「青年よ、寂しさに屈するな」② ゲスト:中森明夫(作家・アイドル評論家) 〜西部邁ゼミナール〜

「青年よ、寂しさに屈するな」② ゲスト:中森明夫(作家・アイドル評論家) 〜西部邁ゼミナール〜

ゲスト:中森明夫(作家・アイドル評論家)、1959(昭和34)年 三重県出身、著書には小説「アナーキー・イン・ザ・JP」三島由紀夫賞候補、「アイドルにっぽん」、「午前32時の能年玲奈」、【近著】「寂しさの力」(新潮新書

【ニコ動】
西部邁ゼミナール)「青年よ、寂しさに屈するな」【1】2016.02.14


今村有希
「青年よ、寂しさに屈するな」の第2回目です。引き続き作家でアイドル評論家の中森明夫先生にお越しいただいています。中森先生が上梓された『寂しさの力』にまつわる話を題材にしつつ、現代の若者について語って下さいます。家庭、地域、学校、職場における人間関係をはじめ、いわゆるネット世代の恋愛事情などはいったいどうなっているのでしょうか。非常に面白い話が幾つも伺えるかと存じます。それでは先生方、宜しくお願い致します。

お願いします。

今日も宜しくお願いします。今村さんも含めて、中森さんはどう思うかなぁ? 僕は酒場の暴言だけども、たぶん人生で10回ぐらいはこういうことを言っているんですよ。どうも最近の若者は、恋愛をしなくなった、出来なくなったと聞いておると。理由を小生思えらく、たぶん男が戦争をしなくなったからじゃないか。戦争は言い過ぎだとしても、男は危機の場合に、危険な場・・・『危険を超えた危機』だな、危ない場所ね、女子供を守るべく行ってみせましょうという態度を、「平和」とか「民主」の名の下において危ない事をやめましょうとしてしまう。危ない所へ行かない、と宣言する男ってのはね、たぶん、女から見て魅力が無いんじゃないか。

[*若者が恋愛をしないできないその理由をとは何か / 『平和』『民主』の名の下に男が危機の場へ向かわず ]

今村有希
ウフフ(笑)

逆に言うと、男なんてみんな大したもんじゃないんだけどね、お前たちを守る為に、危ない所へ行ってみせるぞ、と言うとね、大した事のない男でも女の側から言えば、一入思いを抱いてくれるし。

[*お前たちを守る為という男には女性も一入思いを抱く ]

今村有希
(頷きながら)はい。

小さい声で言うけど、男の方もそうなんですよ。それは勿論、女を崇拝してる人もいるけどね、まぁ大したもんじゃないんですよ、75(歳)だから言わしてもらうけど。

中森・今村
(笑)

けどね、この子を残して俺は明日死ぬかもしれない、片足失くすかもしれないと思うとね、一入(女性も)可愛く見えてくるわけさ。

[*この子を残し明日死ぬと思えば、女性も一入可愛く見えてくる ]

今村有希
(うん)

・・・というふうなことで、恋愛沙汰というのがかつてはあった。もっと冗談だけど、国連の代表になりたいと、あの広い会場の壇上で演説したいと、全世界の人類諸君!再び戦争をしようではないか!!

ワハハハハ(笑)

今村有希
!!(目を丸くして驚く)

理由は、“恋愛の復活の為に”。

[*再び戦争をしようではないか、“恋愛の復活”のために ]

ほぉー。

古代から男女の恋愛だけは、古今東西ですよ、もう普遍的にあった力を(今や)無くしている。

今村有希
(うん)

だから、核兵器が出来てから、戦争は出来なくなったから、先進国はね。

今村有希
はい。

ただし、兵器の水準はずっと落として、考えれば織田信長も悪いと、鉄砲を(戦争に)持ち出した奴が。せめて刀の時代まで戻して・・・全部冗談になっちゃうんですけどね(笑)

今村有希
(笑)

何か、(戦争をしなくなったこと)恋愛沙汰が無くなる必然性があるような気がするなぁ。

(西部を指して)面白いでしょう?

西部・今村
(笑)

僕ね・・・やっぱり西部さんの話は面白いんですよ。しかも過激なんですよ。

西部
(大笑い)

それでね、今のSEALDsの若者の学生運動、同じ場所で半世紀前に西部さんがやってた、今の若い連中たちっていうのはね、「生活を守れ」とかね、「会社入れろ」とか「社員にしてくれ」とか言うんですね。西部さんたちはね、今でも「戦争やれ」とか「破壊しろ」とか・・・

いやいやそれは冗談ですから(笑)

『老人が過激で若者が保守的なんですよ。西部さんが保守主義なんてとんでもない話で。』

[*SEALDsの若者たちの生活を守れと保守的に ]

(照笑)

国連行って、戦争やろうぜとか、それで若い奴らは、生活を守れとかね。彼らの方が保守で、こういう西部さんみたいななんか暴走老人がいて、

へへへ暴走老人(笑)

これが僕ね、「若者が恋愛が出来ない!」とやっている一つの世代的主因、(西部たち老人世代が)元気過ぎる!

今村有希
(笑)

元気過ぎるのと話が面白過ぎる(笑)

これね、ちょっと悪いけどね、中森さん自身の言葉なんだけど、元をただせばヘーゲルになるのかな。ぼくドイツ語勉強していないからね、翻訳で言ってるんだけど、

今村有希
はい。

社会から周囲から『承認』されることね、お前は何者かであるというね。それは人間の根源的欲求の一つだということを(ヘーゲルは)言って、まぁそれが今もずっと続いているんだよね。他者から自分が承認されるということの最もprimitive(プリミティブ=自然な、素朴な)なケースというのは、異性からね・・・

女性ですね、恋愛ですね、早い話。

我々にとっては女性ね。女性に承認されるというね。

[*社会や周りからの『承認』 人間の根源的な欲求 ]

あなたのことを好いてやるわよ、と承認されるというね。それされないままに30、40、50(歳)になったら、そりゃ大概の男はへこたれるね。特に男はへこたれる。

今村有希
(うんうん)

(西部は)「戦争」って極端な言われ方をしているんですけども、やっぱりそれを飜案すると、他者と出会う経験ですよね。

そうだね。

やっぱり人間が考えた一番凄いものって『恋愛』と『戦争』だと思うんですよ。

うん、そうね。

他者と出会う経験として。幸か不幸かで言えば「幸」でしょう、半世紀も戦争しないでぬくぬくと飢えて死なないわけだし。でも、そうなっちゃうと、あんまり頑張らなくていいし、今の男の子たち、ぼく若い子たちに聞くと、とにかく、相手の女性のことを考えていないんですよ。自分をなんとかしてくれと、恋愛マニュアルだなんだと、(つまりは)相手のことを考えていない。

あぁ〜そうか。

だから、例えば、可愛いコとか、若いコとか、胸の大きいコとか、女のコをすごい「属性」で見てしまっていて、女のコの側も人間じゃないですか、そういうことを経験したことがないものだから、例えば、キミはやっぱり美人だとか可愛とか何とか、俺はね、可愛いからMXテレビに出ているから(今村が)好きなんじゃない・・・俺は有希が好きなんだよ!!・・・と僕らみたいなオッサンが言うと、コロっと若い奴からね、常識があると。だから、(若い奴らは)可哀想なんですよ。

今村有希
うん。

まぁそうだね。

ほとんどまず一人っ子なんですよ。そのいま(平均出生率が)1.5人以下ですよね。

それ関係あるかぁ〜。

ありますよ。小さいとき、僕でもそれは兄貴とお菓子の取り合いだなんだかんだありましたけど。

オルテガって人なんだけど、名セリフがあって、第一人称「俺」のことだね、「私」のこと。

今村有希
はい。

第一人称は最後に出てくる。もっと言うと、出てくるべきである。例えばね、中森さんこんな顔をしてこんなことを言っているなぁと。今村さんは、あそこにクボタってプロデューサーがいるんですけどね、

今村有希
はい。

クボタ君は“最後にそういうふうに思っている自分がいる”というね。

[*「第一人称は最後に出てくるべきである。」ホセ・オルテガ・イ・ガセット(スペイン哲学者) ]

まぁアメリカのせいもあると思うんだけどね、I think〜と言うでしょう? 私は〜と思う。

今村有希
(うん)

でも三田誠広(※みたまさひろ:小説家、1977年の「僕って何」で芥川賞)という小説家じゃないけど、「私って何?」って聞かれたらさ、正体不明になってくる。

あぁ〜なるほどね。

個人主義の過剰』ね。私、俺、僕。となると、「僕を売り込もうとする」でしょう?そんなのね、例えば女性は敏感ですからね、その程度の顔でその程度の姿で、ワタシにエラそうに僕だの私だの何さ、とかってちょんとハネられちゃうんですね。

うん。

もっと素直にね、例えばだけど、(相手の女性を)キレイだと思っている・・・あっ、俺が思っているんだって最後に気付くね・・・

う〜ん(唸る)

そういう調子になればね、たぶん承認して貰えるハズなんだけどねぇ。

でもね、よく聞くとね、もちろん西部先生は戦時中の生まれですけども、いま自伝を書かれていますけども、戦争が終わった年では4歳か5歳ですよね。いかにも軍隊に行ったようなねぇ。

ワハハハハ(大笑い)

今村有希
(笑)

それでこういうことを言うから、若い人たちは、西部さんはあたかも「戦争帰り」みたいな(笑)

戦争に行ったんですか?みたいなことを言われたことがある(笑)

でも、じゃあ西部さん、「恋愛」と「戦争」とありますよね。『革命』はどうなんですか?

『革命』はねぇ・・・革命はいくど考えてもあんまりヒドければ、殿様であれ金持ちであれ、それはやっぱりね、革命、いわゆる革命、大変革を起こすべきだと思う。でもあれもともとのね、革命の意味ってのは【天命】の意味なんですよね。これ中国の思想ね、天(てん)という変わらぬものがあって、その命(めい)に反するもの、そういう王朝はひっくり返せと。そういう『革命』なんですよね。命(めい)に応じて変えるというね。

[*『革命』とは「天命」の意味、命に背く王朝はひっくり返す ]

それから、revolution(Re−volution=革命)もそうなんですよ。革命のことを英語で。Reって「再び」ですから。

あっ、そうですよね、「再び」ですね。

(re−volutionの)Volution(ボリューション)というのは「めぐり来る」という感じかな。なんか過去から長年時間が経って、そこで過去の知恵のようなものがあるでしょう、こういうことをやるのがいいんじゃないかという。もちろん、過去と今は状況が違いますからsuggestion(サジェスチョン)、示唆に過ぎないんですけどね、過去に起こった出来事で上手く解決した知恵ね、それをRe=再び、Volute=めぐり来らせる、というね。そういう意味じゃ『revolutionの本来の意味というのは
案外、過去志向みたいなところがある』んですよね。

[*【革命】revolutionの re=再び volution=めぐる:出来事を解決した過去の知恵を再びめぐりきたらせる ]

う〜ん(唸る)

それがね、フランス革命だな、「過去は全部不完全である、誤りである」と。それを戦後日本がやったわけですよ。1945年までの日本はダメである、悪である。これを全否定してね、新しい理想の下に新社会を設計すべきだ、というので戦後が始まったんですね。

[*新理想の社会を設計すべきと過去否定から戦後がはじまる ]

だからね、そういういのは革命は革命でも、言葉の本来の革命からズレた、急進的大変革ね。

うん。

急進的ということはradical(ラディカル)・・・

radical

radical great change 起こすこと一般を否定しているんじゃないんですよ。あんまりヒドかったらそれで仕方ない。あそこがちょっと悪いぐらいのことでね、抜本改革とかさ、構造改革とかって騒ぐでしょう、あぁいうのは嫌なんですよね。

[*革命の本来の意味とズレた、急進的radicalな大変革 / 少々のことで「抜本改革」「構造改革」と騒いできた ]

そうするとね、急進主義の反対が『漸進主義』で、英語で言うとgradual(グラジュアル)というんですけど、僕が言うんですからね、この変な男がね。

(笑)

よほど格別の悪い環境じゃない限りね、変革案を出している自分自身が不完全なのだから、あんまりそれを急進的(radical)にやっちゃうと取り返しがつかなくなるからね、グラジュアル(gradual)に、漸進的に一歩一歩石橋を叩いて歩こうじゃないか・・・と言ってはいるけど、俺の人生はそうじゃないだろう?と貴方(中森)は言いたいんだろう(笑)

[*漸進的 gradualに進める、変革案を出す人間は不完全 ]

いや、西部さんの話というのは聞いて聞き惚れちゃうんだけど、面白いのだけど、全部こう・・・

(中森を指して)自分の言動に反しているといいたいと(笑)

・・・逆なんですね、逆。本当に西部さんのね若い頃をこれドラマ化したらいいと思う。

何を言っている(笑)

映画とか。60年安保の盛りの。で、現代のいま西部さんを、西部役をやるいい俳優がいるかどうか。で、今の若者、ジャニーズ系かなんかの若者が学生服を着て、それこそ『恋と革命』ですよ、最初の話に戻るとね。若者が、恋と革命でワァーっと樺美智子(※かんばみちこ)がいて、唐牛健太郎(※かろうじけんたろう)がいて、まぁ西部さんほど教養のあることを僕は言いませんけども、三島賞の候補になった僕の小説がその『アナーキー・イン・ザ・JP』(※17歳の少年に大杉栄の魂が乗り移るという小説)というね、大杉栄(※大正期の社会運動家)の魂が現代の少年に乗り移るという話で。

ほぉ〜。

いろんな本を調べて、まぁ大杉栄吃音だったんですね。

吃り。ヘッヘッヘッヘッヘー(笑)

だけど僕は吃らないじゃないですか。吃って書いていると面倒くさいから、(大杉栄が)少年の魂に入った時に、魂は吃らないんだといって、パァーッと書いてった。そしたらそれを、重松清という小説家いますでしょう、僕らもよく酒場で会う。彼はまぁ吃りなんですけど、直木賞作家なんですけど、で、大杉栄後藤新平にお金をせびりに行った時に、あの「500円くれ」と言うのを、(吃りだから)カ行、ガ行が喋れないんですね。

あぁそうか(笑)

だから、500円くれと言うのを、300円くれになっちゃったんですね、彼の事情で。

今村有希
(笑)

さしすせそは発音しやすかったんだね(笑)

(吃りで)ご、ご、500円くれと言えないから、300円になっちゃったんですね。僕は気付かなかったんだけど、その重松清が指摘してたんだけど、その大杉栄の人生って『恋と革命』ですよ。カ行ですよね、「コイ」も「カクメイ」も。

今村有希
はい。

たぶん、(カ行の)コイとかカクメイって(吃りで)上手く喋れなかったんですよ、むかしの西部さん。でもそういう人が言葉じゃなくて実践するんですね、これが。

ところがね、話がちょっと厄介になってくるのは、恋(コイ)と革命(カクメイ)と中森さんはアッサリ仰るが、生命懸ける、人生賭けるとなるでしょう、同時に恋愛をやってると、自分のやってる危ない振る舞いに女性を巻き込むことになるわけさ。

なりますよね。

そこの緊張感ね。簡単に言うと、道徳ってあると思うんですけどね、テロリストでもなんでも革命家でもいいんだけども、自分が傷付く分には自分の判断でいいけどね、それに女性を巻き込んじゃいけないと、いうふうに思うところはあるわけさ。

うん。

今村有希
(うんうん)

そういう意味では俺は旧人類なんだ。自慢すべきか恥ずべきか、ほとんど全てぼく以外の男性たちはね、自分たちの組織が滅びていく時に、みんな女性のもとへ行っちゃう。

ほぉ〜。

女性と別れたのはね、恥ずべきか自慢すべきかよう分からんが小生ただ一人。

あぁ〜西部さんだけなんだ。ヘェ〜。

知ってる限りで言うとね。だから案外、そこですら『恋と革命』の間にある矛盾が起こりうるんですよね。厄介な話で。

[*生命と人生を賭ける革命、恋と革命の矛盾と緊張感 ]

今村有希
寂しかったんですかね?

うん?

今村有希
その、女性の方へ行かれた方たちは?

ねぇ。

寂しい・・・いやそれはねぇ、寂しいというそんなんじゃないと思うね。もうちょっと打算的なことじゃないのかなぁ。

でも西部先生、あのよくね、昔の弾圧されてきた共産党時代の転向者というのは、典型的な言い方としてよく『母への転向』という言い方があるじゃないですか、日本の場合はね。

あぁ〜。

そういう意味合いではないんですかね、女性に転向するというそこにしか居場所が(ない)。政治的転向ではなくて母性に戻っていくと。

僕はちょっと違ったけど、僕はあなたのようにお母さんに愛されてませんでしたから。

いえいえいえ。

ハハハハハ(笑)

だけど、なんて言うのかなぁ・・・今の若い人たちが、やはり何かこう空虚感、恋愛したってなんかこうマニュアルっぽくなっちゃうと。

そうねぇ。

運命の出会いだとか、宿命だとか思えないわけですよ。

[*現代の若者における恋愛、運命宿命感じず空虚感 ]

今村有希
すぐ連絡が取れちゃう。

すぐ取れちゃうでしょう。いまネットとかLINEとかで常時繋がっている。

今村有希
はい。

そうすると、昔の映画とかね、この橋の下で来週会おうよとか会えないとか、あぁいうことないじゃないですか。ドラマが生まれにくいってところありますよね、現代のメディアにとって。

夕べもある酒場でいろんな風景、女4人男4人の集団がやってきて、女のコたちはケーキの話をしだしたの、どこそこの何がプリンは美味いわなんつって。そしたらね、立派な服装をした若者たちが必死にその女性の会話について行くべくね、あそこのケーキもあるよ!とかさ。

中森・今村
(大笑い)

それを見ててね、これはもうダメだと。

今村有希
ふふふふふ(笑)

だから今はね、ぼく分かるなぁ・・・別に中森さんに媚売ってるんじゃなくてね、あぁいう男性たちがやってきたら、それはね、女の人たちに頼みたいことがあるとしたら、いいチャンスを狙ってパンチを喰らわせろとね。

[*男の役割に目覚めるには、女性がパンチを喰らわせる ]

今村有希
アッハハハハ(笑)

それしか無いんじゃないかって。(拳を突き立てるジェスチャーを交えて)「何言ってんの!私たちのケーキ話に口出すんじゃない!!(怒)」ってね。

今村有希
(うんうん。笑)

空気を読む?KYか。

うん。そうそう。

KY KYということを気にしながらね、本当の意味でいう『自分の役柄』ね。

今村有希
(うん)

ケーキ話をするのは女の特権で、男はおいそれとそういうことをしちゃイケないんだと。

大学でね、ちょっと何年か前に教えてたことがあったんですけど、(学生が)一人で学食でご飯を食べられないというんですね。

あぁ〜。

本当かなと思って(学生に)聞いてみたんですね。

今村有希
はい。

「食べれないっスよーっ」というわけ。なんで一人で食べられないの?と聞くと、「ボッチ(=独りぼっち)と思われちゃうじゃないですか」と。「友達がいない奴だと人に見られちゃうじゃないですか」と。

今村有希
はい。

一説によるとね、トイレかなんかでご飯を食べてるというね。

ハッハハハハー(笑)

今村有希
はい(笑)

それで、可哀想だなと。そこまで人目を見て、あんなもの一人でどこででも食えばいいのに、その一人でご飯が食べられないと。だから、よく若者というとなんか規律性が無くて、なんか放縦に何をやってとは全然違って、若い奴ほど周りのことを気にしていて、(西部を指して)こういう老人の若い頃の「今こそ戦争を!」とはまったく逆なんですよ(笑)むしろ空気なんか読まないで・・・でもそうはいかない。

ひとりでご飯を食べられないってね、それが周囲から社会的承認を得られていないというね、それを見せたくないと、それでトイレに入って食事ってこうなるわけでしょう。

うん。

やっぱりそれを突破する道はね、結論を言うとね、本当に『最後は決断しかない』んですね。

うん。

本当にね、フラれることを覚悟でね、今村さんにね、「今日ランチを一緒にしませんか?」と言って、予想通り・・・「私は別の約束がありますから」と言われて。そういうことを言ってみせる勇気ね。

[*他者から承認を得られる「決断」と「勇気」 ]

今村・中森
あぁ〜。

ある週刊誌の記者に、その生徒から聞いた話をしたんですけどね、いま中国の留学生が東京にいっぱい来ていて、中国の留学生に女子がみんなもっていかれていると。

今村有希
えぇ〜!?(驚)

ほぉ〜。

うん。こういう番組で西部先生の前で言うのもあれですけども、みんな喰われていると言ってました。

今村有希
う〜ん。。。

本当かなぁと思って記者が調べに行ったら、中国の男たちってこれまた空気読まないんですね!

ワハハハハ(笑)

今村有希
(苦笑)

こういう今村さんみたいなキレイな人がいると、だいたい男たちは、あのコだけはみんなで手を付けないようにしようぜと言って出てくるのに、「今村さん!」とか言いながらどんどんどんどん・・・

じゃあ僕は中国人なのかなぁ・・・

今村有希
ウフフ(笑)

ということは、中国の男たちはいま一人っ子政策でヘタしたら結婚出来ないかもしれないというんで、ものすごいフェミニンなんですって。中華弁当を作ってくれたり何くれたり、もう日本の男たちは全然敵わないと。その記事をさる週刊誌で全部調べてやったわけ。

あぁそう〜。

日本男児よ、これでいいのか!!尖閣諸島どころか・・・

フハハハハハハ(笑)

今村有希
(笑)

女性たちまで侵略されてと(週刊誌の記事に)・・・僕は大爆笑したんですけどね(笑)

今村有希
へぇ〜(笑)

本当にね、本当にそれ大事なんですよ。

今村有希
はい。

ちょっと自慢話ですけどね、僕もハッキリ言ってクソ爺さんですよ。

今村有希
(いやいや)

これ数年前ですけどね、ある酒場行ったら、向こうにどうも日本人とは見えない女の人が3人揃っててみんな美形だったのね。真ん中に男たちが5、6人いるんですよ、僕はこっち端にいたんですよ。でもね、一瞬ねその場に沈黙が訪れてそのチャンスを逃さず、あの向こう端の女性の皆さんは美形ですねと。それで美形という言葉が通じなかったの。「美形って何ですか?」というから、キレイですねということを言った。

今村有希
はい。

結論を言うと、後で真ん中の部分が居なくなって、こっちへいらっしゃいよと。日本語は達者なの、ペルシャ人、イラン人(のこと)ね、もう一人は中国人。日本に来て、酒場でキレイですねと遠くから声をかけられたのは生まれて初めてですと。

おぉ〜。

今村有希
へぇ〜(笑)

僕ね、日本男子に言いたいね。これ老人だから言えるのかなぁ・・・ぼく若い時は言えなかったな、そういえば僕も。^ね。

今村有希
うん。

あるいは老人たちが悪いのかなぁ・・・自分たちが率先してね、若者よと、若いから言えないのかもしれないけども、そばにキレイな人がいたら良いタイミングで『キレイですね』と言えと。いま言えないのなら、いずれ言えるように頑張れと。

今村有希
(笑)

・・・というふうに励ます老人が少ないってことかもしれないね。

西部さんが若い人の前でそうやって出てきたら、「あぁ俺も歳をとったらこうなれるんだ」と希望が湧きますねぇ。

ワハハハハ(笑)

今村有希
ウフフフフ(笑)

西部さんも格別ですけども、老人の方が若くて若い人の方が保守的。僕も50(歳)を越えてきてからなんですか、車のタイヤかなんかが(回っているのを)見ていると、一瞬錯覚で反対に回っているみたいに見えるじゃないですか。

あぁあるねぇ。

年齢もそういうふうに感じていて、よく考えてみたら老人って、西部さんのことじゃなくて、西部さんはあと20歳ぐらい生きると思いますけどね、先が無いわけですよ。

今村有希
あぁ〜。

ねっ。先無い老人ってものすごい若いんです。芭蕉の最期の辞世の句があるじゃないですか・・・

『旅に病んで 夢は枯れ野を かけめぐる(松尾芭蕉)』

ものすごいスピードですよ。だから、西部さんの中で夢は枯れ野をかけめぐっているんじゃないですかねぇ。

これね、端的に言えるみたい。恐らくそれ記憶の問題と関係があって、ある程度歳をとると、自分の中でいちばん重みをもつのは『過去の記憶』なんですよね、それがね、甦ってくるんですよ、少しずついろんなチャンスにね。

[*甦ってくる過去の記憶は自分の中で最も重みを持つ ]

うん。

ですからね、それに自分で関心をもつ。ということは若い時のことでしょう、ひどい時は5歳6歳の時のことが断片的に甦りますからね、そうするいと外面は禿げたり皺だらけになったり神経痛になったりするんだけども、内面的には若い時のことが甦ってくるのね。内面的にはすごく若々しい。妙なあれ昆虫?硬い殻を被って割ればフニャフニャとなっちゃう(笑)

中森・今村
(笑)

あの文章がそうですよね、西部さんの最近の文章が。

今村有希
はい。

どんどんどんどん若く。で、文章はだって、全く若かろうが何だろうが同じなんで。

人間ってそうですね、この対他関係、他者から承認されることも必要だけども、承認されるための条件はやっぱり『自分の努力』も必要ですからね。

[*他者から承認されるには自らの努力も必要である ]

人生、時間がありますでしょう、20年だろうが、70年だろうがね、

今村有希
はい。

そしたら、自分のこの生涯の時間をうまく解釈して、それなりに語りうる物語にしてね、それをいいTPO、time(時間)、place(場所)、occasion(場合) をわきまえて他者に発表すると、他者はこいつ面白いやんけ、というふうに承認してくれるというね。

[*生涯を解釈し語りうる物語にTPOわきまえ他者へ発する ]

うん。

それを、東大出たぐらいで承認してくれと言われるから、よく東大生が新宿で殴られていたもんですよ。お前何者だ?と言ったら、ちょっとそっくり返って「東大生です!」と言うもんだからバーンと殴られるというね。

今村有希
(笑)

僕ね、SEALDsの最初に話をしてたけど、若者たち諸君ね、やっぱり西部さんがこんなに面白いんだから、囲んで特に女子を中心にして、担いで国会まで行って一緒になんかねぇ、まぁこういうことでもいいし、戦争をしようでもいいですよ、西部さんの。

(笑)

若者たちはね、この西部邁というスゴいグル(※ヒンドゥー語で「導師」)がいるんだから、西部さんをもう一回国会前へ連れてって・・・

僕は麻原彰晃になるのは嫌です(笑)

新しい革命!!革命をね、2010年代後半のね革命をやったらいいんじゃないかと思いますよ。

今村有希
(笑)

中森さんね、是非ね、まぁ・・・この番組が続けばまた来て頂きたいね。

楽しみです。

そうしないとね、僕ね自信ないんですよ。だんだん歳取るでしょう、それで理屈もだんだん固まっちゃうし、こういう状況の変化というものに敏感に対応して物を書いてこられた方がタマに来てくれないと、どうも我が仲間の発言は、僕も含めてみんな紋切り型になっちゃってね。

(笑)

なんか最近退屈しているもんで・・・是非、またお越し下さい。

いやぁ〜楽しかったです。

ありがとうございました。

中森・今村
ありがとうございました。