えると簡単に言うけども、もうちょっといくと、要するに、【国家を破壊して構わない】というね。或いは、国境なんかない方がいい、国家なんかない方がいい、そういうふうに思う思想というか、振る舞いがある。それは、どの民族か言いませんけどもね、そういう民族、集団、団体というものがね、いま世界を動かしているんだという。

だから、グローバリズムというのは恐ろしいね。

[※国家を破壊する思想の集団が世界を動かす]

グローバリズムは、経済学的には、モノとお金とヒトが国境を越えて自由に行き来するなんて言いますけども、その心というか真意は、【国境を廃止する】ということなんですね。

[※国境を廃止することがグローバリズムの本質]

そうなんですね。

ですから、グローバリズム、日本の中でも「グローバリズムグローバリズム」と、「日本経済をグローバル化しなきゃいけない」と言っているけども、国境を廃止するということだから、【日本が無くなる】ということなんです。

[※国境廃止は日本が無くなることを意味する]

規制緩和がそうですよね。

結局、規制緩和もそうですね。

改革、規制緩和という言葉ですよね。

つまり、政府の介入をやめさせるということですよね、市場に対して。

日本人もそうだし、世界もそう。『インターナショナル(international)』これもともと左翼用語だったんですよね。(一同笑)

国際共産主義運動本部(Communist International⇒「コミンテルン」)
ってのが、モスクワにあってね、『コミンテルン』と言われたんだけど、でも、もともとは「inter-national」だから、ほんとは「nationとnationの間(=inter)」って意味するですよね。本来はそういう意味なの。

[※international 元々は国家の間を指す]

えぇえぇ。

それが、「inter-national」と言った途端に、「nation(=国家)」というものを廃止する、消しちゃうというね。これを言ったのが、もともとは共産主義者(Communist)たちなんだけども、今や経済学者もですね、ビジネスも、インターナショナルという言葉の意味を、いわゆる「コスモポリス(Cosmopolis)」というんですかね?

そういうことですよね。

「国境なき世界」「世界統一政府」みたいなものがあって欲しいという。

[※コスモポリス 世界統一政府を夢想]

元々は、共産主義思想なんですよね。

そうですよね。

でも、今の『グローバリズム』は、私は自分の本の中でも言っていますが、これは、【形を変えた共産主義思想だ】と。つまり、【21世紀の共産主義グローバリズム】だということなんですね。

[※形を変えた共産主義グローバリズム

同じなんですよね。そうなんですよね。僕は去る55年前、(馬渕)先生?

はい。

世間から、一部から『トロツキスト』と言われて・・・

ハハハハハ、そうですか(笑)

で、トロツキーはね、レオン・トロツキー(※英語式ではこの読み方)が言ったのは、『世界革命』ですよね。

「世界にほとんど同時に革命を起こして、世界を同質にしてしまえ!」というそんなことは一つは不可能であるのみならずね、不必要であるのみならず、地獄の沙汰なんですね(笑)

共産主義であるはずの資本家たちが、(結果的に共産主義者と)同じ形でグローバリズムを展開している。

これまで仰った通りに、歴史的に言えば、むしろ、【ソ連を作ったのがグローバル・ファイナンス】なんですね。そういう欧米の金融支援者たちが、例えば、今お話になったトロツキーなんかに資金援助し、しかもアメリカが、亡命していたトロツキーに「アメリカのパスポート」を与えて、道中の無事をそれで保証して、それでロシアに送り返して革命をさせたんですね。

実は、共産主義者とグローバリストというか、ハイ・ファイナンス(大型金融取引)というのは、表裏一体なんです。

そうそう。そうなんですね。そういう意味でね、【グローバリストは、この哲学的本質において「左翼」である】、という話は次の週に持ち越すことにして。

ありがとうございました。

どうもありがとうございました。

◼︎日露外交に努力を傾注せよ(第二週)

小林麻子
クリミアの編入を決めた、ロシアのプーチン大統領、そのやり方を批判する向きはありますが、明治維新以降、西洋近代に傾きつつも、「近代化の行き過ぎ」を危惧してきた日本は、歴史的に見てロシアと似通っており、実は、日本人こそロシアの立場をいちばん理解できるのかもしれません。

北方領土問題をはじめ、日露経済交流のことも含めて、二国間には大きな問題があり、それについてもロシアは日本に対し、いくつかメッセージを発しているようです。

今回は『日露外交に努力を傾注せよ!』というテーマで論じていただきす。

それでは先生方、どうぞよろしくお願い致します。

僕ね、麻子さんね、馬渕先生の『国難の正体』(※馬渕睦夫著書『国難の正体』総和社)を読んでいて、本当に励まされたのは、僕の持論の一つでね、【「アメリカは左翼国家なんだ」】と。レフトね。

それを日本人はね、アメリカに親しい、「親米」が保守であり・・・かつてね、「アメリカの敵」である冷戦構造の時代、ソ連側に近いのを「革新」であると。いまをその尾を引いて論じているのですよね。

つまり、アメリカが左翼だということを認識途端ね、【左翼に親しみを感じる保守なんてのはね(笑)】・・・これは日本人の問題としても大問題なんですけども。(馬渕)先生の方から、『アメリカは左翼だ!!』という私を喜ばせる発言についてご説明をひとつ(笑)

ハハハハハ(笑)

正確に言えば、【アメリカの衣を着たウォールストリートなどの資本家】が、ということなんですが、長くなりますので「アメリカ」と言いますが。

(アメリカが)『左翼だ』という意味は、『現状を変革する』という、かつて、カーター大統領の安全保障補佐官を務めたブレジンスキーですね(※ズビグネフ・ブレジンスキー[ズビグニューとも]:カーター政権時の安全保障政策補佐官、ポーランド生まれ)、はっきりと述べている。

それは、私なりに彼(ブレジンスキー)の言っていることを解釈すると、【レジーム・チェンジの三段階論】と言っているんですが、つまり、『レジーム・チェンジそのものが左翼』ですよね。いま存在しているいわゆる政体を変更しようとすることですからね。それをブレジンスキーは堂々と言っているわけです。

[※政体を変更(=レジーム・チェンジ)しようとする発想自体が左翼]

でそれをどういうふうに変更していくかというと、要するに最終的には、【グローバル国家にする】、つまり、グローバルな市場にすると。

でその前に、①第一段階は何かと言うと『民主化』だと彼は言うんですね。

②その次は何かと言うと『民営化』であると。

③でその後が『グローバル化』なんです。

[※①民主化 ②民営化 ③グローバル化

ウクライナは、彼ら(=アメリカのグローバル・キャピタリスト=左翼連中)の重要な目標じゃないですから、ロシアでやろうとしていることは、民主化する、まずね。それは、プーチンが失脚して、次の大統領になったら、これは『民主化だ!』と。

その次に、ロシアの国営企業とか公営企業とかを『民営化する』こと。民営化するというのは、『欧米の資本に従事させる』ということですね。

でそうなると、『ロシア経済はグローバル化します』と。

[※露でも三段階のレジームチェンジを企む]

これが、ブレジンスキーが言っている【三段階のレジーム・チェンジ】で、ロシアだけではなくて、【あらゆる国にそれを適用しているわけ】ですね。

とにかく『選挙』をさせて、自分たちが気に入らない候補が勝ったら『選挙は不正だ!』と言う。で結局最終的には、自分たちの気に入ったものを政権に統べて、今度は『IMF』が乗り込んで、『民営化しろ!』ということですね。

ブレジンスキーってね、昔、1970年代の終わり頃だったけど、日本のことを論じてね、『Protectorate』これは『保護領』という意味なのね。

▷伊藤貫の著書からの引用で、ブレジンスキーはこういうことを述べている。

「アメリカ同盟諸国の事を『アメリカの家来と属国(=保護領)にすぎない』」と描写(※著書「vassals and tributaries」)

「アメリカ政府は、アメリカの “家来と属国” を軍事的にアメリカに依存せざるを得ない状態に置いておかねばならない。我々は、同盟諸国(※家来と属国)をアメリカに依存させる事によって、これら諸国がアメリカの命令に従わざるを得ない仕組みを維持するのだ」と主張。

日本は、アメリカの Protectorate であると。保護領である。

[※日本はアメリカのProtectorate 保護領

それをね、アメリカの国際政治学者(=ブレジンスキー)に言われて、日本の政治学者は、それを受け入れているんでしょう?僕ならばね、国民として誇りの感情があれば、アメリカごときから保護領扱いされて、保護領ということは、プエルトリコと同じですよ。そんなことを言われてね、黙っている日本人の保守派って一体何者だろうと思う。

『左翼』というのはもともとフランス革命の時の用語なんですよ。『自由・平等・博愛』ね。最後に『合理=理性』も入るんでしょう。この四つの言わば「価値のカルテット」これを振りかざすのが『ジャコバン派』ね、ダントン、マラー、ロベスピエールジャコバン一派が自由・平等・博愛・合理と叫んだから、そいつらが(議会=一院制国民公会の)左側に座ったから、国会というか国民公会のね、それで『左翼』と言われたわけさ。

[※自由・平等・博愛・合理を振りかざすのが左翼]

今さ、自由・平等・博愛・合理と叫んでいるのは、まさしく【アメリカニスト】もしくは【グローバリスト】、それで【日本人】がそう(=左翼的)でしょう?その「左翼と何ぞや?」という言葉すらね、戦後70年か・・・分からないまま使っているから、とうとうこんなハメになってるという。

この「自由・平等・友愛(博愛)・理性(合理)」でもって、いま言った「レジーム・チェンジ?」もっと言うと、あれですよね、『Structural reform』=『構造改革』ですよね。『構造というのは、各(国の)歴史がもたらすもの』でしょう?各国の。それは変わりますけどもね、それを「一挙に破壊」し、「根本的に変革」するというね、(それは)ジャコバンなり、ボリシェヴィキなり、なんなりが言ったことね(笑)

[※構造改革による破壊 歴史がもたらす国の構造]

その通りですね。

国際機関がそういうつまり『左翼の機関』でありですね、【構造調整融資】と言っているんですよ「IMF」も「世界銀行」も。それを受け入れさせるってことです。ということは、要するに(IMF、世銀といった国際機関に)『革命をやらせる』ということなんです。一瞬のね。

▷参考:「構造調整融資」について、こちらのサイトをご参照ください。


そういうことですよね。

でもそれは、「IMFは世界の救世主」のように思われて、金融的に困ったら、最後はIMFに頼む。で(IMFは)何をやるかというと『構造調整をやれ!』ということなんです。でこれを受け入れざるを得ない。

それを受け入れて、世界は全部【民営化】されて、結局は【外資に食い荒らされた】、お隣の韓国なんかはまさにそういう状況になって、外資に食い荒らされしまっていると。

[※IMFの構造調整で外資に食い荒らされる]

だから、私は韓国の国民の方に同情しているんですね。

えぇ、そうでしょうね。

IMFの言うとおりに韓国の構造を『チェンジせよ!』と言われて、これでもう(国内経済が)パニックを起こしちゃった。世界中そうなんですよね。

だって、日本だってそうでしょう?ものの見事に日本人・・・もう民主党は滅びましたからいいですけども、なんとかって首相(=鳩ぽっぽ)が出て来てさ、「友愛の政治」なんてさ・・・

ははははー(笑)

鳩山由紀夫)本人はね、なんか調子良く言ってたけど、本当にね、フランス革命の時から、『Fraternity』(フラタニティ)、もともと兄弟愛という意味ですけどね、そんなことを軽々しく言うのはね、たいがい【左翼】に決まっているんですよ。

ですから、一種のまた『グローバリズム』になってしまいますけどもね、まぁフラタニティ、「人類みな仲良くしようじゃないか」「みな兄弟」とかね。

あと、なんとかって団体ありますよね、なんとかメイソンってね。(※フリーメイソン:Freemasonry=友愛結社)

そうそうそう。

はははは(笑)

木村さんね、僕どうしても、詳しいことを知らないながら、プーチンに心が(笑)僕が味方してもしょうがないんだけど。

味方したくなるのは、やっぱり日本の「歴史」「近代」を振り返ったら、やはり明治の頃にね、もちろん近代西洋化するんですけど、『こんな調子で猿真似していいのか?』って声ね、やっぱり澎湃(ほうはい)としてあったんですよね。

あの明治のイデオローグと言われていた、あの【福澤諭吉】ですらね、本当に『国民の文明が必要なんだ』と。

『向こうの猿真似をしちゃいけないんだ』と。【夏目漱石】もそうですけど、その他もろもろね、『一方的な西洋化というものが日本に混乱をもたらす』という、そういう【警戒心】というのは、明治日本人には主だった人々はみんな持っていた。

[※一方的西洋化は混乱を招く 「国民の文明が必要」]

そういう意味じゃね、「日本の歴史」を踏まえれば、今のロシアの事情に対して、Sympathetic(シンパセティック)同情的、同感せずにいられないんですよね。

ロシアの文学者で、ソルジェニーツィン(【アレクサンドル・ソルジェニーツィン】)という人がいて、あの方はアメリカに亡命して、最後は(ロシアに)帰ってきて、ソ連邦が崩壊した時に、『甦れロシア』(『甦れ、わがロシアよ〜私なりの改革への提言』1990年)ってね・・・

あ〜あ。

でやっぱり「祖国よ」と言って、「このまま自由だ自由だと言っていたらまずい」と。自分の反省も含めて言っているんでしょうね。

まぁ、ある意味では、プーチンさんじゃなければ、今のロシアを支えられないのかもしれない。そうなると、欧米系またはある団体からみればですね、決定的に次の選挙で(プーチンを)落とそうということを仕掛けてきて、事あるごとに、なんでもちょっかいを出してくるというのは、その通りだと思いますね。

そうでしょうね。

しかも、明治のことのみならず、【戦後日本】だって、ようやっとですよ70年経ってね、アメリカのプロテクトレイト(保護領)であってはね、本当に保護領どころか【属国】ね。

占領体制。

そうですよ。そうなってしまうという声が、少しずつ起こってくる。それなら当然ね、『ロシアの事情』にそれなりの洞察がいっていいもんだと思いますけどね。

結局、いまプーチンの頭にあるといいますかね、いま何をしなければならないのかという時に、どうしてもね、ドストエフスキー(【ヒョードルドストエフスキー】)なんか・・・

あ〜あ、そうですよね。

『西洋と接触して以来のロシアの問題』というのが、いまいよいよ最終段階に来たと。西洋化の波に対してどう対応すべきか、【スラブ主義】が対応するかと。でそれの苦労が、ドストエフスキーの文学でもあったと。そう感じています。

[※西洋化の波に対してどう対応すべきか]

そうですね。

それが何かというと、今のプーチンが、『新しいロシアの理念』ということを言っていて、それはいわゆる【普遍的価値とロシア的価値の融合】だ言っている。

[※普遍的価値と伝統 融合を目指すプーチン

そうそう。

まさに「西欧文明」と「スラブ文明」の融合・両立のことだということですね。

明治維新以降、日本がやってきたことはなんだったかというと、欧米近代化の波と日本の伝統文化とを上手く両立させて、今日の繁栄を築いたと。それの秘訣を、プーチンさんは【日本から学びたい】ということなんですね。

[※近代化と伝統を両立 秘訣を学びたいプーチン

だから、「そのメッセージ」がまだ十分に日本の指導部に『届いていない』んじゃないかと。かつては日本は、「ロシアの市場経済化が重要だ」というメッセージを伝えたところ。しかしそれは、全く今のロシアが、プーチンさんがやりたいこととは【違う】んですね。

そうじゃなくて、うまく、欧米的なグローバル市場化とロシア的な近代経済とを『どう両立させて、有機的に結合させて作るか』と。それが、プーチンさんの今の最大の課題であって、『それを助けてくれるのは日本しかない!』というのが、プーチンさんの日本に対する考えなんです。

そうですよね。

そうだと思いますね。

安倍総理プーチンさんは、わりと好意に一年間に五回ぐらい会談をもって。

あの、秋田犬を、佐竹知事(佐竹敬久秋田県知事)が、プーチンさんに贈ったらしいんですね。で向こうのから答礼で猫が贈られてきてね、その秋田犬の犬の名は「ゆめ(夢)」って名前らしいですよ。それで贈られてきた猫は「ヘイワ(平和)」ということで。それで、あのプーチンさんがね、『夢で平和条約を結びたい』ということをかけているんですね。

[※「夢」で「平和」条約 プーチン大統領

そうですね。

ということを言ってて、日本に対するシンパシーを、自分のご自宅には柔道ができるような部屋があって、そこに嘉納治五郎さんの胸像を置かれていたりするっていうんですね。

それで、北方領土問題をどうするか?と言われた時に、『引き分けでやりましょう』と。『引き分け』ってことを言ってるわけですよ。

ですから、プーチンさんからこちら側にメッセージが伝えられてきている状況なのにですね、『経済制裁』なんかを追加していってですね、欧米に倣う形でですね、日本の独自ではない、自分でちゃんと考えていないでただ、《「まわりに付き合わなきゃならない」ということで経済制裁をしていく不甲斐なさ》が、ロシアを苛立たせているというね。

[※欧米に同調する日本 独自に考えず経済制裁

言わば、国際法上は、日本はまだ、旧ソ連、今ではロシアだけども、『まだ戦争終わってないことになっている』んですよ。平和条約結んでいないのですからね。

日本人「平和」というとなんか、みんな仲良く万々歳ってね。そうじゃなくて、戦争をやめます。Peaceってね。そういう意味じゃ【講和条約】の意味なのね。それがまだ、ロシアと結ばれていないんですよ。だとしたらね、『アメリカから文句言われる筋合いは無い』わけですよ。『日本は、戦争状態をやめたいんだ』と。だから、ロシアと平和条約を結ぶ、それに、外国が文句つける筋合いじゃないでしょう。

既に、1950年代にね、あれは、鳩山さん(鳩山一郎)とかなんとかの時代にね、日本はソ連と交渉に入ったんですよ、日露漁業交渉その他で。その時にね、茶々どころか「恫喝」を仕掛けたのは、アメリカなんですよね。ひとことで言うと、『お前らソ連と仲良くしようとするなら、俺たち(=アメリカ)は沖縄をとってしまうぞ?!』ってね、それで日本側が怯えて、それをやめちゃったって、簡単に言えばそういう経緯なんですよね。

[※1950年代の日ソ交渉 妨害したのはアメリカ]

まぁ、プーチン自身も、日露関係の真髄というか、互いのためには北方四島を返してもらわなければならない。それで、プーチンが『引き分け』と言ったから、「半分(返還)で取引するんだ」というようなことを、専門の学者ですら、そういうことを言っている。しかし、それはとんでもないことで、私に言わせてみれば、先ほど申し上げた『プーチンが今いちばん日本に期待していることに応えれば、北方四島は返ってくる』と、私は思っているのです。

[※北方領土問題 四島返還は不可能か]

なるほど。

つまり、ロシア、それからその指導者プーチンにとって、いちばん重要なことは、【「ロシアの安全保障をどれだけ高められるか」】なんですね。

[※ロシアの最重要課題 安全保障を高めること]

そうすると、ロシアが先ほど申し上げた、北方領土を返すことによって、ロシアの安全保障が高まるかどうかなんです、最後は。そうすると、ロシアが安全保障を高めるためには何をやりたがっているかというと、【ロシアの経済を近代的な産業国家に展開したい】と。

[※露の安全保障のため 近代的産業に展開]

この間の欧米にSanction、制裁(経済制裁)をやられて、ロシアは中国に天然ガスを買ってもらわざるを得なくなったんですね。だけども、ロシア経済の弱点は、ご承知のように『天然資源の輸出』で生きている国ですから、これでは、国際的な天然資源の価格に経済が左右される。それをどうしても脱却したい。それがロシアの新しい理念ということで、プーチンが言ってることで、要するに、【ロシア型の近代産業国家】をつくりたい。

これが一つと、それに、『それの経験があるのは日本だけだ』ということを言っている。だから、日本に協力を求めると。【それとの交換で、北方四島は返す】ということに、私の頭の中ではそういうイメージができているんです。

[※天然資源の輸出に依存 転換図るロシア]

[※ロシア型の近代産業へ 日本に協力を求めている]

そうなんですね。

いや、そうですよね。

昔、『日本型経営』という言葉があったんだけどね、それは、狭い意味じゃなくて、【日本人の独特の価値観】、他国とは一枚も二枚も、一味も二味も違う、「ある勤労の態度」とか、「日本人の組織作り」とかね。「日本人の組織と組織の間の連携の取り方」とか、あるいは「民間と政府の関わりの持ち方」とか、それはやっぱり日本は、他国とは多少おも違うやり方、そういうやり方でもって、日本の国内産業を興してきたわけね、明治このかた、特に戦後もそうだけど。【そういうことをロシアは、ロシア型でやりたい】と言ってることなんですね。

そうですね。そういうことですね。

それは至極真っ当なことなのね。

それで、そういう点において、日本も欧米に付き合って、サンクション、制裁をやるでしょう?で『制裁』というのは、物を輸入するとか、それを止めるというんじゃなくて、実はね、ここに【善悪の感情】が入っているから、相手の国の【体面を汚す】んですよ。

[※善悪の感情が入り 相手の体面を汚す制裁]

なるほど。

だから、プーチンさんは、『日本に何でこんな風に付き合って、体面を汚すようなことをやるのか?』と言って、で(当初)『日本に対して報復制裁はとらなかった』ですよね、ロシアは。

で結局、日本に何回もそう言っているのだけど、日本がうまくメッセージに応えられないから、結局、【上海条約機構】に雪崩れこまざるを得なくなった。

なるほど。

今回でも、この状況で、【いちばん喜んでいる、棚から牡丹餅は中国】なんですよ、実は。

あ〜あ。

そういう背景も、よく日本の政府は、考えてやっていかないと、いけないような情勢なんですね。体面もそうですよ。

えぇ、それは仰る通りですね。

ところがそこがね、『アメリカ・ファクターをどう考えるか』ですね。アメリカは相当、安倍総理に【圧力】をかけているかと。

でしょうなぁ。

えぇ。そんなことを言ったら、(アメリカは日本政府に対して)「わかっているんだろうなぁ?」ということですよ。

そこはね、外交というのはまぁ、悪く言えば『騙し合い』なんですがね、いい意味で言えば、つまり【説得力】ですね。

『日露関係が良くなったら、アメリカだってメリットがあるんですよ』と言うことをどれだけ売り込めるか。

[※日露関係改善のメリット アメリカに説得する]

えぇ。

それはね、メリットがあるんです。それはね、いまプーチン外資に対してこれだけ警戒心があるのは、【ロシア経済が弱い】からなんです。では、ロシア経済を、その先ほど言ったように『近代化』できればね、外資に対する今のような警戒心が薄くなる。そうすると、アメリカの資本もこれまで以上に、ロシアとビジネスができるってことです。

そうか。

そういう(外交上の説得)工作を同時に進めて、プーチンの方に一応実現させると。そういうやや高度な外交が(笑)、いま必要とされているとそういう感じがしますね。

ただ一つ面白いのはですね、いまこの制裁の中で、『海上自衛隊が北方の海域でロシアの軍隊との共同訓練をやる』ってことになったんですよ。

あ〜あそう。

これはなかなか見上げたものでね、日本の防衛省もしっかりしているなと思って、つい二日前に、ロシア側は非常にそれを「歓迎する」ということを出していますからね。

[※北方海域で露軍と海自共同訓練へ]

いや、制裁やっているなら制裁やってもいいんですよ。(アメリカとの)お付き合い。しかし一方で、日本とロシアのこういう関係もあるでしょう。でアメリカにも「こうですよ」という説明ができるようにね、それが一辺倒ではなくて、【多極的に】やっていかなきゃならないということなんです。

そうねぇ。

で、日本の自衛隊海上自衛隊も見上げたもので、しっかりしているなと思いますよ。

それはいいニュースですよね。

僕、日本で誰がおかしいのか知らんけども、【外交というのは言葉】ですよね。言葉ならせめてね、いま馬渕先生が仰ったようなことを、つまり、ロシアの歴史的な経緯と、いまロシアが欲していること、つまり、ロシア的な産業を興したいんだってなことは、たとえば重々理解できる、それで、「アメリカに協力したいのだがしかし、ウクライナ問題のあれには国際社会には不透明なところがあるから、アメリカの制裁行為に一応参加するが・・・」という、もっとね、【弾力的な発言】、僕はね、安倍首相が悪いんじゃなくて、『それを教えない外務省』が、偏差値だけ高くておバカさんの集団なのかと思うぐらいね。

[※外交は言葉 もっと弾力的提言が必要]

ハハハハハ(笑)

どうしてもね、いや(西部)先生が仰る通りで、外務省の、「G7のメンバーで唯一のアジアのメンバー」ですからね、G7のメンバーであるということを非常に大切にしているのでしょうね。

あ〜あ。

しかしそれは大切にしつつも、実態的には、ちゃんとプーチンにメッセージを送らなくてはならない。

なるほど。

「日本の立場もこうだから、少しは分かってください」と表向きはね。しかし、ちゃんと【裏】で通じなければならない。

私は、この間、森総理(森喜朗元総理)の親書に、もしもそういうことが書いてあるならば、あの時、森さんが(ロシアへ)行かれた意味があったのだろうと。

あ〜あ。なるほどね。

しかし、それが無ければ、何しに行かれたのかわからないということになりますね。

そうね。

やはり【領土】というのは、「固有の領土」なんてものは、元々は、そんなものは無いのであって、どれだけある国が、ある土地を【実効支配】してきたかということの、その『実効支配の程度』と、安定性も含めて、それが非常に『長期的に安定して実効支配』していたら、好むと好まざるとに関わらず、ある種の【領土権へと昇格していく】ものだと思うんのですよね。

[※実効支配の程度・期間が領土権を生み出す]

逆に言うとね、北方領土でもどこでもいいのだけど、竹島でもどこでもいいんですけどね、「日本は取り返したい!」のなら、簡単な論理で言うと、【「もう一回、戦争しなければいけない」】のですよね。【戦争して奪い返す】

日本人ね、ロシアと中国と韓国でもいいんですけどね、戦争を起こす気なんかなにも無いのに、「固有の領土」と言って、あるロシア問題の専門学者が、つい先日、木村さんから教えてもらったのですけどね、「プーチンには日本の国土を一歩も踏ませるな!」ってね、ロシア問題専門家が書いているってわけですよ。

とんでもない、何かね、領土というものが何であるかということについてのね、僕は勿論、四島返ってきた方がいいんですよ(笑)

ハハハハハ(笑)

でもね、領土というのはそういうものだという、言論的認識すら無しに、領土問題を論じている人たちがたくさんいるんですよね。

[※言論的な認識なしに領土問題を論じる専門家]

北海道大学のね、ロシア研究の第一人者(※木村汎 北大名誉教授)という方がね、なんかね、「プーチンには日本の国土を踏ませるな!」なんて・スローガン的なことしか言えないというのはねぇ(笑)

▷参考:この人です(笑)
北海道大学名誉教授 木村汎

で、木村三浩さんが言われてるのは、この産経新聞コラムです。

【正論】「露大統領に日本の土踏ませるな 北海道大学名誉教授・木村汎」2014/09/01(産経新聞


以下はオマケ



それはね、今のロシア研究者のほとんどみんなその、【冷戦時代の人】ですからね。

そうだよねぇ。

【冷戦時代の目】で、つまりロシアを見ているわけですよね。

だから、その彼、名前は隠しますけども(※木村汎 北大名誉教授です)、彼のを読みましたけども、【とんでもない時代遅れの理論】ですね。

僕はね、プーチン訪日が延期されても実現して欲しいと思うのは、単に、日露関係だけじゃなくて、日本人自身がね、ロシアと関係を結ぶことによって、戦後長きに及んだ、その【冷戦構造的な世界の見方から解放される】んですよ。

もっと言うと、アメリカに距離を置くことも、中国との関係を変更することも全部含めて、このロシアとの関係を取り戻すことが、グルグルと世界観が変わってくる。

(西部)先生が仰った【プロテクトレート(Protectorate=保護領)から抜け出ること】なんです。

そういうことなんですよね。

ということで、二週間に及び日露関係を馬渕先生、木村先生、ありがとうございました。

【次回】正気を取り戻せ、参議員諸君!
ゲスト 脇雅史 × 西田昌司