戦後70年間の結果にどう対処するか④ ゲスト 小林興起×東郷和彦×脇雅史×西田昌司(西部邁ゼミナール)

戦後70年 特別連続企画:『政治家としての戦後70年間の結果にどう対処するか』ゲスト 小林興起(国民党代表)×東郷和彦(元外交官)×脇雅史自民党参議院議員)×西田昌司自民党参議院議員

【ニコ動】
西部邁ゼミナール)戦後70年間の結果にどう対処するか④ 2015.11.1


今村有希

戦後70年の結果にどう対処するか、いよいよ最終回です。参議院議員脇雅史先生と西田昌司先生、京都産業大学教授で元外交官の東郷和彦先生、そして国民党代表でいま国会への復帰を図っていらっしゃる小林興起先生がご登場されます。

今回のテーマは、グローバル資本主義と大衆民主主義の末路ということです。少し具体的にいうと、貨幣と世論の暴走や転倒を食い止めることは可能か、ということになるのでしょう。世界の危機が日本列島に音を立てて接近しているという現状への先生方の処方箋を伺いたく存じます。

では、宜しくお願い致します。


あ〜宜しくお願いします。最初にぼく今村さんに質問してみよう。

今村有希

はい。


あの僕は触ったことはないのだけど、スマホってのありますねぇ〜

今村有希



あれ、電車に乗られる?電車に乗るとき・・・

今村有希

電車に乗るときも信号待ちの時もだいたい触って・・・


だいたい前の十人とか、前後の十人とか、だいたいスマートフォンを、

今村有希

だいたい触ってますね。


あれってどんな感じがなさる?

今村有希

ちょっと気持ち悪い感じが・・・みんながみんな(スマホを触りながら)こう下を向いているのは異様な光景だなと思います。


交差点でもやっている、やってるよね。通路でもやっている。

今村有希

はい。


あぁいうの見ると本当にね、亡国の兆候というのかねぇ・・・

今村有希

(笑)


これは「I T」ね、information technologyでね、あれでみんな世界を弄くっていると思っている。一言言わしてもらうと下らない話。この間ね、地元のある美味しい店屋に行ったんです。隣に一人の客がいたんです。一人で喰ってましたら突如、板前に話しかけまして、「おい、ロンドン・マーケットが荒れてるぞ!」と言うんですよ、株がね、中国の問題で。板前はびっくりして、「あぁ〜そうですか」と言ってね・・・僕が言いたいのはですよ、メシ屋ではメシを喰うべきであってですよ、

一同

(笑)


そんなもの出してきてですよ、ロンドン・マーケットの株が下がろうがど何しようがね、自分にも関心がない。どう考えたって貧乏人なんですよ、板前はもっと貧乏人ですよ、そういう会話をするという風景ね、『もうこの国はもう文化の「ぶ」も無い』んだと。


不愉快とかなんかってレベルだったらいいんですけど、情報が全部どこかに吸い上げられてね、IT化ってのは、そして吸い上げた人間がそれを使って人を操ると。ある者に支配されるというね・・・


本当ねぇ〜


そういう恐れが感じられますよね。


そうですよねぇ。


仰る通りなんですけど、先に言い訳しておきますけども、(腕に)Apple Watchを付けていまして、ワハハハハ(笑)

一同

(大笑い)


これは利便性でやっているだけで、決してなんですか、そういうのでやっていないのですが、やっぱりグローバルで、いま世界中がですね、例えば移民が、難民かしりませんがドイツにどんどん行っていますよね。これはとんでもない問題を引き起こしてくるんだろうと思うんですが、日本はまだそれは無いですけども、まぁ東京にどんどん行っちゃってますよね。経済がいちばん豊かな所に人がですよ、故郷・家族を捨てて、先週の(話の)続きになりますけども、行っちゃっていると。それで世界中が金に振り回されて潰れていくというのがですね、まぁ出てきてますよね。

だから、それをどう止めるかというと、私はやっぱり一つ、世界の話もそうですけども、日本は『金の出入りを自由にさせない』、国境もそうですけどもね、ある程度もう少し『不自由な仕組み』というか『規制』をかけていかないと、これは最終的には世界は破滅しますからね、間違いなくこれは。何かそういう嫌な兆候が出てきているなぁと思うんですけどもね。


(東郷) 先生どう思いますかねぇ、僕ね、おそらく『グローバル資本主義』というのは、ローマ時代以来の人類のある種の必然の流れだとは思うんですよ。


えぇ。


それからのこの『マス・デモクラシー』、この場合のmassっていうのは、簡単に言えば、世論にね、自分で考えずに世論に振り回される人々をmassといって、そういう連中たちが民主主義と称して政治に直接・間接に参加してくるってぐらいの話ですけども、そうなるのもまたね、これまたローマ時代以来の【歴史の必然】だと思う。

ただ問題は、必然だと感じられるからといって、その必然を早くする必要も無いし、況してやそれを喜び勇んでその中に飛び込んで行く必要も無いし、この末路に怪しげなこともあるかな、ぐらいに思ってね、ちょっとスピードをダウンさせるとか、所々チェックをするとか、その繋がりでいま西田さんが仰ったように、例えばTPPで何もかも自由な取引でワーワー騒いでいる時に、まぁその自由が広がるのも必然だが、しかし閉めるところは閉めようぜと、農業だ何だってことは各国で自分たちが保護するということを堂々とやろうぜみたいな、そういうなんというか、一種の『両刀使い』的な、『必然を認めながらもその必然に抗してみせる』というね、そういうことが国家の政策で要求されているのに、もうともかく通りをよくするために、「グローバルの時代です、TPPに入りましょう!!」ってな調子でもう上から下まで騒ぎまくるというね。それに政治家までもが頭から突っ込んでいくというのが、なんとやもはやお陀仏だなぁ〜と。

[*大衆のみならず政治家までが「グローバル」に飛びつく愚 ]

一同

(笑)


 今の世界の現状を見ますと、それぞれの文化というか、それぞれの国が結構したたかにいま(西部)先生が言われたようなことをやっているんですね。私は2週間ヨーロッパに居てちょうど帰ってきたばかりなんですけども、フランスとそれからオランダとそれからスロベニアに行ってきました。それで今のスマホの話で・・・

今村有希

はい。


結構みんなスマホをやってますよ(笑)これにちょっと驚いた。だけども、それぞれの国が自分の国の文化、それから自分の国の自然、これを大事にしていることは全然昔と変わりませんね。むしろもっとやっていますよ。

スロベニアなんて(旧)ユーゴの中で唯一戦争の無かった国(※紛争レベルの小規模な十日間戦争程度)で、しかしスロベニア人が必死になって、昔のスロベニアの良い部分を一部もって建て替えて、車を無くして、やっぱり自分の国の伝統的文化を前よりずっとお金がある分だけやっているんですね。

それから、新しい方の国でいうと中国ですね。中国はやっぱり国力というものをその軍事力、それからその地域協力力、世界に中国が出て来るビジョン、そういうものをつくって、でもその中で結局中国人は何を言い出したかというと『アジア人によるアジア』、だから大東亜共栄圏に向かって日本がやったのとちょっと似ているですよ。結局、その中国がリーダーになるアジアをつくるという、これはまたスマホとは全然違った世界で新しいビジョンをつくろうとしているわけですね。

だから、その日本は単にそういうグローバルに流されるんじゃなくて、日本にとって一番いいものは何なのか、大事なものは何なのか、それは私の意見では自然であり、それから文化であり、それからその自然と文化が根付いている“べき”地方であり、そういうものをつくっていくってことをいま日本人が気が付いてやればですね、結構いい所に戻るというか行けるんじゃないかと思うんですけど、気が付いているのかと。

[*日本が大切にすべき自然、文化、地方 ]


うん。だからね・・・


日本は本当にね、文化が素晴らしいと外国から言われているわけですね。で、カネの亡者なんてのは日本はならなかったし、社長の給料だってね、従業員の給料と大して違わないってね、まぁそういうことが本当にあった国ですよね。それが一気に変わって来たのが『小泉・竹中構造改革』ですよね。


そうですよね。


アメリカの言いなりになって、そして、まともな良質な政治家を私のような人間を自民党から追放するってね、まぁそういうことをやりながらどんどんどんどん悪化していったんですね・・・


(西田・脇を指差して)自民党ヒドいじゃないですかっ!!(※ふざけてw)

西田・脇

(頭を深々と下げる。笑)

一同

(笑)


さすがにその反省が国民にあって(笑)、政権交代が行われたのですけど、これが情けないことに民主党がですね、アメリカ一色にTPPでしょう?消費税を上げると、それこそ向こうの言い分を聞いて染められてっちゃうんですよね。

じゃあここからもう一度、本当の反省をした新しい日本文化を重視するそういう『日本党』をつくる、それが私が国民党を立ち上げようという理由なんですけどね。これでなかったら、ぜんぜん世界に発信するものはないですよ。

[*自民、民主党の反省生かし「日本党」を志す国民党 ]


そうですよね。


結局ね、戦争に負けて、負けた時に我々はまぁ占領軍の思惑もあって前世というか『過去を全否定』したんですね。(戦前は)みんな悪かったと。でも、それをずーっと引きずっていて歴史や文化や伝統を学びながら将来の方向性を考えようという所に行かないで、アメリカの言う通りにやってればいいと。それがグローバリズムなんですね。そっちの方向へどんどんどんどん動いてきて、しかしこれはさっき西田さん言ったように、世界的に見ればだいぶ破綻していて、それだけで生きていけるわけが無い。東郷さんも言われたように、それぞれの国がやっぱりそれぞれのことを考えている。

で、日本という国を考えた時に、アメリカや他の国のことはよく知りませんが、災害の多い非常に厄介な国土なんですね。こんな火山でいえば全世界の2割近くが日本近辺にあって破裂してるとかね、地震は来るわ津波は来るわで本当に大変な国ですが、自然の美しさというのがこれまた素晴らしい国ですよね。いろんなことがありますが、日本という国は立派な国土を持っているし、その立派な人間もいると。

で、戦後70年やってきたのは、一生懸命に敗戦から立ち直ろうというんで戦力を傾注した結果、いま現在、私達が立っている場面というのは、『過疎化と少子化』になってしまった。だれも過疎化と少子化にはしたくはなかった。しかし、過疎化と少子化もこれはきちんと直していかなくちゃならない。少子化って変ですよ、自分たちが自分たちの子供を欲しいなんて思わないなんて世界は、これは生き物としても人類としても異常なのだから、その『我々は異常な状態にいるんだ』ということを何でそうなったか?それは『地域の衰退』も大きな要因なんですね。これは(過疎化と少子化は)もう裏表なんですね。だからそれを地域を魅力のあるものにすることによって、子供も増えるし、そして過疎化は消えてゆく。そのために、本当に何をしたらいいんですかという、日本型の社会のあり方、経済のあり方を本気で考えていかなくちゃならない。

[*日本型経済の確率と地域社会の発展を ]


グローバリズムと言いますけども、日本で輸出ったってGDPの2割ぐらいでしょう?


うん。


国内の方が遥かに大きいんです。その輸出でメシを喰ってるのは、大きな金を動かす大資本というか、資本家ってのはあんまり共産党みたいであんまり言いたくないけども、大資本がそれが必要なだけであって、一般国民がまぁそれが滴り落ちて、その余剰でみんなが潤うだとか言うんだけども、それを否定する気はない。どんどん外国で儲けなさいと。だけど、日本全国あげてそれをやる話じゃないでしょうと。日本の中ではやっぱり地域を如何にうまくつくっていく、地域の人が発想し、地域の人がものを言って考えて、みんながそういう世界をつくっていってですね、それでどんどん栄えていく地域ができることが、これからの日本の方向で。で、私はこの事については決して悲観していないんですが、いろんな人がもうそういうことを始めているんですね。


いま僕ね、その脇先生の仰った中にこれもあえると、ちょっと極論ですけども、地域がしっかりしていたらね、この地域ではですよ、たとえば、(自分の羽織っているジャケットを指して)こういうふうな普通の私的財、private goodsと言われているものだってですよ、本当はね、地域で考えるとプライベートじゃないんですよ。このシーズンにはだいたいこのような着物を着るものだ、この季節にはだいたいこのような食べ物を食べるものだ、人前で食べる時にはだいたいこういうものを選ぶものだとかね、『そういう地域のある程度のカルチャー』ってあるでしょう?そうするとね、資本主義がですよ、こういう品物を外国から持って来て格安で売れますよと、あるいは、着てみれば派手にピカピカ光りますよとかね、ボタンを押してみたらピコピコ動きますよというふうな、そんなものは地域文化がしっかりしてれば、少々は入ってくるでしょうけどもね、そう急に流入しないんですね。

この外国文化でも何でもいい、資本主義文化でもいいですが、企業のつくったいわゆるinnovationがあっという間に広がるということは、実は【地域文化が脆弱になっている】から、その弱いところを狙ってウワッと広がっていくんですね。

[*強固な地域の文化が安易なグローバル化を防ぐ ]


仰る通りです。


だから、地域文化を確立するということは、資本主義の勝手気ままな、ちょっとしたアイデアで作り出したスマホで典型が見られるが如き下らないIT商品というものがね、さほど流行しないように済ますためにも、地域文化の障壁が必要となるんです。


仰る通りです。私が去年一昨年選挙だったんですがね、参議院選挙で。それで京都府で丹後地域から南まで広いんですが、丹後地域行った時にですね、あるスーパーマーケット・チェーンがありまして、それがどんどんやっていったものだから、地元の商店街が潰れちゃったんですが、まぁそこで地元を雇用してくださっているんだろうと思ったんですね。そこで、そこの地域の集中の物品センターのところで選挙の演説をさせて貰ったんですね。そしてバーッと喋ってタクシーに乗ったんです。(名札を)見たら、チョウさんとかリンさんとか、全部中国人なんです。


ほぉー。

一同

(苦笑)


結局ね・・・地元雇用すらないと(苦笑)、でも外国人を呼んできて、外国人が・・・


人件費が安いって。


・・・安いって、それでやっているというね。恐ろしいことに、もう京都の田舎の地域ですらですね、なってしまっているんですよね。


景気対策アベノミクス聞いてるとね、(脇や西田といった)皆さん方は珍しい自民党議員で違うんですけどね、


(笑)


そのね、株価、株価、株価でしょう?


そうなんですよね。


株なんか関係ないですよ、所得が上がらなかったら景気が良くならないでしょう?


そうなんです。


で、株価のために何をやっているか、大事な通貨を切り下げているんです、どんどんどんどんね。そんなの通貨ってのは普通ですね、自分の国の価値ですから強く上がるのがいいんで、円高こそが国家として隆盛している証拠で、円安でガタガタ下がって何が国家のためになるんだって、そんなレベルでしょう。そういうようなことを政権中枢でやってる限りではね、もうカネの亡者なんですよね。一般国民と全くかけ離れた経済政策を打ってるようじゃね、その先には国家の繁栄なんてないですよね。

[*国家の繁栄 庶民の生活に逆行するアベノミクス


その通りですね。


そして、中小企業や庶民が苦しむ消費税を上げてですよ、税収が足りないと言って。じゃあそうかと言うとね、『法人税は下げているんですよ!』


えぇ。


下げた法人税を、儲けた企業のそれを下げてですね、大儲けさせてですね、それを配当金に回して全部アメリカに貢いでるって、株主(=外国人投資家)にね、こんな憐れな国で何が経済政策かって言うんですよ!


仰る通り。


私、2つ提案させて頂きたいんですけども、あの少子高齢化で人口が減っている。だから、例えば老年雇用でもっと働けとか、女性にもっと働いてもらうとか、それから外国人労働者とかいろいろ言いますけども、しかし、いちばん大事なことは、『普通の働く人たちが生甲斐をもって働くということ』だと思うんですね。その観点で、やっぱりあの小泉改革以来、本当に深刻な問題になっちゃったのは、あの【契約社員( ≒派遣社員)】です。


あぁ〜。


そうですね。



これね、日本の労働の30%、10年前に契約社員になってワーキングプア、それが過去10年に40%に上がった。この人たちは給料が上がらない。そしていつ(雇用契約を)切られるかわからない。こういう方々に自分の持っている一番いいものを生かして、地域のため、あるいは国のために働けと言っても、これは無理ですよね。

[*「参考」非正規雇用労働者は、平成6年から平成16年までの間に増加し、以降現在まで緩やかに増加しています(役員を除く雇用者全体の37.4%・平成26年平均):厚労省統計より



それから、もう一つは仰るように、日本は災害が多くてそれに対する、例えば堤防だとかそのようなものをつくることはそれは絶対に必要なのですけれども、しかしそれが現実にどういうことになってきたかと言うと、まぁある外国人の人からすると、日本ほど河が見にくいところは無くなってきたと。コンクリートで(河を)全部覆っちゃうわけですよね。そのコンクリートが実に醜い芸術をつくっているという。これ、【アレックス・カー】ってご存知だと思いますけども、馬鹿にされきってるわけですね。

[*アレックス・カー:アメリカの東洋文化研究者、著述家 / 参考サイト http://www.huffingtonpost.jp/2015/07/11/alex-kerr-chiiori-japan_n_7777752.html



あぁ〜そうねぇ。



それに対して、じゃあどうやって戦うかってことで、ちょっと私がいま仕事をしているたとえば静岡県、これは堤防をつくる時にですね、堤防が鉄の堤防じゃなくて、「緑」の堤防。それに日本のいちばん新しい技術を使って、コンクリートと砂を混ぜた根っこの上に植物を植えて木を植えて、ただ、堤防が静岡ってのはいちばん地震が来るところですから、堤防はどんどん増えているんですけども、出来上がった堤防というのは『自然と調和的』、こういう知恵をですね、みんなで分かち合っていけば、日本の自然の美しさと、それから災害から守るということは両立すると思うんですね。

これに関してはしかし、難しい話が山のようにあってですね、まぁ一つ一つを解決していくしかない。



うん、まぁ私はそっち方面の専門家でもあるので、あのいろいろ仰るようなことをこの何十年間かやってきましたが、とにかくね、水害が起きて堤防が切れて人が流される。で、どうしてくれる?って言う。それはもう大変悲惨なことになるんですね。一刻も早く直せと。そういうところがたくさんある時にですね、つくった堤防は緑豊かなキレイな堤防にしたいけれど、そんなことは言ってられない。とにかく、全部早く直せと。それでもお金が足りないというのが、この戦後ずーっと続いてきたわけで、で正にその短期的なそういう災害対応ということでやらざるを得なかったということ、振り返ってみれば、少し自然に対する自然警戒に対する配慮が足りないんじゃないかとか、様々なことがあって、それは法律も変えたりしてやってはいるんですよ。だけど、そういうことは確かにあるんでしょう。しかし・・・



しかし、こと災害が深刻になったのは、あれはあの民主党時代の「事業仕分け」のせいってことは無いんですか?



無いです!



無いですか(笑)



要するに、日本という国は、今回の『鬼怒川の破堤』みたいなことは毎年どこかで起こって何の不思議も無いんですよ。



まぁそうだね。



そういう国に住んでいるんだと。だったらどういう心構えで住まなくちゃならないかという、自然災害に対する基本的に国民・住民が持っていなくちゃならない対応が無くなってきた。特にこの3。40年ですね、そういう意識を持ってる国民が圧倒的に減った、どのテレビも新聞もはじめとして。だから今ね、あの原子力災害じゃありませんが、私は自然災害についてもう一回、国民の意識を高めることを工夫しないとダメですよということを言うべきだと思っているんですね。あの本当にヒドい状況になってきている。(東郷が)言われることはよく分かります。なかなか、それをすることを考えながらも目先に引っ張られてきたという・・・まぁ目先に引っ張られるのが戦後70年の特色であるということからすれば、治水もそれを免れ無かったということかもしれません。

[*目先にとらわれず防災への意識高めよ ]



それとあれなんですよ、『地方創生』とかいう話でいくと、いちばん大きいのは、要するに地方には男はいるんですが女がいないんですよね、いや〜ほんと。だから子供を産めないと。で、東京に女の人がどんどん集中していく、特にまぁ、え〜(今村は)大阪出身?


今村有希

はい、大阪です。



ね、どんどん行くんです。で、知的レベルの高い人はどんどん東京へ行くんですよね、働き場所が(地方には)無いので。となると、そこで地方それぞれの地域で女性が働けるという形にしないといけないですよね。だから地方に女性が居ていただけるようにしないと、これはどう考えてもそれは少子化と高齢化は一挙に進んでしまいます。



地方をよく知っている方に聞きたいんですけどね、もう一つの県の単位は狭いんじゃないかと。『道州制』と言われましたけども、県を2つ3つくくって、まぁ小さな地方自治体である市町村は残っても逆にいいですけどね、小さなか塊、しかしもうちょっと県の規模というのは中途半端でこれをくくるといった方が地方のためになりませんか?



この道州制の話は自民党でやりましたけどね、全部われわれが(道州制案を)葬り去ったんですけどね(笑)結局ね、そうじゃなくて、むしろ道州制というのは地方に権限を渡していこうという『地方分権論』できていますよね。それでなしに、さっき脇先生が仰ったように、結局、洪水とか全部起こるのは国が国土形成計画をもうちょっと見直してですね、国の権限であぁいう河川はですよ、大規模改修をやったりそういうことも含め、地方に任せるんじゃなくて、かなり国の権限を大きくして同時にそれぞれ市町村、そこにはまたやらせる権限を与えるのですけども、道州ではたぶん出来ないと思いますね。



役割分担ということですよね。



僕はこういうのがあると思うなぁ・・・日本人がね、明治このかたでしょうけど、ここ(黒板)に書きましたが、in-novation、これは「新しいモノの中に入っていく(innovation)」ということですけどもね、やっぱりね、新しいモノはいいモノだというね、なんか・・・もちろんいいモノもあるでしょうけど、『ほとんど宗教的な感じで新しいモノに飛び込んでいく』ということ。

[*innovation(イノベーション):in(イン) + novel(ノーベル)=新しい(新奇・奇抜)、新しいものの中に入っていく(=in・novation)]



それから、これはイギリスですけども、僕が知ってるイギリスは産業革命が19世紀半ばに終わった後、「こんな事でいいのか?」と、産業革命でいろんなものが出たけども、街は汚くなるし、田舎は壊れるね、こんな事でいいのかと1880年頃から一種のbacklash(バックラッシュ)というか、反動が起こってね、それで『antique(アンティーク)』と言ったんですね。

僕むかしイギリスの300人しかいない村に暮らしていたことがあるのですが、その300人の村にもね、アンティーク・ショップがあるんですよ。売ってるモノはね、本当に日本か中国の犬の茶碗みたいなものしか売ってないんですけど、あんなもんでアンティークと言わないと思うけど、どこかね、古いモノにいいモノがあるんじゃないかとみんなで探し始めるというね、そういうカルチャーと国民的雰囲気が100年以上続いているんですね。もちろん、あんまりやり過ぎてアメリカとアジアに追い越されて「イギリス病」だなんて困ってましたけどもね(笑)、ぼく日本人だからどっちがどうというわけじゃないけれど、日本人もそろそろそういうねぇ・・・

[*antiqueへの探求生んだ 産業革命のinnovation ]



そう、それで(西部)先生ご存知のように、19世紀の後半にイギリスがじゃあもう一回いい国をつくろうとした時にどこをモデルにとったか、これはみんな言ってるけども、【日本】なんですね。



そうですよね。



江戸時代から明治の初めにかけての【日本の田園】、



そう。



そのモデルがイギリスの田園風景になっている。



そうなんですよね。



ですから日本人がですね、まぁ(脇)先生が仰るように、確かにその堤防が復活するならまずその目標手当が必要だけども、だけどぜんぶ鉄で覆っちゃったら日本でそういう意味での未来は無いと思いますね。だからちょっとガマンして、その日本の未来がどこにあるかということを考えて、やっぱりイギリスの田園は学ぶところが一等、本当に美しいですよね。



あのヨーロッパ詳しくないですけどね、イタリアって面白いところでヨーロッパの人はみんな言うんですね。「イタリア人は泥棒は多いし、ズルいし、女の尻は追っかけてるし、厄介な国だ。でも、あのイタリアが無くなるとヨーロッパは寂しくなる」というね。それはローマ時代以来のいろんな伝統を散りばめているわけですからね。

でもいま日本でね、あのアジアから日本が居なくなるとアジアが寂しくなるよなんて、誰も思わないんじゃないですか?(笑)



けっこう思っているんじゃないですか。けっこう人気ありますよ(笑)


一同

(爆笑)



人気のあるところはあるんですよ。だけど、どこに人気があるかというと、日本人の清潔さとか、礼儀正しいとかね、きちんと物事をやってる新幹線・・・



あぁ〜そうねぇ。



それはそういうことなんですけど、今ここで言っているような意味での『本当の日本の文化力』、本当にリピーターで日本に戻りたいというところがどのくらいあるかというと、これはね、オリンピックを前に反省しなくちゃいけないと思います。



オリンピックの話が出ますけどもね、あの3.11の大変悲惨なことが起きた災害ね、しかしあそここそ流されて何も無くなった、あそこにつくるのに、堤防にしてもいま東郷さんが言われたように、新しい形で自然を生かした堤防をつくるとか鉄の塊じゃなくて、あそこで実験をしていい町をつくればよかったのに全くやってない。



そうそう。



あそこにね、政治の無能が本当にあらわれてますよね。



政治の無能というよりね、あぁいうところこそ、その地域で決めるんですよ、決めさせる。新しく町をつくるのに「我々はこうしたい、こうしよう!」というまさにあの時にこそみんなに知恵を出してもらって、それを認めていく。それを国家が中央が「全部こうしなさい」と言ったんじゃダメなんですよ。



といった次第でですね、時間が来ましたので、えぇ〜小林興起先生が近々国会に戻られることを祈念して・・・



どうもありがとうございます(笑)



東郷先生が近々外務省を牛耳ることを祈念して・・・



イヤイヤ(苦笑)


一同

(笑)



こちらの2人(西田・脇)が自民党を牛耳ることを期待しておしまいと致します(笑)ありがとうございました。


一同

ありがとうございました(笑)

【次回】ゲスト 立川談四楼「談志の思い出」