◼︎[西部邁 特別講義]女性よ、活用されることなかれ(西部邁ゼミナール)

◼︎[西部邁 特別講義]女性よ、活用されることなかれ(西部邁ゼミナール)

評論家:西部邁
西部邁著書『どんな左翼にもいささかも同意できない18の理由』、『保守の辞典』(幻戯書房

中江兆民 百年の誤解』(時事通信社)、表現者1月号「特集『ポツダム宣言』を超えて」発売中

聞き手
女優:小林麻子
幻戯書房 編集者:佐藤英子

【ニコ動】
西部邁ゼミナール]女性よ、活用されることなかれ 2015.01.11

小林麻子
さて今回は、西部先生が私たちに特別講義をしてくれるそうです。

ご一緒いただくのは、幻戯書房という出版社の編集者 佐藤英子さんです。

佐藤さんは西部先生の書物『どんな左翼にもいささかも同意できない18の理由』そして・・・

もういい!もういいですよ・・・(照笑)

小林麻子
そして(笑)、『保守の辞典』をはじめ良著の編集出版に携わっております。先生、どうぞよろしくお願い致します。

お二人、今日はどうもありがとうございます。ねぇ、正月早々、華が必要だと。華は女性かなぁ〜と思って。

小林麻子
はい。

男性の視聴者には悪いんですけど、僕は詳しくないんですけど・・・草食系男子?というのが増えてるらしいと。

僕も年ですから、単純に考えて。そうすると、肉食系女性がいいのかなぁと。

佐藤英子
ハッハッハ(笑)

いや、怒らないで(笑)それで、小林麻子さん、佐藤英子さんをお迎えして。

小林麻子
(佐藤を見て)肉食?(笑)

佐藤英子
(小林を見て)肉食(笑)

英子さんの会社は、会社の宣伝をするわけじゃないけど変わった名前でねぇ。

佐藤英子
はい。

「げんぎ」と書いて『げん「き」』(幻戯)ですが、「幻」に「戯れ」るというね。今日の僕の話も『幻に戯れるような話』なんで適当に聞き流して、視聴者の皆さんも適当に聞き流してくださっていいんです。

小林麻子
はい(笑)

最初、僕が講義するということになって何をやろうかなぁと。

何か、アベノミクスとかいうので選挙を行って、あの頃あったでしょう?

小林麻子
はい。

『女性とアベノミクスか』と。

で、女性のためのエコノミクス、女性の経済教室でもやって・・・と思ったけど・・・

小林麻子
はぁ。

しちめんどくさい話になるんですよね。あっそうだ英子さん、なんでも知ってる英子さん?

佐藤英子
へへへへへ・・・(照笑)

小林麻子
そうですね。

エコノミクス(eco - nomics)の語源、ぼく人生で100回ぐらい喋っているのだけど、ご記憶だったっけ?

佐藤英子
(困惑顔)・・・。

ご記憶じゃないんなら、なんとか僕がご記憶を取り戻すとして(笑)

佐藤英子
アハハハハ(笑)

あれね、オイコス(oikos)ってのはギリシャ語で「家」という意味らしいですね。だから、ローマ字で書くと、『oikos = 家』『nomos = 秩序』、『oikos - nomos(オイコス・ノモス)』が英語化して『economics = 経済学』になった。

これ大事なことだと思うのはね、この『nomos(ノモス)』って言葉に意味があるんですね。ノモスってのはね、『あるべき秩序』ってのかな、これ古代ギリシャですからね、奴隷が10人とか50人とかいるでしょう、それを全部含めて「家」、つまり『家の切り盛り』ね。

佐藤英子
はい。

西武線(※西武新宿線)に都立家政・・・こんど家政大学の高校(※現都立鷲宮高等学校、旧制都立中野家政女学校)になっちゃうけど、駅あるの知ってる?


小林麻子
あっ・・・(佐藤を見つめて)・・・

佐藤英子
(いえいえ)

家政大学。これ、oikos(オイコス)だから「家」でしょう。これ、nomos(ノモス)というのは政治の「政」だから「正しく治める(政)」という意味なんですよ。だから『家を正しく治める』ね。

小林麻子
うん。

だから(economicsを)「経済学」と日本人は言っているけども、本当は『家政学』、ただしこの場合の「家」は小さな家じゃなくて『国家』、国の家という国家ね。

そして、アベノミクスに繋げてというと、普通ね、みんなアベノミクスと言うと「安倍内閣の経済政策」だと思っているんですよ。でも「Abe」・・・「nomics(= nomos)」ですからね、『安倍さんの考える国家の秩序は何であるか?』というのが『アベノミクス』の本来の意味なのね。

小林麻子
うん。

[※アベノミクス 安倍首相の示す「国家の秩序」]

それは『国家の秩序』ですから経済政策だけじゃなくてね、防衛とか教育とか、憲法とかいろいろあるでしょう。全部含めて、『安倍さんの国家統治の形はどういうものかいう議論をすべき』なのに、「アベノミクスと言ったら金の話しか考えない」というところに、既にまぁ言葉は過ぎて悪いけど、現代日本人のイカレポンチぶりが、言葉の・・・。

小林麻子
うん。

という話を最初しようかと思った。でも、女性お二人にこんな乱暴な話をしたら嫌われるかなと思って。そうだ、話題を変えようと思ってさ。

英子さん。

佐藤英子
はい。

たぶん、これ知らないんだと思うんだけど、麻子さんも。

小林麻子
は、はい(笑)

僕もね、つい先だって確認したんだ、字引で。

女性の「女」という漢字よ。これどっから来たか聞いたことない?・・・ウーマン(woman)は知ってるでしょう?女性のことをウーマンというけど。

woman というのは「子宮」のことですよ。

小林麻子
あぁ〜。

woman というのは「子宮を持った人間」という意味なんだけど、まぁ英語はいいとして。「おんな(女)」・・・これね、お二人を呼んで。

佐藤・小林
はい(笑)

乗っけから嫌味のように聞こえるけど、僕が言っているんじゃないのよ。字引に書いてあるだけなんだから。

佐藤・小林
(笑)

あのね、ちょっとうろ覚えだけどね、なんかこんなふうな感じの(※黒板にアルファベットの「X」に似た字を書いて)、これは女性が手を組んで、そしてここにね、こんな感じ(※「X」に波打った縦線が入る。詳しくは動画みてください)、これはね女性が膝を屈している。「女」という字は恐ろしい。中国人ですからね、これ。漢字ですから。

「女がね、手を組んで、男の前に膝を(屈して)ついている」というね。

佐藤・小林
へぇ〜。

ちょと頭低い子でしょう?

佐藤・小林
アハハハハ(笑)

僕が言っているんじゃないんだけど、怒らないで聞いてよ。

小林麻子
はい。

昔、漢和辞典で、う〜ん言葉って恐ろしいなぁと。もちろんね、漢字が出来たのは紀元前千年とかそんなもんですからね、いわゆる「男尊女卑」なんていう、それを言う必要もないくらい、そういう時代に出来た言葉だと思うのですけど。

それで「アベノミクス」の中で、『女性の活用』『地方創生』というふうに仰って、これ安倍さんというより皆がね、小さい声で言おうか?

『安倍さんが言っているんじゃないの。周りに集まっているエコノミストたちが、諮問のね、案を、提案を出している。』

「地域を、地方を、活性化させる。」もう一本の柱が、「女性の活用」と言うんですよ。「女」の「活用」。

何故、わざわざこの字(「女」)を書いたかと言うと、(さっきの「女」の字の語源を)消しますけどもね、角が立つから。

佐藤・小林
(笑)

「女」という字でさ、なんかね(字の成り立ちからも)「女性差別」を感じ取る人もいるわけ、僕みたいに。ちょっと英子さんに聞いてみよう。

活用・・・「僕が貴女を活用する」と言われたら、貴女はどんな気分、調子になる?

佐藤英子
なんか「使われてる」って感じがします。

そうでしょう。

佐藤英子
(うんうん)

和英辞典を開けば、活用する「use(ユース)」あるいは「utilise(ユーティライズ)」かな。こういうふうに出てくると思う。

「utility(ユーティリティ)」というのは、一部の家庭の人でも知ってる言葉でしょう?

佐藤英子
「道具」かな。

そうなんですよね。要するに、家庭内にある「便利な道具」という意味なんですよ。だから、フライパンとかお皿とかね、もちろん、電気、ガスもありますけどもね。

小林麻子
パソコンの中の「ユーティリティ」も、なんか便利な・・・場所?みたいな。

あそう。あそうなの?ぼくパソコン触ったことないからわからないんだけど。

小林麻子
あはは(笑)・・・あぁ、ありますね。

いずれにしても、「便利品(utility)」という意味でしょう。酷い場合には「廃品活用」とかさ。まぁ〜そんなとこ。

「活用」って言葉は、いろんな場合に使われますからね、やっぱり「有能な人材をしっかり活用しよう」というまともな意味でも使われますんで、あんまりこだわってもいけないけどね。

このなんとなく「活用」って言葉を雑に使うところにね、『政治家じゃなくて、その周りに集まった現代のインテリたち』が・・・

小林麻子
うん。

『女性の活用」と言われて、全ての女性が気分がいいとは限らないと。

うん、例えば、まぁ普通の言葉で言えばね、「女性に活躍してもらいたい」と。「活躍」と言えばね。

小林麻子
はい。

なんか気配りがね・・・足りんなぁというそんな気がする。

小林麻子
そうですね。「先生を活用しましょう」とはちょっと・・・

廃品活用?(笑)

小林麻子
いえいえ、それはないですけど(笑)

佐藤英子
(笑)

小林麻子
先生にはご活躍願いたいなと・・・

嘘つくな!(笑)

小林麻子
(笑)

お二人はね、いろんなことお詳しいから。あそうだ、麻子ちゃんに聞いてみよう。

小林麻子
私は何も・・・(困惑顔)

それ、動物的、生物的なことじゃなくて、少々オツムの方で。

小林麻子
はい。

女性と男性とね、まぁかなり温度に違いはあると思うけど、今の人々は「女性の活用」というふうに言いたくなる気持ちはよくわかるんですよ。

小林麻子
はい。

女性は・・・こういうふうに言ったら怒る?二人とも。概ねですよ、人によるんだけれども。

『直感力』ね。直感力が男よりかは平均においてね。(優れている)

小林麻子
はぁ。

それから、今いろんなことが細かく分かれてますでしょう。そうすると、どっかでそれを繋ぎ合わせないとね、家一つ、国家は言うまでもなく持たないとなると、いろんな枝分かれした物事をこの総合する力(『総合力』)ね。

これ二つ(直感力と総合力)関係あると思いますけどもね。直感的に全体をフワッと感じとって、「あっ、あの人ちょっとおかしい!」と。

小林麻子
うん。

というふうなね。あっ、これは男についての判断だけどね。

小林麻子
アハハッ(笑)

なんとなくそれを全体像として感じ取るという力において、女性は優れていると言われていますよね。

小林麻子
はぁ。私たち、そこ得意ですよね?

佐藤英子
得意ですね。少しばかりは。

ええぇぇぇ?(笑)

小林麻子
そこだけは(笑)

そこだけは?(笑)

でもね、そうならそうでですよ、また問題が起こってくるんですよ、いろいろとね。

例えば、一方で「科学技術」が発達してね、毎日、イノベーションイノベーションでしょう。あぁいうのは、ちょこっと部分的に変えていくわけさ。それで、皆がちょっとした部分的な専門的な変化にバッと飛びつくでしょう。

小林麻子
うん。

「そういう世の中でいい」と皆が言ってるクセして、女性活用で、まぁ僕の説明だけども、『女性の総合的な直感力が無ければ持たない』というのならばね、事細かに、あれを分析しました、専門化しました、どこぞの自動車屋で言えばですよ、ぼく自動車運転しないけども、いろんな自動車の部品があるんでしょう、そんなことを細々とやるのは、もうおやめなさいと。自動車なんてのは、適当なスピードで、安全に走りゃそれでいいんだと。

あと、アップリケ?アプリケーション。(application)これも「活用」だね。なんかこう、付属品をあれこれつけてさ、(そんなことを)するんじゃないって意見があればさ、あるんならともかく、付属品だってそうでしょう、ほんのちょっと色をつけただけでさ、このA店とB店は違いますなんつって。

『分析』してるわけね。『総合』の反対は分析ですからね。それから、『直感』の反対は、くだくだしい理屈というか『説明』でしょう。

そういうことを一方でやっておきながら、「女性活用」で、「女性は何で活用するんですか?」って聞いたら、これは俺の答えだけど・・・

『彼女らの直感と総合の力に期待して。』と。

佐藤・小林
うん。

こういうふうになる。

矛盾してもいいんですけどね、少しは「この世の進み具合と、それに適応していく女性たち」というのは、二人とも怒らないで聞いてよ?

平均で言って、専門家、細分化、あるいは、そのハイテク化、イノベーティング云々にくっついてくる女性たちというのは、押し並べてとまでは言わない。平均において、『男のマネしている人が多い』でしょう?

佐藤・小林
うん。

「あたし男勝り」「男よりかは偏差値高いの」とかさ、そういう調子。そういう女性見るとね、ぼく女性には抵抗しないタイプなんだけど、内心密かにムッとするだいぶ。

小林麻子
うん。

いま日本で「少子化」と言われているのは知ってる?

小林麻子
(うん)

少子化対策か。「子供を産んで下さい。子供を育てて下さい。」

少子化対策というものならば、やっぱり子供を産んで育てるでしょう。それで、先ほどの話に戻るけどさ、オイコス・ノモス(oikos nomos)かなんか知らんが、家庭というものはね、(小林を見て)貴女思うでしょう?大事なんだろうなぁと、子を産み育てるってねぇ。

小林麻子
(うんうん)

そしたら、『女性を活用している場合じゃない!』でしょう。簡単に言えば、女性を家庭から引っぺがして・・・

小林麻子
そうですねぇ。

オフィスとかビジネスに放り込んでおいて、まぁ簡単に言やぁね。それで、女性の活用で、地方を起こしなんてのは・・・

小林麻子
うん・・・

うん?

小林麻子
んん?ふふふっ、うん(笑)

なんら矛盾があっていいんだけどさぁ、呑気な父ちゃん母ちゃんたちが、変なことを言ってるなぁ〜って気がつくでしょう。

小林麻子
(うんうん)

二人とも、家庭について考えていないと思う・・・

小林麻子
ぷっ・・・そうです(笑)

実は僕も考えないまんま、つい一年前、妻に先立たれたんですけどねぇ。

小林麻子
あぁ。

でも少し考えた。長い人生ですからね。家庭・・・「家」、急いで(黒板に)書きますよ。こんなことを言った社会学者がいたの。

『「家」というのはいったい何をしているか?』

一つはね、まぁこれ言ってみれば文化的なことなんで、小さく書きますね。

(文)子供を産んで、産むったって猫とか犬じゃないんですからね、お母さんたちがきょう日やっていることは、人間というのは言語の動物でしょう?この場合の「言語」というのは広い意味ですけどもね。身振り手振りも含めてね。

人間の人間たる所以の『言語の力を養っている』と。

そういうことは、やはり「家庭」がないとね、朝から晩まで一緒に、ということが無いと、こんな産まれたばっかり(の赤ん坊)ですからね。あれね、普通で言えば獣(ケダモノ)も同然、可能性から言えば人間なんだけど。この赤ん坊の人間としての可能性を表に出すためには、異様に長い時間、鹿(シカ)とかなんかすごいね、産んだらすぐ、なんかもう1時間後には子供が歩いて・・・

小林麻子
そうですね、フフッ(笑)

人間は鹿じゃないですからね、馬でもないから・・・「馬鹿」って意味だけど、馬鹿じゃないから(笑)

佐藤・小林
(笑)

やっぱりね、酷い時、大学も含めて言えば、20年近い年月をね、あれやこれやと費やして、いわゆる子供の養育をする。

小林麻子
そうだ。すごいですねぇ。

それはね、ちょっと片手間には出来ない。

小林麻子
うん。

出来ないとは言わない。難しいかろうなぁと思うじゃないですか。

それから、これから他に三つ。(黒板に)空き地があるわけじゃないですよ。

小林麻子
はぁ。

これね、人による、家庭にもよるんですけどね、家庭というのは人間の場合ね、いつもね、『プランニング(planning)=計画を立てている』でしょう。

『計画』と言えば大袈裟ですけどもね、「安月給からどれだけ貯金しようかな」と。

小林麻子
あぁ。

「10年かけて蓄えて、マンションの頭金ぐらいにしようかな」と。「この子は出来がよさそうだから、偏差値の高いなんとかって学校に入れるべく云々かんぬん」・・・なんでもいいのよ。金持ちは別荘とヨットってさ、人によるんだけど『計画』を立てようとするでしょう?もっと素朴に言うと、「どの企業を選ぼうかな」とか、旦つく(だんつく)の方はね。あるいは「酷く潰れそうだから、他に移ろうかな」とかいろいろ『計画』を立てるというのが家庭という場なんですね。

それのみならず、その人はこれ『適応』とか『同調』って言うんだけど、まぁ『同調』にしておきましょうか。

家庭というのは例えば、その村とか町にあるでしょう。そしたらね、もちろん際立っていいんだけども、たまにね、すごいけばけばしい家を建てて訴えられてた漫画家もいたみたいだけどね(※「まことちゃんハウス」ね。グワしw)、まぁそういう人もいてもいいのだけども、全般的に言うとね、「自分の場所とか社会階級、所得階級とか周り近所」そういうものに何ほどか『同調しよう』と。

もっと言うと、この世の中に『適応しよう』と、『適応しなければ家庭はもたない』わけですよ。

小林麻子
はい。

もちろん、(楳図かずお氏のように)反発してもいいんですけどもね。

もう一つね、これまぁその人は『統合=インテグレーション(integration)』、『調整』でもいいんですけども、いろんな矛盾があるでしょう?

[家庭の持つ4つの役割]
❶「言語を養う」
❷「計画」(planning)
❸「適応・同調」
❹「統合・調整」 

(矛盾が生じる例として)
ここ(❶「言語を養う」)で言えば、「子供が親に反発したりする」でしょう。(❷「計画」)「計画立てたけど、うまく貯金が貯まらない」とかさ。(❸「同調」)「同調しようとしたけど、隣はいささかアブノーマルな住人でいさかいが垣根越しに絶えない」と。

そういうね、内部、外部のいろんなことを『統合・調整』して、「ここは我慢しなさい!」とか、家庭というのは一見、「高砂」謡って結婚成立なんて言ってるけど、実は、社会の基礎単位であるという言われ方はね、こういう4つの機能(❶言語❷計画❸同調❹統合・調整)を半ば無自覚かもしれないけど、果たしているというね。

小林麻子
はい。うんうん。

さてそこでね、ある人が、【ゲオルグジンメル】(独:社会学者1858~1918)というね、有名なドイツのユダヤ系の社会学者が、どうして「ユダヤ系」かと言ったかと、ユダヤ系であるがゆえになかなか大学に職を得られないで苦労した人だから、わざわざ「ユダヤ系」と言ったのですけど。

小林麻子
はい。

オルグジンメル先生が言っているんですよ。

『家庭を作り育ててきたのは、女性の偉大なる歴史的貢献である(G.Simmel)』と。

別にね、女性に「家に帰れ」なんて、そんなことを言っているんじゃないのよ。

佐藤・小林
(うんうん)

ちょっと話がズレるようですけどね、これは僕あるテレビで「道徳の教科書を作るのか、ど〜のこ〜の」みたいな、そんなことをこの場で論じる気はないけど、もしも『道徳』と言うのならば、「草食系男子が増えてこの世は問題だ」とか、「肉食系女子が増えて問題だ」とかなんか、冗談なんだけど(笑)

小林麻子
はい(笑)

そんなことを言うのならば、そういう問題はまず「親が子供に対して」ね・・・

小林麻子
うんうん。

「こうやったらダメよ」と。

これ、僕の持論なんだけどね、英語の方が理解し易いことがあるんだけれど、『道徳』のことを『moral(モラル)』と言うでしょう。これどっから来たかと言うとね、英語にもあるんですけどラテン語から来た『mores(モーレス)』、英語では「モーレイズ」というらしいんですけどね、これから(語源が)来ているんですよ。

このモーレス、モーレイズ(mores)というのはね、『習俗・習慣』ね。

[※moral(道徳)の語源⇒ mores(習俗・習慣) ]

さて、それでまた勝手に話が戻るわけさ。道徳、道徳と言うけど、モラルと言うが、実際には、それは何を元にして出来るかというと、その北海道でも福岡でもいいのだけど、あるいは大正時代でも平成でもいいのだけど、その時代、その場所になんとかかんとか人々が共有しているモーレイズ、習俗といえば言い過ぎだけど、『慣習のようなもの』があって、『その慣習の中に、人間がどう振る舞えば道徳に合うか、外れるかということの少なくとも基準が示されていないまでも、「suggest(サジェスト)=示唆されている」 と。』

だってそうなるとね、このモーレイズ(mores)というものをね、モーレスを守っているのは何処かと言ったら、これも『家庭』なんですよね、簡単に言えば。もちろん、これは女性のためじゃないんですよ、男も家に帰ってきますからね、それから休日家に居るしさ。

小林麻子
(うんうん)

[家庭での男性の役割とは?]
こういう感じで言ったら、二人とも女性として怒るかね。

(黒板に大きな円を描いて)これは『家庭』というものなんだが、男というものは、概ね、こういうことを守るために、これ外側ね。外部に向かって(※描いた円の外周部から外側へ向けて矢印を書いて:詳しくは動画みてください)、(男性が家庭を示す円の外側へ)出てって、もちろん(外部から)ウチに戻ってくるんですけどね、『(男性は)外部へ向かって新しい計画、新しい同調の仕方云々』というものを試行錯誤しながら、その成果を持ち帰ってくると。

小林麻子
うん。

[家庭での女性の役割とは?]
それに対して、女性の役割は、それは人によるし場合によるから、一概には言わないけども、これはね、ここに『統合』(※「家庭」の持つ4つの役割の❹)と書いてあるように、非常に難しい、『葛藤含みの仕事』なんですよ。大変な仕事なわけさ。

それでね、(黒板に描かれた家庭を示す大きな円の外周の)これの内側で守んなきゃいけないわけね。

だからね、女性と男性を截然(せつぜん)と区別してはいけないんでしょうけども、こういう家をめぐってね、比較的「外に向かうもの」と、それから比較的「内に向かうもの」というね、ここで男と女の役割の違いというのは、何も法律で決める必要も無いし、厳守する必要も無いのだけど、男女のね、社会的役割の違いというのは、太古の昔からあるのだけど、これからどんどん変わっていくとは思いますけどもね。でもね、まるっきり変わるということは無さそうなんですよね。

今チラッとみたら「あと一分間」というんですよ。俺そんなに喋っています?25分も。

小林麻子
えぇ。盛りだくさんでした。

佐藤英子
(ニコニコ)

本当に?

小林麻子
はい。

もっともっと他のことを喋ろうと思ったのだけど(笑)時間が無いから無理なんですけど。

でも、何れにしてもね、(黒板上に描いた「家庭」を意味するサークルを指して)こういうものと女性はね・・・いいんですよ、結婚しなくてもいいの、子供を産まなくてもいいの。僕が言っているのは、「ものの考え方」としてね、男と生まれたら、女と生まれたら、男って何だろう、女って何だろう、ってことを考える時に、もう時間もないけど、(黒板を指して)『これは社会的な性(さが)』と言ったけど、同時にこれは、『心理的な有り様』とかね、いろんなことに関わってくることでしょう。

でね、これからね、外れてもいいの。

小林麻子
うん。

(戯けた調子でw)「こんなものは、幻の戯れさァ〜!!」(幻戯)と。

佐藤・小林
(笑)
えっ?僕も本当、そう思っているところがあるの。

小林麻子
フフッ(笑)

時々ね、自分が『家』というものに対して忠実なのかねぇ・・・対する、破壊者なのか、もう75(歳)なのに、ついにどちらかわからない。

小林麻子
はい(笑)

そういう人間だから、あれこれね、あ〜だ〜こ〜だ〜言うんじゃないんだけどね、どう考えても、(黒板に書いた)こんなような姿がね、人類の男女をめぐってあるわけですよ。

小林麻子
はい。

ということでですね、僕はね、今日は女性のお二人に・・・

小林麻子
はい。

僕のような既に、家を失った者の、皆様のように、「家なんてなんかめんどくさいから〜」なんて・・・

小林麻子
いえいえ、まだ持ってもなくて・・・(汗笑)

佐藤英子
(小林を見つめて、笑)

「家」はもう、ユメマボロシだ、ぐらいに考えて、大胆なる女性に向けて、僕のすっとこどっこいぶりも、皆さんの大胆ぶりも、無碍に否定してもらいたくもないが、どうやら、こんなふうなことを考えると・・・

小林麻子
うん・・・

「女性の活用」などと言うことを、キャンキャンキンキンギャンギャン・・・(何故か小声で)言ってもらいたくない・・・。

小林麻子
フフフッ(笑)

という僕の意見に、英子さん、反対でしょうか?

佐藤英子
(いえいえ。笑)

(挙手のジェスチャーで)賛成ぇ?

佐藤英子
小声で、先生仰っていたけど、大賛成です(笑)

小林麻子
男性みんなに分かって欲しいです。

ありがとうございました。

この番組が永遠に続けば、また永遠の未来にお呼びしますんで。

佐藤・小林
はい。

どうもありがとう。

佐藤・小林
ありがとうございました(笑)

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