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▪️特別講義 西部邁×表現者塾々生 日米関係を巡って(西部邁ゼミナール)

▪️特別講義 西部邁×表現者塾々生 日米関係を巡って(西部邁ゼミナール)

評論家 西部邁 近著:「生と死、その非凡なる平凡」(新潮社)

【ニコ動】

西部邁ゼミナール)日米関係を巡って 2015.06.14

http://sp.nicovideo.jp/watch/sm26484148?cp_in=wt_tg

西部邁

えぇ、日本の防衛問題についての第二週目、特別臨時講義と称しまして、話させていただきますが、どうしようかな・・・あぁそうだ!先週の終わりに、小林麻子先生が・・・

小林麻子

先生じゃない・・・(汗笑)

西部邁

「あたしたち日本人は、正しい判断が出来る自信がない」と。

「それなのに、安保法制・法律を変えて、日米同盟と称して日米関係を強化して、そんなことをしたら危ない!!」

小林麻子

アハッ(汗)

西部邁

・・・と仰って、で僕が、小さな声で、

『バカやろう!!』

塾生一同

(笑)

西部邁

その意味は、小林さんへのバカやろうじゃないんです。小林さんの仰る通りなの、麻子ちゃんの。

小林麻子

(渋い表情)

西部邁

ずっと間違えだらけなの、やってることが。

小林麻子

それまでのずっと・・・はい。

西部邁

これまでの70年で間違ってきたやつがね、急に71年目からね、正しい答えに近づくってことは考えにくいから・・・

小林麻子

うん。

西部邁

本当に慎重にしないといけない。改定だの、新時代のあれだの、日米同盟の強化だのとね、洒落臭いことを言うなと。この女性(小林麻子)が仰るのは・・・

塾生一同

(笑)

小林麻子

すいません、そんなに・・・(困)

西部邁

正しい!

塾生

そうですね。

西部邁

けどしかしね、それであとはダマってですよ、僕たち永遠に間違い続ける国民・民族である可能性が高い。ゆえに、何もしません!!

小林麻子

・・・うん。

西部邁

何も判断・決断しません!!っちゅうわけにはいかないでしょう?

小林麻子

うん。

西部邁

そういうのはね、さっさと失せやがれ!!と言われるの。もっと言うとね、世界から、死にやがれ!!!と言われるの。

だって、みんなそれぞれね、限られた情報でいわゆる試行錯誤で、間違っているかもしれないが、一生懸命考えて、どうもこうしか思えない、と。・・・それで結果として間違うことあるのよ?

塾生

うん。

西部邁

そらそうですよ。

塾生

そらそうですね。

西部邁

これね『フォリブル(fallible)』というんですけどね。人間の【可謬性】というんですけどね。

塾生

はい。

西部邁

フォリビリティ(fallibility)・・・人間は間違いを犯す可能性があるケダモノであると。

塾生

そう。

西部邁
(小林を指差して)仰る通り。

小林麻子

(うん)

西部邁

であるがゆえに、でも、何もしないというわけにはいかない。

小林麻子

うん。

西部邁

何とかね、正しそうなものを「仮説」として考えて、ある種の冒険・実験ですけどね。やってみて間違ったら、素直に反省すると。相手を傷つけたらもう本当に謝罪もすると。でも、何かを判断・決断すると。『それが生きているってこと』ですからね。

まぁ、それで(先週番組最後の「バカやろう」についての話は)済んだとするんですが、で、第二週目に入りますけどね、第一週目に僕が、「アメリカは問題がある」と。で、みんなは「そうだそうだ」と軽く頷いて下さった。

塾生

はい。

西部邁

あっちの酒場でもこっちの広場でもそうですよ。「アメリカは問題だ」というと、「そうですね」と返事が来るんですよ。

ところで、ヒラサカさんに聞いてやろうか。簡潔に答えてね。

塾生

はい。

西部邁

アメリカの何が問題なんですか?(笑)

塾生

まぁとにかく資本主義だったり民主主義だったり、いろんな場で、一つの答えをあちらは持って、それを押し付けてくるという態度を世界中でやっている。

西部邁

・・・押し付けてくるのが問題か。でも、僕に言わすと、一つの立場で、それが正しければ尚押し付けて頂戴ってなもんであってね。

僕ね、ちょっと縁遠いような話だけど、アメリカっていう国はね、独特なのは、ここ(黒板)に書いた。せっかく書いたんだから、この字を見てさぁ・・・反応してもらいたいんだけどね。

塾生

申し訳ありません。先生が仰るのを・・・(笑)

塾生一同・小林

(笑)

西部邁

【近代化】ね。モダナイゼーション(modernization)といいますが、近代化ね。(modern)

塾生

はい。

西部邁

普通の国はね、日本もそうだったんだけど、どんどん明治このかた『近代化』するでしょう?

塾生

はい。

西部邁

でもね、何度もあったんですよ。このまんま、西洋的な近代化に、例え鹿鳴館は西洋のマネしてたってさ、「えぇ?こんなことをいつまでやっててどうするの???」ってんで、日清戦争が、1894年に近づくにつれて、やっぱりね、

『西洋と違った日本を取り戻そうじゃないか!!』

というんで、一言でいうと、【日本主義の運動】まで起こっている。そんなことがいろいろあるんですよね。

西洋の近代化のマネをしながら、でも壁にぶつかってダメだと。日本本来の姿を取り戻そうじゃないかってね。戦前まではね、いろんな「揺れ」があったのね。

『戦後』ですよ。アメリカに原爆落とされ、兵隊が100万人、一般市民が90万人焼き殺されてからね、腰抜かしてね。言葉汚いけど。度肝を抜かれて「アメリカが正しい」と。

じゃあ、アメリカは何やってんの?って言ったら、アメリカって国はね、【実験国家】ですから。

塾生

はい。

西部邁

まずヨーロッパの移民たちがはじめて・・・わかりやすく言うとね。フランス革命の責任があるから、新大陸のせいだけじゃないんだけど、フランス革命アメリカ独立革命とを込みで言えば、「自由」「平等」「博愛」・・・これはフランス革命ですけどね、今風に言えば「自由と民主、これは普遍的な価値観である!」と称して、『自由・民主の旗印の下に各国の改革・革命をやろう!!』云々と。

いわゆる実験国家ね。experimental state(エクスペリメンタル・ステート)、この場合の意味は・・・

『歴史の流れを切断してでも、飛躍してでも、新しい理念の名の下にかなり大掛かりな社会全体に及ぶような実験をやろうではないか!?』と。

もちろん、ロシア革命もありましたから、アメリカだけじゃないの。でも、ロシア革命ソヴィエト連邦は失敗したわけね。

中国革命もありましたが、で、共産党独裁は続いているけども、共産党のやっていることは、資本主義を取り入れましょう、市場経済を取り入れましょうと、独裁の下に、経済・文化で言えばどんどん西洋化、そういうことをやっている。

そういうことを含めて言うとね、アメリカってのはね、いまや全世界の純粋とまでは言わないけども、【単純な近代化の理念】の下に、具体的に言えば、自由・平等・博愛の旗印の下に自分で実験をうやるだけではなくて、他人様に、普遍という価値だから日本もやれ!と。

インドもやれ、アラブもやれ、スラブもやれ、ということ自体がこれ『押し付け』ね。これ言うこと聞かないと「攻めるぞ!」みたいなことを言う、そうやってきているわけ。

攻めることが問題じゃなくてね、問題はこの【近代化】(modernization)ということですよ。これはね、日本人だって偉そうなことは言えないんですよ。「近代化糞食らえ!」と言った人はあまりいないでしょう?

そもそもね、この『近代化』って言葉がおかしいわけ。これ英語で言うと、modernization、つまり『modern(モダン)』でしょあれ?

モダン(modern)には、「近代」なんて意味はないわけ。近代ってこれ、最近の時代でしょう?50年なり100年なり200年なり。どこにモダンという言葉に「最近」という意味がある?

「モダン」と「ほぼ最近の時代」、これを「近代」と訳したヤツは、小さな声で言いますが、バカッタレのやり方なの。

これはね、言葉に素直に、modernというのは、『model(モデル=模型)』とかと同義語なのね。模型ね。【単純な分かりやすい模型】。

次は『mode(モード=流行)』、今日は、手が痛いからかかないけど、m o d e ね。これは、様式とか流行って意味さ。だって、modeって雑誌は・・・今はもう無い?昔あったなぁ。

小林麻子

あぁ、はい。

西部邁

そうでしょう?女性のファッション雑誌。「この様式が今年流行りそうよ」とミニスカート、ロングスカート云々。モード(mode)でしょう、それと(モダン=modern)は同義語ですからね。

modernization(モダイナイゼーション)というのは「最近の時代」という意味じゃなくて、『分かりやすいモデル(model)を大量の流行(mode)に乗せる』というね、そういう意味なわけさ。

塾生

うん。

西部邁

『それがいいことだ』としてるわけ。

僕は言いたいね。分かりやすけりゃいいのか?と。

小林麻子

(うんうん)

西部邁

物事は複雑でさ、そう簡単に一分間で分かるような模型を作られても、ボタンを押せばいいだろうというようなね。別に情報産業をバカにしているわけじゃないけど・・・昨日見たなぁ〜、コンビニ出たら、スマホを(手に)持って(触りながら)道を歩いてお互いにぶつかっている人を、タクシーの中で見たことある。

一同

あぁ〜。

西部邁

あれは、模型のスマホを持って歩くのはモード(流行、様式)だから、ぶつかっているわけさ。僕はタクシーの中から『馬鹿野郎』と。

一同

ハハハハハ(笑)

西部邁

それはどうでもいいけどね、普通はですよ、世の中そんなに単純に模型に出来ないね、感情とか価値観とかいろいろあるだろうと。模型はみんな飛びつくものだがね、模型だってね、しかも一つとは限らないでしょう?

考えてみたら(模型が)AからZまである。Aがいちばん分かり易いが、Zの模型は複雑だけども何か納得できるかもなという、そういうこともしないで、分かり易い模型、モード・流行に飛びつけ!!そういう感じに大きく傾いたのが、アメリカだけじゃないんだけど、『最近の時代』で、その先頭を今なお切っているのがアメリカなわけさ。

小林麻子

(うん)

西部邁

別にね、アメリカが正しいなら、どんどんアメリカナイズしたっていいんですよ。でも、いま言ったように、アメリカ的なものの本質がね、分かりやすいモデルの大量流行ね?

小さい声で言う。本当は人間ってね、僕も含めて“そんなもん”なんですよ。昔の人は、羽織袴ですからね、草履でね。

塾生

そうですね。

西部邁

俺、やってないでしょう?

小林麻子

いやぁ(笑)

西部邁

結局のところはね、洋服だか靴だかってね、そういう流行。でも、僕が言いたいのは、何も喜び勇んで先頭を走ってですよ、行く必要もあるまいと。それは変な格好かもしれないんだから、石橋を二度三度、二十度、三十度叩いてまぁ焦らないと、うん。今更、羽織袴でもないから、と言ってね、後から付いていくというぐらいで、待つのがもう少し多くてもいいわけさ。そうでしょう?

小林麻子

(うん)

西部邁

ところが、そこで問題が起こるんですよ。なんでそんなね・・・・これ、先ほどのモード(mode)と、モデル(model)と言ったけど、newness(ニューネス)ね、新しい。最近、新幹線に乗ったことあります?あるでしょう、電車でもいいんだ。看板広告か、もうイノベーションイノベーションですもんね。会社の名前は挙げませんが、「A社のイノベーションを見よ!」「B社はイノベーションをやってます!!」「C社はイノベーションの前線にいます〜」なんてもう。

あれ、innovation(イノベーション)ってのは、novel(ノーベル)というのは「新しい」(新奇・奇抜)って意味ですからね。それにin(イン)だから、『新しいものの中に入っていく(=in・novation)』というわけさ。

これもね、慎重に言おう。僕もそうなんだ、古いものってね、飽きるときあるのね。(顔をしかめながら)「また今日もこの料理か」と。「新しいもの食ってみたいな」と(笑)

塾生

(笑)

西部邁

これ人間の性でね。未開民族とか同じことを何万年もやってましてね、立派な人たちなんですけど、もうだめか、絶滅させられているかな。

でもね、結局、人間は新しいものを取り入れるのを認める。けど、僕が言いたいのは、そこを【進歩主義】ね、progressivism(プログレッシヴィズム=進歩主義)と称してね、「新しいもの・新しい変化は必ずや、紆余曲折があろうともいずれは良き事態に辿り着くハズだ!」と、【新しいものへの信仰】(進歩主義=progressivism)ね。この先頭を走ったのがアメリカなわけですよ。

それで、そのあと喜び勇んで、尻尾振ってくっついて歩いたのが・・・日本って国があるの知ってる?

小林麻子

ハー(驚)

塾生

聞いたことはありますね、ワハハ(笑)

西部邁

なんだ、その言い方はキミ(笑)まぁ〜そうなってくるわけね。

でもね、慎重に聞いてよ。僕ね、新しいものを作り出す、迎い入れるのを、まぁ「人間の本性の一部」であるのは認めるが、何もそれを全部にしてですよ、しかもそれをスピードアップして、1年後に新しいものを取り入れるよりかは、もう明日にでも取り入れるのが、「進歩が早いことだ」と称するのはね、もう本当に粗忽者(そこつもの)、迂闊な人間になることであってね。

とにかくこうなんだもん・・・麻子さん?

小林麻子

はい?

西部邁

(両手のひらを向い合わせて肩幅程度の幅を作って)ここに新しい変化の可能性がある(とする)でしょう?僕ね、絶対これが一つの可能性なら、人間はそれに入るしかないよ。

でももう一つの可能性、簡単な可能性がある。(とする) 「新しい変化はしない」というね。しなくてもいいわけでしょう?どっちがいいかわからないけども。したら、選択肢は2つでしょう。で、一般に言うと、新しい可能性は3つも4つもあるわけ。したら、どれがいいか?ね。現状維持するという選択肢も含めて、選択肢は必ず2個以上あるわけ。

小林麻子

はい。

西部邁

そしたら、どれがいいかをさ、麻子さんが先週言ったように、「そんなことは私にはわかりません!」って言われたって、選ばなきゃいけないわけ。

小林麻子

はぁー。

西部邁

そしたら『基準』が必要でしょう?

小林麻子

うん。

西部邁

で、その「基準」は何処から来るか?と考えるわけさ。

『宗教』を信じていればね、何々教の教祖様が「2番目を取れと言ったから、それでいい」と。あるいは、かつての『政治的イデオロギー』ね。社会主義でも封建主義でもいいや。ともかくお殿様が言ったことが大事ですから、あるいは、社会主義のようにさ、共産党官僚、スターリン先生の・・・先生じゃないか、(スターリン)親分が言ってますのでで、それはいいよ。ただ、それも無いわけでしょう?東大総長?僕知ってますけどもね、おバカさんの(東大)総長も居たどころか、かなり多いんですよ。

いま言ってるのはこうなんですよね。『世論』ね。public opinion(パブリック・オピニオン)の多数派がこう言ってるってことです。そこでまた、ゴメンね、麻子さんに聞こう。

小林麻子

はい。

西部邁

パブリック・オピニオン。

小林麻子

はい。

西部邁

世論。

小林麻子

うん。

西部邁

世論が正しかったこと、見たことある?

小林麻子

それは、無いです。(キッパリ)

西部邁

・・・無いのか(笑)

一同

(笑)

西部邁

そうなんだよね?(笑)

小林麻子

はいッ(笑)

西部邁

僕ね、小学校のとき以来ね、教室の多数派、大人になって言うと、ある新聞・テレビの世論調査でね、世論調査は正しかったなんてことは・・・

本当はね、麻子ちゃん、つまり「無いですっ(キッパリ)」なんてねぇ・・・

小林麻子

アハハハハ(笑)

西部邁

(小林の顔を覗き込みながら)一度ぐらいはあるんじゃねぇの?(笑)

一同

(爆笑)

西部邁

まぁそれはあるかもしらんけどね。

小林麻子

そうですねぇ(笑)

西部邁

おおむね(世論調査の多数派は)間違っているわけさ。だって、近々で言えば、あれでしょう?構造改革がそうだっけ。いや違う、もっと他にする。小泉純一郎内閣、みんなね、えぇ?・・・世論支持率8割だったのよ?

小林麻子

はい。

西部邁

それでね、5年ぐらいやったらね、どうも小泉改革はおかしいから今度は民主党だ!と。

塾生

う〜ん。

西部邁

真逆のね、今度は民主党支持率が8割・・・民主党(政権)は3年ぐらいやってるんでしたっけ?で、民主党が・・・

塾生

せ、先生。あの要は、小泉は「自民党をぶっ壊す」、民主党も何かを壊す、ということで一致しているんじゃないですか?

西部邁
うん・・・あなたの通りだ(苦笑)

塾生

へへへへへ(笑)

西部邁

まぁ、その前にさ、一応先生に喋らせろよ?(笑)

塾生

はい、先生に(笑)

西部邁

それで民主党(政権は世論調査で)8割。それで、民主党は(政権を)3年やったら壊れる。それで、今度は安倍さんの再登場とこうなって・・・

そしたらね、たった十数年の間にだよ、世論は「真逆」にこっち端からこっち端、またこっち端って動いている。そういうことを何回かやるとさ、世論というのは、これじゃないの?(頭の横で指をクルクルのジェスチャー)となって普通でしょ?

近々でもそうですよ。もっと長く言うと、全世界的に言ったって、例えば「イラク戦争」はどうする?僕ね、自分を売り出しますけどもね、『これはアメリカの侵略だ!!』と言ったのは、最初は僕一人だったの。僕は嘆いているわけじゃないんだよ、小学校以来、慣れてますから(周囲・世間から)バッシングされることに。すごいバッシングされたの。【反左翼系インテリ集団】から。

『西部はテロリストである!!』

・・・小さい声で言う。アホな部分ね。僕はテロ嫌いじゃないんです。

塾生

ワハハハハ。

西部邁

でもそれね、僕はテロで行けなんて、言ったことは無いから(笑)好き嫌いはどうでもいいですよ。

で、『アメリカの侵略にくっ付いて行くな』と言って一年間ぐらいバッシングされて、僕はニヤニヤ笑ってましたがね、で、今は(そのことを)誰も言わないんだぜ。(その挙句、当時の西部をバッシングした連中は)「アメリカのイラク(侵攻)は失敗であった」と言っている、何なんだ、この人たちは(呆)

世論だけじゃないの、『インテリの言ってること』ね、学者・ジャーナリスト・評論家etc...が言っていることは、小さな声で言う・・・・

『正しいことがタマ〜にありこそすれ、おおむね間違っておりました』と。

だとしたら、一体、何を基準にして選ぶ?残るはギリギリこうなんですよ。

何十年、何百年、何千年の歴史というものがありましたね。歴史は紆余曲折あり間違えだらけだけども、歴史を振り返るとこういう間違えがあって、こういう反省をしたかと。こういうふうに反省して、なんとかかんとか上手く行ったかと。でも、結局間違ったと、そういう経緯の中で、そうかと、考え方、やり方としてね、こう考える、こうやるのがどうも知恵あるやり方のようだな、と。

もちろん、過去のことですから、状況は(当時と)今は違いますからね、過去をそのまんまに再現出来ないんだけども、(過去は)大いなる参考になるでしょう?あぁいうやり方はやり過ぎで、こういうやり方はちょっとね、臆病過ぎたと。『参考』にしてみんなで責任をもって、こう行こうという。

やっぱり、歴史が残した普通、『伝統』と呼ばれるもの、歴史のwisdom(ウィズダム=知恵)、知恵と言えば、知恵は、いま進む道を正確には教えてはくれないけども、大きな参考材料になるな、といってみんなで議論をしてね、まぁいつまでも議論してるわけにもならないから、どうだ?判断してくれと。“間違う可能性も含めて判断”してくれと言って決めるわけでしょう?

そういうこと、そういう意味での歴史、そうすると厄介なの。

アメリカって国は独立革命からもちろん、200何十年経ってますけど、『(アメリカは)その歴史・歴史感覚が大事だということを物事の第一歩として押さえていない国なんですよ。』

だってそれは・・・僕は北海道ですからね。北海道は日本の本土の内地(=本州)と言ったな、(内地の)流れ者の場。もっと言うとあれですよ、僕は内地から棄民された、我ら棄てられし人々の末裔。威張って言ってるんだけど、俺のこと(笑)


塾生

ハハッ。


西部邁

だから、アメリカの気持ちなんかすぐ分かる。「移民の国」ということは我ら。旧世界から追い出された人々の末裔。威張ってもいいんだけど、同時に、やっぱりさちょっと自己を振り返って、俺たちは歴史感覚が乏しい。


小林麻子

うん。


西部邁

だからね、ふいにですよ、空疎な自由・民主、自由・平等・博愛ってね、綺麗事に飛びついて、自分は正しくて、相手は相手なりの国民性に基づく自由、平等かもしれない、「俺のやり方が自由と平等の内容だ」と言って押し付けに入るというね、それが『実験国家』『移民国家』『歴史無き国家』ね。少なくとも、『歴史感覚乏しき国のやり口』になる。だから、この newnessに飛びつくわけさ。新しいもの。この選択肢の中で、いちばん刺激的なやつね。

悪い例だけども、スカートは短ければ短いほど刺激的でえぇなぁと。


小林麻子

うん。


西部邁

そういうバカなことが多いんですよ、案外。


小林麻子

うん。


西部邁

それでパッと流行になると、もう猫も杓子もって女ですけど、最近は男も含められる、短いスカートになっちゃってる。何年かやってると退屈しちゃってね。ロングいいとかさ。


小林麻子

そうです。早いんですよ。ロングになるのは。


塾生

(笑)


西部邁

mass(マス)というのは、砂粒の集まりとか小麦の、バランバランな人間の巨大な集まりが、それを「大量」という意味でマスと言うんだけど、これを人々に、人間に当てはめて【大衆】と訳したんだね。【大衆化(mass)】

ただ、大衆って訳語は不適切でしょうね、日本語で大衆というと「庶民」のことを意味することが多いからね。


塾生

多いですね。


西部邁

この場合のmass(マス)というのは、庶民じゃないです。先ほどの、『歴史から切り離された人々』だから。

庶民ってのは、熊さんも八っつぁんもね、


小林麻子

はい。


西部邁

あれはもう歴史に繋がっている。(だからマスは)それじゃなくて、庶民ならざる、だからインテリもそうですよ、政治家だろうが学者だろうが新聞記者だろうがね、こういうニューネス(newness)「新奇さ」に先ずもって飛び込んでいく人々の群れを『マス=大量』と言ったら、実はアメリカこそは mass society(マス・ソサエティ)、『大量人たちの最初の社会』なの。


塾生

あぁ。


西部邁

もちろん、ローマもそうだったんですけどね、『近代』におけるね、最近の時代における最初のマス・ソサエティがアメリカなわけ。と言ってる人が、僕が言ったんじゃなくて、【トクヴィル】って人が言い始めて、これはね、常識なんですよ。


塾生

うん。


西部邁

そのアメリカナイゼーションってことは、【大量化】ね。もっと言うと、モデル化、モード化の大量現象に我勝ちに飛び込んでいく、それが素晴らしいとしたのが、【戦後日本】なわけさ。

小さな声で言うが、『くたばりやがれ!!』と・・・言いたくなるでしょう?


小林麻子

うん・・・。


西部邁

でも、ぼく日本人だからそう言えないわけさ。それで僕は、今日の結論。

アメリカ人も大変だな。戦争もやらなきゃいけないし、モデルもモードも大変だろうけども、ご苦労様と。


小林麻子

へへへへへ(吹き出すw)


西部邁

そろそろ深く反省して、項垂れていい時節じゃないですか?でも、外国のことを冷やかしててもその前に、その後をくっ付いてですよ、アメリカの後をくっ付いて、僕たち日米同盟なんて言っているね、嘘こき1億2千8百万人・・・小さな声で言う。・・・【失せやがれ!!】って言う人がいたって不思議じゃない。


塾生

(笑)


西部邁

ということで、これ以上言っていると、あのMXの部長に叱られるんで・・・


塾生

ワハハハ(笑)


西部邁

それをもって今の動きね、その動きそれ自体じゃなくて、

【「その動きを支えている戦後日本人のあり方、それを問い直すことが絶対に不可欠である。」】


小林麻子

うん・・・。


西部邁

これでもって、セミナリオ、模擬セミナリオは終わります。ありがとうございました。


一同

ありがとうございました。


西部邁

(小林を指して)それ。礼が深すぎるって言うんだよ(笑)


小林麻子

いえ。分かりやすかったから(笑)


塾生一同

(笑)


【次週】音楽教室(ふるさとの歌)
ゲスト:青山恵子