読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

MX・表現者 シンポジウム③ 安倍・プーチン会談を受けて米中露外交をいかに展開させるか 〜TOKYO MX 西部邁ゼミナール×隔月雑誌「表現者」連動企画〜

MX・表現者 シンポジウム③ 安倍・プーチン会談を受けて米中露外交をいかに展開させるか 〜TOKYO MX 西部邁ゼミナール×隔月雑誌「表現者」連動企画〜

 

司会進行:富岡幸一郎表現者編集長、文芸批評家、関東学院大学文学部教授、鎌倉文学館館長) 【近著】文学の再生へ 野間宏から現代を読む(藤原書店)

 

ゲスト:
馬渕睦夫(元特命全権大使、駐キューバウクライナモルドバ)【著書】世界を操るグローバリズムの洗脳を解く(悟空出版)ほか


木村三浩一水会代表)【著書】東アジアに平和の海を - 立場のちがいを乗り越えて(彩流社)〔共著〕

 

【ニコ動】
西部邁ゼミナール) MX・表現者シンポジウム【3】2016.09.17

sp.nicovideo.jp/watch/sm29664207?cp_in=wt_tg

 

富岡幸一郎(司会進行)
安倍・プーチン会談を受けて米中露外交をいかに展開させるか」ということで、馬渕睦夫先生、そして一水会代表の木村三浩先生にお出で頂きました。どうぞ宜しくお願いします。


第二次安倍内閣ですね、「地球儀を俯瞰する外交」という形で色々な外交を展開しております。いまの世界の激動の変化の速さ、英国のEU離脱にも見られますように、新たな意味での主権国家の回復という方向も出ております。勿論そこにはユーロ・グローバリズムの破綻といった経済の問題も絡み合い、更には宗教の問題ですね、ISなどの問題も絡み合っている。まぁそういう重層的な複雑な方程式の中で如何に外交を展開していくか?その辺りを今日お二人のご専門の大変深いご経験と知識からお話を頂きたいと思います。


まず馬渕先生からですね、現在の日本の置かれた位置、或いは、安倍・プーチン会談ですね、 の問題について少し概括的なお話を賜ればと思います


馬渕睦夫
一言でいえばですね、この間の「伊勢志摩サミット」ですね。サミット以降、世界が変わったというのが私の認識です。なんで変わったかというと、やっぱり伊勢神宮なんですね。伊勢神宮に参拝された各国首脳が記帳をしておるわけなんですが、それによりますとね、共通のキーワードが出てくる。それはね、平和とか共生、自然、性質、調和ですね。つまりこれは日本の伝統的な思想なんですね。これが実は最大の成果であったと思います。


それから、もう一つの成果はやはりオバマさんの広島訪問ですね。それも含めて、私は伊勢志摩サミットの一環であったと思っていますね。『国家というものを見直そう』ということになってきたわけですね。グローバルな市場だけではないんだと。そのグローバル市場化の弊害が出てきている。それに対してもう一度、立ち止まって考えてみようじゃないか、その一つの表れが、イギリスの国民投票の結果であって、『EU離脱』という選択になりましたね。


それからアメリカでトランプが共和党の候補になった。これは底流で結び付いているんですね。我々がメディアから隠されている事があるんですが、それが『ロシア』なんです。これで、プーチン大統領がもしこの年末に訪日されますと、これで完結するんだと。そうすると2017年はまさに日本の時代になるというふうに思っています。


注目すべき動きは、やはり『トルコ』なんです。クーデター未遂がありましたね、実は私は心配しているんですが、あのクーデターが成功していれば、第三次世界大戦になったかもしれないんですね。そういうことはメディアは報じません。クーデター派に加わった軍人の中には、昨年の11月24日にロシア軍機を撃墜したパイロットも入っているんです。で、私は最初からあの11月の(ロシア軍機)撃墜事件というのはおかしいと、エルドアンがやったとはとても思えないと思っていましたが、やはりそうだったですね。


エルドアン大統領がプーチン大統領に6月の終わり頃ですが、謝罪の手紙を出しました。そうすると、その直後に何が起こったかと思いますか、皆さん?・・・イスタンブールでテロが起こったんですよ。イスタンブール空港でテロが起こりましたね。で、その後で何が起こりましたか?・・・7月15日に(トルコの)クーデター騒ぎが起こった。


そういうふうに見ていきますとね、我々の目から隠されているんですが、世界は繋がっているんですね、確実に。だから今、その伊勢志摩サミット後、私は「世界が変わった」と言いましたが、そういう動きと、それに対して、そうはさせじという動きとが、いまがっぷり四つに組んでいると、そういう状況と言えるんだと思います。

 


富岡幸一郎(司会進行)
いまの世界情勢がですね、ロシアという隠されたもの、そしてトルコのクーデターから新たな構造が見えてくる思いが致しました。


あのロシア、それからウクライナに関しては、木村三浩先生が何度も足を運びですね、実際に現地でいろいろな方とお会いしてお話しております。


木村三浩
ウクライナ政変がありまして、クリミアがロシアに2年前に帰属するわけですけども、それがなければですね、プーチン大統領はG8として、日本のサミットに来てやはり伊勢に参拝されて、何らかのインスピレーションを受けた可能性があるわけですね。


ところが、ウクライナ政変、クリミア問題でG7になりまして、ロシアは今、経済制裁をEUやアメリカや日本から受けています。この中でですね、我が国の首相は非常にプーチンさんと交流を続けています。日本との戦後の大きな問題である『北方領土の問題』のですね、解決にもなるかもしれない。それは日本の悲願ですから、プーチンさんは伊勢志摩に来れなかったですけれども、その後ですね、安倍さんはすぐソチというですね、あの冬季のオリンピックが行われた所なんですが、ここに行きました。プーチンさんの別荘に行って、結果的には、日本がロシア国内のハイテク化や近代化、それに資するために「経済協力」を行いますという合意が形成されたんですね。


2018年までプーチン大統領の任期がありますから、安倍さんも2018年まで首相の任期が伸びますようですから、この間にいろいろなことをやって行こうと、そういう状況にあると思いますね。そして12月のプーチン大統領の来日に、安倍さんの郷里の山口県プーチンさんを招待するんじゃないかと。首脳同士が約束したことを実行に移して違えないことの信頼関係を作るということですね。

 


西部邁
これから始まるのは、もう『第三次世界大戦の言わば“前哨戦”』、押し合いへし合い・・・でも、ふつう前哨戦というと、短い期間でそれで本番が始まるんですが、多分ですね、この前哨戦が長く長く尾を引く。理由は、本当に第三次世界大戦になったら、お互いに核兵器を持っていますんでね、もう全滅合戦になりますからね、そういう意味じゃ「代理戦争」に近いようなものとしての前哨戦を彼方此方で長く長く尾を引く。


何故そういうふうに考えるかというと、90年代のほんの一時ね、アメリカの一極支配集中が可能じゃないかと、アメリカ自身もそう思い、日本人もその後をくっついて行けば大丈夫ぐらいに思っていた時期があったのだけども、それが例のブッシュ政権時代(※息子ブッシュ)のね、僕はあれは『アメリカの国家テロ』だと思いますけども、『イラクに対する国家侵略』によって脆くも一極支配集中の幻想が壊れた。


アメリカの一極支配集中の化けの皮が剥がれたということは、何を意味するかというと、国連が世界政府の代役をしてくれるのならいいんですよ、でもご承知のように、国連を牛耳っているのは安保常任理事会ですよ。第二次世界大戦戦勝国が入っているんですからね。旧ソ連、現在のロシアもいれば中国も入っているわけですよ。アメリカもイギリスもフランスも入っている。お互いに「拒否権」を発動すれば機能停止に陥るわけですよ。国連は決して世界政府の代わりにはなり得ない!!スプラトリー諸島というよりも、南シナ海の領有権をめぐって、オランダのハーグの国際仲裁裁判所は裁定を出して、「中国のやっていることは不法である!」・・・中国は何と言ったかご存知でしょう。「こんなものは紙屑である!!」と。


今度、逆に考えてみましょう。世界政府は存在しないとしても、まぁそれは認めざるを得ないのだが、「国際法なんか紙屑だ!!」とブチ捨てていいんだとなった途端にね、実は、国際社会というものが成立し得なくなるわけですよ。社会というのはどこかで共通のお互いの了解なり、認識なり、約束ごとを守るなりということがあって初めて society(ソサエティー)=社会でしょう。「国際社会なんかあるわけないんだ」とまで言ってしまったら、実はこの世界は弱肉強食・優勝劣敗のジャングルと化すわけですよね。果たして、こんな殺し合いのジャングル状態にどんな国家だって耐えられないわけですよ。


多分これからですね、世界は Balance of Power(バランス・オブ・パワー)、つまり勢力均衡の押し合いへし合いの政治として展開されるでしょうが、その具体的プロセスはね、国際法を介在させながら議論し、且つ、実力を示し合うというね、そーっと剥き出しの勢力均衡ではない、幾分複雑な Balance of Power Politics(バランス・オブ・パワー・ポリティクス)がこれから展開される。


もしも日本がロシアともそれなり経済外交から始まって、それなりの政治的な一定のですよ、戦争状態はまだ(ロシアとは)終わっていないんですから法律上ね、平和条約を結ぶなり何なりという形でロシアとある一定の協力関係に入った時に、初めて日本はバランスの手立てを手に入れるわけですよ。アメリカと中国に挟み討ちされてどっちへくっ付くか、両方共から蹴飛ばされるなどという情けない惨めな、そういうガキであることを日本人はそこで一歩脱してね、「お前たちがそこまでやるんなら、俺たちはロシアと手を結ぶぜ!」と。「俺たちロシアから・・・・」後は言いませんけど・・・(木村の方を見て)ロシアの核でも借りて頑張ると言うか(笑)

 


木村三浩
(超苦笑い)


会場
(笑)


西部邁
まぁというのはね、冗談半分で言ってるんですけど(笑)、そういうことも含めてね、ある種の駆け引きをね、勢力均衡のための有力な日本にとっての手立てとして、ロシアがいるんだと。


日本はこれから本当に一本立ちして、アメリカがいずれ何でも助けてくれるだろうなどという情けない形で、アメリカの膝に乗っかり首っ玉に噛り付き、頰っぺたを舐めまわしてたこの憐れなジャパ公がですよ、ようやっとアメ公さんから切り離されて一人歩きになって、そして米中露というね、三国の間でどういうふうなバランス外交を取るかという『本当の重大な試金石』が、この第三次世界大戦の打ち続く前哨戦の中でいよいよ始まる。

 


富岡幸一郎(司会進行)
7月15日のトルコのクーデター、在米イスラム指導者ギュレン師というのが黒幕にいるとも言われてますが、もしあそこでクーデターが成功していたら、まぁ第三次世界大戦。8月9日にロシアのプーチン大統領サンクトペテルブルクで会談しています。


つまりイスラム中東圏では欧米の優等生と、まぁそれは欧米側からの理論ですが言われているトルコがですね、ある意味、軸足を替えたと。つまりロシアとの関わりに向かったというのは、これは一つ大きな事かなぁと思っております。

 


馬渕睦夫
今そういう第三次世界大戦をやっぱり起こそうとしている勢力がいるんですね。これはどういう人かというのはすぐ分かるんですが、はっきり言えばネオコンなんですが、つまり、『プーチンとえるドアの仲を割く』というのがこの間の事件。ずっと去年のロシア軍機撃墜以降の工作だったわけです。我々気付いてないんですが、日本がロシアに接近するのもその人たちがそうはさせじとやっているわけですね。


『だから、トルコとロシアの関係がどうなるかというのは、日本とロシアがどうなるかという事と実は連動しているんです。』

 


木村三浩
第三次世界大戦が既に始まっているというのはですね、日本にいるとなかなか実感が沸かないんですけれどもですね、いまクリミアでウクライナの諜報機関と軍隊が北部の方に上陸しましてね、ドンパチやって何人かもう死んでるんですね。それをもってして、プーチン大統領とメドベージェフ首相はですね、「今更こんな事をやっているのかウクライナは!」と、ウクライナと国交断絶を考えるという事まで発言しているんですよ。


クリミアでやった工作・銃撃行動は、これは挑発以外の何物でもないんですが、対ロシアの前衛国家だということなんですよ、前線の前衛国家。ウクライナの北部はいまだにもう「ミンスクの合意」がされましたけども戦闘状態があります。これがとんでもないことになって破裂したらですね、第三次世界大戦が本当に起きる可能性というのは目の前にありますよね。


じゃあ外交と日本の国益のためにどうするかと言ったら、私は安倍さんに是非、もう山口にプーチン大統領が来られて、すぐ北方領土が何島か返還、4島一括だとか3島だとか2島だとか・・・いうことにはならないかもしれません。ならないかもしれませんけども、その端緒が出来てきてさぁこれからスタートだ、そのためには平和条約、早く1日も早く日本とロシアの平和条約を締結していただきたい。こっからスタートです!!

 


馬渕睦夫
4島だけを日露でどうすると言っても、これは埒があかないわけです。つまり2島になるか3島になるか、面積で2等分するとかそうじゃなくて、日露関係全体の中で北方領土問題を考えると。『日露関係というのはグローバルな意味を持っている』ということを総理も強調されているんですね。ここが一つのポイントだと思うんです。つまり日本とロシアだけのものじゃないんだと。これはグローバルにもいい影響を及ぼすんだということです。


これはどういうことかと言うと、つまり経済協力の話が出ましたけども、ロシアの経済をハイテク産業化すると。アメリカとかの監視を入れて、中国のように経済発展を図るんじゃなくて、『土着の経済発展を図りたい』というのがプーチンの念願なわけですね。それには欧米の資本ではダメなんです。日本しか協力相手はいない。何故か理由はお分かりですね。日本自身が明治維新以降、その近代化というものを土着化して、つまり欧米近代化というものを『日本化』して、今日の繁栄を築いたからなんです。


だからプーチンもそれをやりたいということですね。昔からロシアに伝統的にある西欧化とスラヴ化をどう上手く融合させるかということです。それに対してピタッと答えを出せるのは日本しかないということですね。


そこでその仰った平和条約ですが、平和条約ということは、結局、北方領土問題を解決するということですから、これが平和条約を結ぶということは領土問題が解決するということですね。ではその見通しはということなんですが、私は、今年のプーチン大統領の予想される訪日が鍵だと思います。経済と領土の取引じゃあないんです。どちらがロシアの安全保障にとっていい事かということの選択をプーチン大統領に選ばせる。つまり、安全保障の観点からプーチン大統領に選ばせる。

 


富岡幸一郎(司会進行)
ロシアの経済、西欧化とスラヴ化、スラヴの土着の問題、それはやっぱり日本人だからこそ理解出来る、非常に先ほどの最初の話の伊勢志摩サミットとも繋がるとこだと思います。大変重要なことだと思いますね。


まぁプーチン正教会との繋がりとか、そういうことも含めていろいろなその構図が解けてくるのかなと思いました。

 


西部邁

やっぱりネオコンの問題ね。あれは本当に大事な問題で、私がビックリしたのは、ネオコンがむかし創始された時にですね、アーヴィング・クリストル親子(※アーヴィング・クリストル:ネオコンの創始者、かつてはトロツキスト)が関係していたという情報が出たんですよ。


どこまで本当か知りませんが、実は僕18、9(歳)の時からこのクリストルを知ってまして、実はTrotskyist(トロツキスト)なんですね。つまり分かりますか?トロツキストってのはこれ左翼の代表のひとつですけども、『世界革命論』ですよ!!『世界を同質にする』というね。実はネオコンもそうなんですね。『アメリカ的な自由民主主義、この原理で世界を画一的に統一する』というね、そういう意味ではね、右の端と左の端ね、それがもうみんな出生も忘れたんだけどもいつの間にやら手を結ぶようにしている。


それに対する対抗の拠点があるとしたら、今の(馬渕の)話に繋げると各国の土着のもの。これは狭い意味でのナショナルなものじゃなくて、言わば、『開かれたナショナリズム』として各国が各国の利益を守るように、他国とどういうふうにして巧みな知恵ある外交を展開するかというふうな折り合わせの世界として国際社会を構想する以外になくて、その努力を怠ると、Trotskyist(トロツキスト)とNeo-Conservatism(ネオ・コンサバティズム)のですね、合体としての本当に『第三次世界大戦』の血生臭い風景しか未来に見えてこないと。お互い気をつけましょうということになる。


馬渕・木村
(笑)


富岡幸一郎(司会進行)
以上をもって、第一部、第二部、今日のシンポジウムを終わらせて頂きます。先生方、どうもありがとうございました。


【次回予告】錆び付いて剥げていく「日本の心」 :ゲスト 中山恭子 参議院議員 〔日本の心を大切にする党 代表〕〜西部邁ゼミナール〜