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ピケティ騒ぎの後始末③ ~資本「主義」はどんなイデオロギーか~(佐伯啓思×柴山桂太:西部邁ゼミナール)

▪️ピケティ騒ぎの後始末③ ~資本「主義」はどんなイデオロギーか~(佐伯啓思×柴山桂太:西部邁ゼミナール)

【ニコ動】
西部邁ゼミナール)ピケティ騒ぎの後始末③ ~資本「主義」はどんなイデオロギーか~ 2015.04.19

思想家:佐伯啓思

京都大学准教授:柴山桂太

評論家:西部邁(著書「蜃気楼の中へ」新版:中央公論社表現者5月号 4月16日発売)

女優:小林麻子

小林麻子
二週に渡って、ピケティ騒ぎの意味することと、所得格差の拡大はどうして生じるのかについて議論をいただきましたが、今回は「capitalism」つまり「capital(資本)の所有者をcaptain(cap-tain)とする社会制度そのものの弱点」が明らかにされるハズです。

柴山先生!

柴山桂太
はい。

小林麻子
「資本主義という乱暴な制度」が本当に存在するんでしょうか?

柴山桂太
「資本主義とは何か?」ということだと思うんですけど・・・

小林麻子
はい。

柴山桂太
資本主義の「主義」というのは、「大事と思う」という・・・自由「主義」なら自由が大事とかそういうことですよね。

だから、資本「主義」って変な言葉ですよね。ただまぁ、少し深く、突っ込んで解釈すると、「資本というものが社会において、大きな力を持つ社会」ということで、そういうふうな理解を最初に世に広めたのがマルクスカール・マルクス)で・・・

[*カール・マルクス(1818~1883) 主著『資本論』]

小林麻子
はぁ〜。

柴山桂太
19世紀の産業革命以降のヨーロッパ社会を見て、どんどんお金持ちがお金持ちになっていく・・・で、労働者はこき使われてですね、その日の暮らしがやっとという、こういうふうな社会を資本主義社会というと。要するに、資本が主役で労働者は従者と言いますか、そういった(マルクスの)イメージなんだと思うんですが、そういうふうな社会は純粋には存在したためしは無いんですよね。

つまり、いつもいろんな制度がありますので・・・

小林麻子
はい。

柴山桂太
政府が介入したりとか、あるいは、社会の風習や習慣みたいなものも残りますので、なので、「資本主義とは何か?」という問題は、実は結構、難しい、大きなものなんですね。

小林麻子
はぁ〜。

あのアルフレッド・マーシャルってね・・・

[*アルフレッド・マーシャル(英:1842~1924)ケンブリッジ学派を形成]

小林麻子
はい。

ケインズの先生筋にあたる、19世紀末から20世紀初めちょっとまでいたのかな。当時、イギリスの最大の経済学者たる人がこういうことを言ったの。

『数ある商品の中で、労働という商品は極めて“特殊”なので』

何が「特殊」って書いてあるかなと思うと、こんな例があった。他の商品は、たとえば「赤レンガ」ね。あの時代のイギリスは橋も何もかも、全て赤レンガで作っていたのね。だからレンガが例なんだけど、赤レンガの売り手は、自分の売ったものはどう使われるか、これは書いてないけど、漬物の重しに使われるか(笑)、橋のブロックに使われるか、何の感情も無い。売れればいいんだと。儲けがあがればいい。

小林麻子
うん。

ところが、労働の売り手。我々ですよ。貴女!

小林麻子
はぁ。

労働の売り手は自分の売ったものは、つまり、貴女の労働サービスが『どう使われるか無関心ではおれない』と。

小林麻子
うん。

そうでしょう?だって、貴女そこでさ、売りましたけど、ムチ打たれたりさぁ。

小林麻子
はい(笑)

その後に日干しにされたりね、無関心ではおれないわけさ。

そうするとね、労働の賃金契約を結ぶ時に、単に幾ら貰えばだけではなく、『自分が(労働の買手に)どう使われるか』、どういうデスクに座れて、どういう仲間がいて、いざとなったらどういう危険手当が与えられてどうのこうの、ということにね、それがあってはじめて契約を結べると、(マーシャルは)こう言ってるの。

小林麻子
あぁ〜。

話がくどかったけどね、そのことに注目すれば、こうなりません?

つまり、経済といえども『未来』というものに向かって生産したり消費しているでしょう。

未来というものはもちろん『危険(risk)』ですよ、リスキーだけど、この危険というのは、『数量的に予測出来ることを「危険」』という。

ところがね、僕のあれなんだけど『危機(crisis)』ね、クライシス。これは『(数量的に)予測が出来ないもの(が「危機」』ね。

[*危険(risk)→ 予測○ 危機(crisis)→ 予測× ]

さて、これが経済の中にあるんだとしたらですよ、この「予測出来ないこと」については、ITは、情報技術は、全く無効なんですよ。

小林麻子
うん。

だって、ITというのは、データ入れてボタン押すんですから、「予測出来ること」ならば、information technology(IT)は、勤労者を必要としない・・・あっ、ボタン押し(ボタンを押す人間)が必要だけど。

ところが、(予測出来ない)危機にあるんだとしたら、human organization(HO)、人間の組織ね。

[*危機(crisis)に対応するもの HO(human organization)]

『人間の組織(HO)』が、予測せざる危機が到来した時には、「えぇ?それじゃあ〜頑張りましょうね、残業で」とかさ。急に新しいセクション作って、このセクションで担当しましょうとか、『人間の方が機械よりもはるかに対応力があるわけ』さ。

問題は、仮にこれを「O(オー)」を組織と呼ぶことにしょう、organizationだからね。

そうするとね、資本主義、資本主義というけれども、18世紀だろうが、19世紀だろうが、いまとは違うけども、それなりの人間関係の安定化・固定化としての集団なり組織なりが企業とか産業の内部に貼り付けられていて、はじめてMarket economyは動いていたんだと。

小林麻子
(大きくうなずく)うん。

そうなってくると、普通に言うところの「資本主義」、全て資本の計算で動くって話は、実は「うわべ」を見たね・・・もっと言うと、『東大だとか慶応だとかにいるエコノミストたちは、何一つ「人間」のことを見ていない』と。

そういう意味において、確かにこれ「資本」で、どんどんどんどん組織がITに取り代わりつつあることは分かりますよ。でもね、ずっと数百年のタームで言えば、依然として経済といえども、機械がやっているんじゃなくて、やっぱりどこかで『人間』が登場しないと、特に、『未来の危機というものに、対応出来ない』と。

もう一つ言っておしまいにする。

「これを全部予測出来る!」としたのが、あの『証券バブルの組織詐欺行為』(リーマン・ショック)でね・・・

小林麻子
はぁ〜。

柴山桂太
(うんうん)

(証券会社筋が)「未来の収益率はこうですよー!」ってね、それで証券価格がべらぼうに上がって、気がついたら全部嘘でしたってね。

資本主義を非常に否定的に捉えて、資本主義という概念を非常にキーワードにしたのは「マルクス」「マルクス主義者」だと思うんですよ。マルクス自身は資本主義という言葉は使わないで『資本制的生産様式』という言葉を(特に著書「資本論」の中で)使ってますが、その資本主義というものを非常にキーワードにしたことは事実ですね。

で、マルクスが考えた資本主義というのは、基本的に「労働の問題」なんですよね。つまり、労働者が生産して、つまり、モノを作る。だけど、その一番いい部分は、労働者は例えば、10時間働いて、10時間分の商品を売り出すと。

小林麻子
はい。

だけど、労働者自身の生活費は5時間分で済むと。そうすると、(生活費分に相当する)5時間分の賃金が貰えない。では、(実働10時間労働における)残りの5時間分(※マルクスの言うところの「剰余価値」概念w)はどうなったのかといえば、それは資本家がとっていると。そこに『階級』というものが出来上がると。

小林麻子
はい。

だから、マルクスは基本的に「労働」というものをベースにして資本家を批判したんんですね。

で、それに対して20世紀の、まぁマーシャルはともかくとして、アメリカの経済学者たちは・・・

そうだね。

「労働」を中心として見たマルクスの考え方を批判したんですね。

小林麻子
はぁ〜。

だから、労働がオーガニゼーション(organization)になっているとか、労働者が具体的にモノを作り出していって、そのモノがどのように売れるかって話は、アメリカの経済学者は一切関知しないって話なんですね。 

そうだねぇ。

だけど、実はそこに非常に大事な問題があったと思うとんです。

小林麻子
はい。

つまり、労働者がモノを作るのだけども、モノを作らせる時に、資本家はお金が必要であって、そのお金はいったいどこから出てきたかといえば、まだ(この時点で)モノが出ていませんからね、作ってマーケットに出ていないから、資本家は(まだ)収入を得ていない。【「収入を(この時点でまだ)得ていないのに、どうしてお金を手にしたのか?」という問題】があって。

でそうすると、『「お金」が先に、労働するより前に「お金」がどこからか出てこないといけない。』

その問題か・・・。

この問題はやっぱり非常に大事な、つまり「金融」の問題と「労働」の問題というのがいつも対立して確執する。

そうなんだよねぇ・・・。

【それが一つの経済学の大きなテーマ】だと思うんですよね。

小林麻子
はぁ。

今度じゃあ、資本家がお金を借りてこないとしょうがない。(お金を)借りてくるということは「貸す人」がいる。

小林麻子
はい。

貸す人は、いま言ったようにまだ(借り手が資本家として労働者を雇いモノを作らせて市場に出すずっと前段階ゆえに)回収する見込みは無いけども、お金は貸すわけでよね。そうしたら、資本家はそれに対する「保証」を与える。そこから、『証券・証券化』と言いますかね、お金は一つの証券として、将来これを持っていれば将来お金は入りますよ、という、そういう「約束」に変わっていくわけですよね。

小林麻子
なるほど〜。

そこに、一つのマーケットが出てくる。それが『金融市場』で。そうすると、労働者もその金融市場に入って、その商品(=金融商品、証券)を買えるようになってしまって、そうしたら、『資本家と労働者という概念がそこで崩れてくる』わけですね。

小林麻子
(うなずく)

しかもね、こういう問題が出てくるんですよ。あっ『貨幣』のことにしましょうか。

貨幣を1億でも1千万でも持つとする。「どうして貨幣を持っているのか?」となるとですね、これ(板書したもの)に引っ掛けて言うと、「未来が不確実」でしょう?(もしも)確実でしたら、貨幣なんて持たずに全部計算でいいのね。

[*未来が不確実だから貨幣が必要]

佐伯君から幾らか借りまして、柴山君に幾らか貸して、ずっとこの5年間を累計すると、俺の借金は幾らになるから、それを次の5年間でこういうリストをつくると、何も持たなたってね、全部「計算貨幣」でいくんですよね。

でもそうなってくると、「貨幣」が必要な理由は、未来が確実ではなくて「不確実」だから、貨幣を持っていれば、これは『流動性』と言いますけどね、liquidity(リクィディティ)・・・何か出てきた時に、貨幣を使ってモノを買ったり、何か出来るというね。

[*流動性(liquidity) いかに容易に交換できるか]

ところがね、ギリギリのところなんだけども、あんまり不確実でですよ・・・

うん。

1億持った「ハズ」なのに、翌日、あの敗戦後のドイツ(=第一次大戦後)みたいにね、「それでパン1個も買えません」となったら、貨幣なんか持ったって意味が無くなってくるわけね。物々交換の方がよくなってくるでしょう?

小林麻子
(うん)

そしたら、貨幣が必要だというのは面白いことでね、『未来は不確実だから貨幣を持つのだが、ところが、あまり不確実だと持っている意味が無い』というね。

うん。

「ある程度の範囲」ね。だから、過去の歴史の安定も必要だが、全く安定でもなくて、新しいことも起こるから、ある程度の不確実さがギリギリの状態が、この貨幣なんですね。

小林麻子
はぁ〜。

そうですねぇ。過去2、30年に起きたことは恐らく、いま西部先生が仰ったことに繋げて言うと、将来がよく分からない。将来(未来)に対して我々は、とにかく生活を防衛していかなければならない。その一つの防衛の仕方は確かに『金融』なんですよね、お金を持つことなんですよね。

もう一つは、(西部が)先ほど仰ったように、オーガニゼーション、ヒューマン オーガニゼーション(HO)というか、いろんな意味で『仲間を作る』と。

そうなんですよ。

仲間で支えあうと。

小林麻子
うん。

だから、企業の中にも human organizationはあるし、家族もそうだし、地域もそうだし。

そう。

小林麻子
あぁ。

[*防衛策①金融 防衛策②human organization]

で、基本的に二つのやり方(金融とHO)があるんだけれど、『過去何年間がやったのは、そのヒューマン・オーガニゼーションを全部崩していったんですよね。』

小林麻子
あぁ〜。

(HOを)崩していって、そうするとみんなバラバラの個人になるから・・・

そうか。

『バラバラの個人は自分を防衛しようと思ったら「お金」を持つ以外になくなってしまった・・・。』

そう。

それが逆に、金融市場をやたらと大きくしてしまった。そうすると、金融市場が大きくなると、よくご存知のように、ヘッジファンドみたいな「投機家」が入ってくるために(本来なら将来の不確実への防衛策のハズの金融が)、逆に《金融市場が非常に不安定要因になってきてしまうと。》

しかもそこね、最後までそれこそ擬制、偽計ですけどね。

つまり、たとえばデリバティブ?証券組み合わせた新証券の派生証券の将来収益なんて計算できるハズ無いのにさ、テキトーなデータを入れてね・・・テキトーなんですよ、去年から今年のダブったデータを入れて、「このデリバティブの将来収益はこれこれですよ〜!」とやって、それでお馬鹿さんが全世界的に買い込んで、蓋を開けてみたら「全部嘘でした」ってんで、潰れていくわけね。

[*デリバティブ(derivative)「派生」証券]

小林麻子
はぁ〜。

本当そういう意味じゃ、「それが資本主義だ!」と言うのならばね、それはやっぱり長持ちしませんよ。

でも、まだ持ってるということは、いま佐伯さんが仰った、一方では人間がね、家族だ、あるいは企業組織だとかって、あの小泉以来の「規制緩和」によってね、労働組合でも何でも「規制緩和だ!」と言ってたんですから。そうでしょう?

えぇ。

この国の組織が壊れているのは確かだけど、まだ、ギリギリ残っているからね、一方で企業が組織が「安定」を支えているというのと、もう一つ言ったその、貨幣の方から・・・貨幣というのは、あんまり不確実だと持ってたって意味が無いんだから、ところが、あんまり確実だと持たなくていいわけさ。

うん。

「一定の不安定性、一定の安定性の中で、貨幣をなんとかしますよ」というのが、政府なり金融当局に対する今のところ『ギリギリの信頼』を国民は寄せているから、(貨幣を)持っているだけで。

ところがこれね、全然(自国貨幣に対して)信頼を寄せていない国ありますからね。

フフッ

ボスニア・ヘルツェゴビナとかチェチェンなんかどうなってるんでしょうねぇ、まぁいいや。

柴山桂太
ピケティの議論は、「資本主義というのは不平等が広がるのが問題だ」という。だけど、今の話は不平等だけじゃない。もっと本質的に言うと、未来が予測出来ないのに、経済活動する結果、バブルが起きたり・弾けたり、そういう『不安定性』というんですかね、それが問題であると。

で、ピケティは、「格差を直すためには、税率を変えましょう。富裕者、お金持ちから税金をとりましょう」ですね。それは一つの説として成り立つし、そうだと思うんですけど、でもそれは、資本主義の持っている病気と言いますか、『資本主義の問題の「ほんの一部の問題」に過ぎない』ってことなんですよね。

で、『不安定』、いま言った証券バブルが発生して、弾けるとかですね、というのは、《どんどん悪化している》わけです。というのは、それこそ『グローバル化の時代』ですから。ピケティも(グローバル化の問題について)ちょっと書いていますけども、国内でいろいろ規制を作ったって、国外にどんどんお金が逃げてってですね、向こうでメチャクチャやって、リターンを(海外から)持ってくるという、こういう社会になっていて。

なので、佐伯さんが仰ったように『人間組織(HO)』がどんどん形が崩れていくというような、相当全体的に直すというのをしていかないと、格差というか、そのごくごく表面的な格差だけちょっと直してみても、(資本主義の抱える問題に対して)あまり本質的ではないんですよね。

資本主義のね、最高形態は「株式資本主義」だ、ということはマルクスの段階で・・・マルクスはそれは3巻(「資本論」は全3巻)だから、未整理の原稿が残っているだけで。

「株」のことを「stock」というでしょう?ちょっとこう考えると面白いんです。「株」ですよ、「株」って「木の株」ね?

小林麻子
はい。

僕は絵が下手だけど、こう植物があるでしょう、枝葉を伸ばしてね。このあたりのことを「根株」(=木の切り株のこと)と言うんでしょう?

実はね、株式会社のもともとの意味は、この4人で株になりましょう。東インド会社ね。「イギリス人よ、これからインドで上手くやろうぜと。4人が「株主」になって、枝葉をつけて収穫を東インドから得ような」と、こう考えたわけさ。

[*イギリス東インド会社(1600年設立)]

ところがこれね、いまは「株式公開」するでしょう?したらね、これは安定した株じゃないんですよ。ぶった切って裁くんだもの。それで、昨日までインドにも日本にも何の関心もない奴が金を持って、あぁ〜なんか儲かりそうだから(株を)買って、儲からなそうだから(株を)その場で売ったりしてるわけさ。

つまり、資本主義が公開株式市場まで来ると異様な姿ね。株がしっかりしてて、安定してて、はじめて収益があがるものを、切り刻んで、売り捌いて、しかも、その(株式の)売買を異様な速度で、ひどい時には数時間おきに売り買いやるんでしょう?そういうことをやっているわけ。

そうねぇ・・・。

その資本主義というのは、常にイノベーションを、新しいものをつくっていって、新しいところに利潤を生み出すシステムだって話が出てましたけども、まぁ実際にはこれ、ITとかスマホだとかやったけど、まぁある程度は利益はあがったけども、『スグに行き詰まってしまう』んですよね。

そうでしょう。

最終的に出てくるのは、結局『お金そのもの』なんですよね。

そうねぇ。

お金そのものを転がすことによって、利益をあげるという、それは、ある意味ではここはずっと続くんですよねぇ・・・常に『不確実性』が出てきますから、みんなが何を考えているかということが分からない限り、金融市場は必ず不確実になるんですよね。それ(皆が考えていること)は分かりませんから、そこは必ず不確定性があって、利益があがるということ。

だから結局、金融市場にお金を集めないともう(資本主義は)利益があがらなくなってしまっているんじゃないですかねぇ。

柴山桂太
実際、あのピケティが書いた、あのアメリカのお金持ちを分析すると、「スーパーリッチ」と呼ばれるアメリカの上位0.01%ってものすごいんですけど、年収25億ぐらいあるらしいんですけど、それは1/3は会社経営者で、1/3は金融業者らしいんですね。残り1/3はスポーツ選手とか(著名人とか)そういう人たち。

[*「スーパーリッチ」アメリカの最富裕層]

柴山桂太
だとすると、金融業が儲かるし、しかも、儲かった富をものすご上の方へ吸い上げていくという仕組みにもなっているのは事実ですね。

小林麻子
はい。

ピケティの本というのは、そういう事態をえぐり出してね・・・そりゃどう考えたっておかしいに決まってんのよ。どう考えたってハッキリ言いますが、(そのままだと)滅びますよ。小さい声で言いますけ、『滅びやがれ!』と僕はだいぶ前から思っていますけどね。

小林麻子
(笑)        

だってそれは、「歴史の常識に反すること」は長続きするわけがない。

money(マネー)ね。どうして貨幣のことを英語で・・・あっ「貨幣」からいきますか。

(貨幣の「貨」の字の冠部分の「化」について)これ「化」ご存知?(「貨」の下の部分の)「貝」というのは「たからもの」なんですよ。価値あるもの。

小林麻子
はい。

これ(化)は「化ける」でしょう?

小林麻子
あぁ。

貨幣があるとね、何にでも、洋服にも化けられるし、アンパンにも化けられるってね。何にでも「化」けられるたからもの(「貝」)が「貨」ね。

それはいいんだけど、問題は「弊」なんですよ。これは、御幣を担ぐって、神社の札ですよ。

[*弊・・・神社のお札]

小林麻子
はぁ。

そうですね。

僕が言いたいのは、貨幣は昔、なんか神社のお札とかあるように、何か未来に対する、ある信じこみ方、もっと広く言うと、安心感ね。「こうやってれば、だいたいこうなるはずだ」というね。そういうことを繋ぐのが「貨幣」だったわけさ。

うん。

貨幣ったってあれですよ、政府というか、財務省と日銀が結託して発行、いちおう日本銀行券だから・・・まぁでも実質、公の機関ですよね。あれを我々は『信じている』からね、ありがたいとまでは言わないけども、俺たちの国家だし、俺たちの中央銀行だし、よほど悪いことはしないだろうなと、吉を凶と言ったり、凶を吉と言ったりしねーだろうなと。いちおう安心しているから、あれ(貨幣・日銀券)で払ったり、貰ったりしていますけどもね。

小林麻子
はい。

あいつら(政府や中央銀行)を一切信用しなくなったら、あれは単なる『紙っぺら』なんですよ。

小林麻子
ウフフフフ。そうですね(笑)

うん。

国債」を、どんどんどんどん政府が借金をしているという言い方をするんだれども、借金というか、あれはまぁ、『国民の資産』になっていますからねぇ。

そうなのよ。

そういう別に「借金だから大変だ」という話ではないんだけど、まぁいずれにしても、要するに政府がそのうちあのお金の価値を無にしてしまうだろう、無くしてしまうだろうと(笑)そういう話ですよね。

だからそれは、『我々が日本政府をどこまで信頼するか。日本の国というものをどこまで信頼しているか』ということにかかってきて、もう本当に(自国を自国民が)信頼しなくなると、確かにデフォルトになる可能性はありますね。だけど、『政府がそこまでしないであろうと信頼しておけば、まぁまぁ今の赤字程度では大丈夫だという話。』

そこまでくると厄介な事がずーっと出てくるのね。

戦後70年間、選挙民、一般市民、一般国民、まぁほとんど常習的にね、なんか政府の批判しておけば、だいたい酒コップ1杯は飲めるとしよう。

政府を批判するってね、ぼくそれ(政府)を弁護してるんじゃないのよ。政府関係を批判するのは、一番しゃべり易いことなわけさ。でも、それをもしも「延長」したらね、政府が貨幣を出しているだ、簡単に言えば。

小林麻子
はい。

それを「信用しない」となったらね、『自分が使っている貨幣自体が単なる“紙っぺら”に帰す』んだってね。

『そしたらね、やっぱり「信頼できる政府を作るにはどうしたらいいか」という議論無しに、政府批判なんかやっている、これが何百年と続いているんでしょう?』

うん。

特に、戦後日本人は70年もそれが続いているでしょう。

小林麻子
うん。

どっかでその「信頼」っての?何も僕ね、ロマンチックに言っているんじゃないんですよ。まぁ別に、(世間が)安倍さんを信じなくたっていいけどね、まぁまぁこれだけの歴史がある国だから、間違うこともあるだろうけど、大きく間違うことは無いだろうなと“信頼したことにして”、俺も大した能力は無いけど、顔みたらあいつの方が(自分よりは)良さそうだから、あいつを選んでおくかってね。

小林麻子
うん。

でも、1年後にどうも俺の判断は間違ってるって、やっぱりこっちにするわ(笑)

もっとゆったりとした形で、人物を選び、人物を信頼し、そして組織を作って、政府を作って、品物を作るってことにしてればね、資本主義は(まぁまぁ安定の方向へ)・・・でも、みんなして疑え疑えと言って・・・

フッフッフッフッフ

あぁいうの『墓穴を掘る』と言うんですよね。

小林麻子
あぁ〜。

うんうん。そうですねぇ。

柴山桂太
格差の問題も、社長さんが従業員の300倍、400倍ものお金を貰っているのはおかしい。会社としての信頼をしっかりもういっぺん作り直そうとなれば、そこである程度安定してくるということはあるはずなので。

そうだろうねぇ。

柴山桂太
政府も含めた広い意味での『組織みたいなものをしっかりと作り直すということが、資本主義を安定化させるための大条件だということになる』と思うんですけども。

まぁ、それともう一つ、やはり今の「信頼」とかがあるけども、ある種の『公正』の概念みたいなものをね、形成しないと。

[*「公正」の概念]

そうだよね。

そういう合意が本当は出来るハズなんだけども、誰かが無理やりにやろうとすると無理ですね。

何か、習慣的なところから、まぁだいたいこれぐらいでいけるだろうというね。

そうだね。

ある程度、取引というのはこれぐらいの範囲で、価格、値段はこれぐらいのところが妥当だという、ある種の『公正さ』みたいなものがね。

麻子さん。

小林麻子
はい。

どうして、僕が貴女の300倍の収入があったら、どうして「不公正」だと思う?

小林麻子
・・・・・。

本当は「詭弁」で幾らでも言い逃れることはできるのよ。

うん。

小林麻子
はぁ。

「俺はアンタよりも300倍の能力と努力云々・・・」とね。

小林麻子
えぇ、そう思います。

誰が見たっておかしいの、それは。

うん。

どうしておかしいかと思うかと言うと、麻子さは、こう思うわけさ。

「西部さん。なんかいろいろ本も読んだり、ものを書いているようですが、私の300倍ってことは無いでしょう?たいしたやってないでしょう?」ってね(笑)

小林麻子
あらぁ〜。

・・・想像できるわけ。

小林麻子
う〜〜〜ん。。。

今度、僕の方はね・・・

「麻子さんの収入が少ないのは、まぁ俺以上に怠けているからだなぁ」とは思うけども・・・

小林麻子
それはそうです、はい(笑)

300分の1にまで怠けているとは、俺は想像していないわけさ(笑)

そうするとね、実は「お互いの想像」って本当は分かっているのね。

「300倍は多すぎる」と。

小林麻子
はぁ。

せいぜい上増ししても、10倍が限度ってね。

うん。

できればせいぜい人間なんてね、あいつら結構優秀らしいけど、せいぜい俺の5倍程度だろうってね。

小林麻子
いやぁ〜(笑)

5倍の方も「本当はそうなんだ」って分かってるから、それに近づくのが、いま佐伯さんが言った【公正】ってことなんですよね。

ピケティ騒ぎをお二人来ていただいたということで、僕のメッセージとしては、

視聴者の皆さん・・・ピケティの本はどんどんお買いなさい!

小林麻子
(笑)

・・・けどしかし、どんな本かぐらいは、ちゃんと読んで、ちゃんとお分りください(笑)

(ピケティ)騒ぎに参加することなかれ。

ありがとうございました。

【次回ゲスト】鳩山由紀夫木村三浩
「クリミア訪問の意義とは」