▪️政論家森田実、「我が人生」を語る(平成編)③:ゲスト 森田実(西部邁ゼミナール)
▪️政論家森田実、「我が人生」を語る(平成編)③:ゲスト 森田実(西部邁ゼミナール)
ゲスト
政治評論家 森田実 近著:「森田実の一期一緑」(第三文明社)
評論家 西部邁 近著:「生と死、その非凡なる平凡」(新潮社)
【ニコ動】
(西部邁ゼミナール)森田実、我が人生を語る【3/3】2015.05.24
http://sp.nicovideo.jp/watch/sm26328976?cp_in=wt_tg
小林麻子
三週に渡り、政論家森田実が我が人生を語るということで、森田先生の遍歴を追っています。
今週は、この四半世紀間、特に「小泉改革」を頂点とする『アメリカ流の改革運動』に森田先生がいかに抵抗されてこられたかが語られるハズです。
森田先生はあるテレビ局で、小泉批判をされるや否やレギュラーを断られたと伺っておりますが・・・?
あの、だんだんだんだんね、出演依頼が少なくなってきてたんだけど、しかしまぁ、週に2度とか3度とかはね、なんか声はかかって出演してたんですが、小泉さんが「郵政」(の是非で)解散をしましたでしょう?
[*郵政解散(2005) 参院での法案否決を受け、衆院を解散]
小林麻子
はい。
あの時には、衆議院は(郵政民営化の法案は)通ったんですよ。それで参議院で否決になって、
ありましたねぇ。
で、国会はね、憲法41条で国会の最高機関であって唯一の立法機関であるというようになっていますから、あの、結論が『否決』になったら『廃案』になるんですよ。で、出直しというのはしばらく経ってからやるもんなんですけどね、ただ、その時に小泉さん(※当時は首相)は、
「俺は納得出来ない!参議院が否決したのは納得出来ない!!国民に(是非を)問いたい。衆議院を解散するのは、俺は憲法7条で出来るんだ。」
というんで、(参院で)否決になった翌日にね、真っ赤な絨毯の、あのカーテンの前で『解散』をやるんですよ。で、その翌朝に解説者として僕はフジテレビに出た時に、
『小泉首相は全く間違っている!憲法違反である!!衆議院を通って、参議院で否決されたら、これは一旦「否決」なんだ。廃案になるんだ。そのことを政府は認めるべきなんだ。それを「認められない」と開き直ったのは、首相としての越権行為であって、しかも「解散」をするということをやってしまったのは、それは完全なる首相権限を逸脱した法に反する行為なんだ。小泉氏はかくなる上は、自ら責任をとって政治家をやめるべきだ!!!』
という話を(小泉解散の翌日にフジテレビで)したんですよ。そしたら、それから後は(出演の)依頼が来なかったですね。 一切全く。それで、私の姿が東京のテレビから消えたわけです。それが経過です。
小林麻子
まっ、そうですかぁ・・・。
僕は郵政改革のかなり前にね、みんな覚えているかなぁ・・・
ってね。それは小泉さんがまだ厚生大臣の頃から旗振りをしてて、それに経済界も出版界も新聞界もくっついて、大騒ぎが半年ぐらいあったの。
たまたま僕がテレビ(局)で待っていた時に、小泉さんとこに直面して、それ一回きりなんですけどね、僕が、(それは)『おかしいんじゃないですか?』と。
『ニュージーランドは行政改革で国家公務員を半分に減らしたんだけど、それに(日本も)学べと言っているけど、半分に減らしても対人口比で言って、まだ日本より(ニュージーランドの方が)多いわけですよ。一体、何を考えて「ニュージーランドに学ぼう」と言っているのか?』ってね。
ニュージーランド人口少ないでしょう?300万とか、350万なんですよ。
[*2013年当時で、ニュージーランド人口は、440万人 http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/nz/data.html ]
小林麻子
あぁ〜。
ついでに言うと、これは竹中平蔵とも関係があるんだけど、「国家公務員は半分に減らしてもまだニュージーランドは人口比で多いが、地方公務員は(ニュージーランドの方が)少ない!」とか言ってて、それは(その時に)言うチャンスを失ったけど、僕の気持ちは冗談で言ってんのよ・・・
『ニュージーランドの地方民は羊しかいないからね。』
小林麻子
アハハハハハ(笑)
羊の面倒は犬がみていますから、そもそも地方公務員はいらないんじゃないかと(笑)
小林麻子
(笑)
でもね、ぼくそういうこと言ってたの。つまり、僕が言いたいのは、あの連中が言ってることってのはね、いかにも意味にも何かありげだけどね、ちょっと一枚めくって考えると、いま森田さんが言ったのは憲法上の問題ですけどね、ほとんど、根も葉もない話が多いということね。
僕はあの、繰り返し言うもんだから、僕はそれで(小泉氏に)お会いしたのは一回きりですけどね、相当、嫌われてたんじゃないですか。
もう一つ、先生にね、嫌われたことがあるんですけど、このMXテレビで。
野末陳平さんって方がね、
「西部さんの小泉批判は分かったけど、じゃあ、具体的にどうすればいいのさ!?どうすればいいんだよ、どうすれば?」って聞くんですよ。
[*野末陳平(作家・政治家 1932~)「談志・陳平の言いたい放だい」に出演]
じゃあ、僕はせっかく答えた。
『どうすればいい?ったって、僕は一介の評論家(の身)では、僕には何も出来ない。しかも日本人は8割は「小泉万歳!」で叫んでいるんだから、何も出来ない。』と。
でも「どうすればいいのさ!?」って(野末は)言うからね、
『それならば、殺すしかないんじゃないですか。』
って言っちゃったの(笑)
小林麻子
(笑)
(うん)
僕が言ってるのは「殺せ」と(いう意味で)言ったんじゃないんですよ。
(うんうん)
どうにもならないものを、それでもどうにかせい!!と言うのなら、手立てが(殺す他に)無いだから(笑)
小林麻子
(笑)
(笑)冗談で言ったらね、MXという会社は恐ろしい会社で、(その番組は)録画(放送)だったのよ。そのまんま放映されちゃって、
小林麻子
あらっ、それは・・・(笑)
その翌日に小泉さんが国会の廊下で、突如として「俺は殺されても郵政改革やるんだ!!」と言って、
小林麻子
アハハハハ(笑)
さらに(小泉)人気が盛り上がっちゃったんですよ。あれ、僕のせいなんですよ(笑)
小林麻子
(笑)
MXのせいなんですよ(笑)
小泉さんがね、あの郵政(改革)の時に、それを批判した人間を公認から全部外しちゃったんですよね。
小林麻子
へぇ〜。
そして、(その党内の反対者への)「刺客」と言って、まぁ小泉さんを支持するいろんな人を引っ張りだしてきて、どんどんやったんですよ。実は、自民党はそういうことをしない政党だったんですよ。最後は手を打つ。
だから、法宗(※法相宗)の「和の精神」というのがあったんです。小泉さんがはじめて、容赦なく(反対勢力を)切ると。もうかつてのスターリンみたいにどんどん粛清しちゃうというんで。
小林麻子
はい。
私の中のいい人たちは、どんどん首切られちゃってね、それで無所属で戦うわけですよ。それで、応援も得られないわけですよね、もう小泉さんがどんどん押しまくって。応援弁士はみんな欲しいんですよ。だから、あたくしのところに「来てくれないか?」というんで、それで、郵政で小泉に首になった人間の応援にずーっと回ったんですよ。
フフッ(笑)
これはもう全国、私はうちに帰らずにね。
小林麻子
はぁ〜。
ずーっと回ったんですよ、ボランティアでね。やっぱりね、選挙というのは、一人で最後まで戦うというのは結構、寂しいもんなんですよ。
小林麻子
うん。
みんなで助け合って応援するのが慣れている。これがね、私は郵政に入っていった、一つの動機ですか。
もう一つはね、郵政の会合があるんですよね、そういうのがかなり田舎にあって、根強い力を持っているんですよ、昔の地主さんとかがやっててね。それらの人達から、やっぱり「応援してくれないか?」ということでね、それでやっぱりね、なんとなく「任侠道的な精神」があるんですよ。
小林麻子
はい。
だから、「やっぱり行こう!」というんでね、任侠道ですよ。それでやったんです(笑)
小林麻子
はい。頼もしいです。
いまの森田さんの話は本当にそうで、小泉さん・・・小泉よりもあぁいうやり方が悪いのは、つまり「ニュージーランド改革に学べ」って言うでしょう?みんなニュージーランドが凄いことをやっていると思っているわけさ。ところが、ちょっと議論すると、ちょっと東京を見るとさ、(ニュージーランドは)日本に追いついていないわけ、半分以上。『そういう議論をするヒマを与えない』というね。
しかも、マスメディアが【ワンフレーズ・ポリティックス】と称して、また褒め上げるというね。
小林麻子
あぁ〜。
やっぱりワンフレーズじゃあねぇ、ダメなんですよ。ちゃんとしたセンテンス、文章になっていないと。しかも、一行の文章じゃあダメでねぇ、10だ100だって文章並べてようやっと議論とか説得でしょう。それを出来ない人・しない人が現れはじめたんですね。平成に入ってからですけどねぇ・・・。
小林麻子
ヒドイですねぇ。
僕らのね、先週、先々週(の放送)と関係あるけども、学生運動なるものにいいところがあるとしたら、やっぱり、けっこう『議論』したんですよね。
小林麻子
うん。
僕は、ロクな議論だったとは思わないけど、いちおうお互いに理屈を述べ合ってね、それで、理屈の上での勝敗というかんじが100%じゃないけど、そのために随分あれですよ、議論を尽くしたんですよ。『言葉を大事にする』というギリギリがあの頃まででしたね。
うん。
小泉さんが良くないのは、そのポリシーのこと以上に、《言葉を大事にしないという政治家が公然と現れた》んですね。
小泉さんというのは、本当に変わった人でねぇ・・・
小林麻子
えぇ。
まだご存命で、おそらくこのテレビ観ているんじゃないかと。
小林麻子
あらぁ〜♪♪
へっへっへっへ(笑)
あの、政治改革の時にね、僕がね、『小選挙区はしない方がいい』と。
[*小選挙区導入 90年代初め、海部内閣が推進]
うん。
『日本というのは、やっぱりいろんな多元的な価値があって、それが有権者の前で争われるものがいい。候補者を政界のボスが決めちゃって、そこで信任を得るというようなことは、政治が独裁化するし、良くない。』
・・・というようなことを、小選挙区の導入を推進した竹下さんとか、小沢さんとかに、私はずーっと反対していたんですよ。そしたら、だんだんだんだんとテレビの出演回数も減ってくるわけですよ(笑)
ハハッ(笑)
だんだん少数派になってね(笑)
それでも、言論界には何人かいたんですよ。ところが、政界の中ではね、小泉純一郎1人だけなんですよ、「小選挙区に反対!」というのは。
小林麻子
へぇ。
それで、(周囲の)みんなが勧めるんですよ、「小泉純一郎と対談しよう」と。
それで、まぁ約束を取り付けて、(小泉純一郎の)姉さんが秘書をやっているでしょう?それで(対談を)やるんですよ。それでね、
「小泉さん、貴方は小選挙区に反対だから、その理由を言ってくれないか?」と。そうすると、小泉さん、じーっとダマっててね、しばらくして、かなり沈黙の後、
「小選挙区はんたーーーい!!」
ってやるわけですよ。スローガン。
小林麻子
えええぇぇ?!(笑)
それから、またダマっちゃうんですよ。
あぁ〜。
それだとね、一行にしか記事にならないから、それで新聞のコーナー、僕は持ってるからね、もうちょっと喋ってくれないとね。
小林麻子
はい。そうですねぇ(笑)
それでずーっとダマっててね、またいきなり、
「小選挙区はんたーーーい!」
とやるんですよ。そういう人ですよ。
(顔に手をあてて、ただただ苦笑)
小林麻子
おかしな方ですねぇ・・・(笑)
スローガンだけを喋るような人ですよ。
小林麻子
そうですかぁ・・・。
だから、街頭演説なんかではね、けっこう上手いところもあったんだけども、僕のインタビューではね、全く話にならなかったですなぁ。
小林麻子
そうですねぇ・・・それは、お友達には欲しくないかなぁ(苦笑)
フッフッフッ(笑)
やっぱりね、いわゆるデモクラシー、『民主主義』ね。この場合は、多数のものが投票に参加して、そこの「多数決でことを決めていく」この方式ですけどね、そこで、立候補する人、及び、当選する人の多くの人が一言でいうと、やっぱり『変な人が多い』ですねぇ。
小林麻子
うん。
ですから、僕はね、小泉さんとか小沢一郎さんもそうですが、あぁ(小沢について)説明抜きで悪かったなぁ・・・いろいろ変わった人いるんですけどね。
(うんうん)
やはりあれは、個人がどうということの前に、やっぱり、デモクラシーという制度がね、得てしてあぁいうタイプの人を、それこそ「ワンフレーズ・ポリティックス」でいいんですよ。
「ご意見は?」「小選挙区制反対!!」というね。(※聞かれた問いかけに、理由を述べない。スローガンを叫んで終わり)
小林麻子
あぁ。
『「そういう人の方が“わかりやすい”」というのが、所詮、世論なるものなんです』ね。
あの、僕はね、左翼にいる時から感じたんだけれども、政治をやる人間はね、自分たちは大きなことをやろうとしている。左翼はまぁ革命をやろうとしている。意欲的なことをやろうとしているんだと。
ハハッ(笑)
小林麻子
はい。
少しぐらい、その道義に反することがあっても、一般国民よ、大目に見ろよ、というね、多少、傲慢なところがあるんですよ。
でね、これが間違いだ、ということをずーっと言い続けたもんだから、あんまり好かれなかったです。
うん。
つまりね、そこで政治はダメになるんだと。だから、指導者たる者、自らを律してね、個人的にも後ろ指をさされるがごときはね、しちゃいけないんだという、言ってみれば、stoicism(ストイシズム)、禁欲主義ですよ。
一般社会人としては、禁欲してもいいし、享楽してもいいんですよ、それぞれが自分の実際的に人生選べばいいんですが、
小林麻子
はい。
政治指導者はね、道徳的でなければならんというのが、あたしはずーっとやってきて、それで、どんどんどんどんそれを言うが毎に孤立してくるというね。
小林麻子
あぁ〜。
そういう過程で、今は全く孤立で(笑)
小林麻子
えぇ、そんなぁ(笑)
だから、森田はこの世にもう居ないんじゃないかと言われるぐらいで(笑)
小林麻子
そんな、元気一杯で。あぁ〜。
でも、もともと国家ってね、ギリシャからはじまる「police(ポリス:polis)」ですけどね。だから、political(ポリティカル)っていうでしょう?
[*ポリス(古代ギリシャの都市国家) politics(政治)の語源]
でも、ポリス(police/polis)ってのはもともと、(森田が)仰ったように、その時代の道徳というものをね、みんなが共有しあった、いわゆる『市民』が作り出している一種の『共同体』ですからね。
小林麻子
はい。
「ポリスの大前提には、ある種の道徳の共有があって、そこでの政治』ですからね。底抜けのね、策略だけだとね、うまくいかないのね。
小林麻子
はい。そうですねぇ。
やっぱり、若い政治家の場合ね、力でもってね、うまくいったと・・・これは、危ないんですね。
小林麻子
はぁ〜。
力で(政治は)うまくいけるんだ、ということが起こるのと、もう一つは、あの人は力を持っているということになると、そこに近付いてくる人がいるんですよ。
小林麻子
あぁ〜。
ゴマスリが。これがね、権力者を甘えさせて、ヒドイことになる。
ですから、政治家はある程度、経験を積んだ老練な人がいいんですよ。
そう。
つまり、ゴマスリを近付けたら政治はダメになる、権力を振り回したらダメになる、ということを知ってる人の方がいいんですよ。権力は抑制して使うべきですからね。
小林麻子
はい。
ところが、最近は若い人がどんどん出てきてね、そんなに鍛錬していない者が出てきて、それで権力を振り回して、「俺を甘くみたら、お前ら生きていけないぞ!」というような感じになってくるのね。そこに、危険性があるんじゃないですかねぇ。
小林麻子
あぁ。
これ、イギリスの知恵ですけどね。
小林麻子
はい。
基本的にはね、『政治は老人の仕事。』中国もそうかな?
[*政治は老人の仕事]
そうそう。
(政治は)老人の仕事ね。
どういうことかと言ったら、人生も人間関係も実は、矛盾に満ち満ちているわけさ。
小林麻子
はい。
そうすると、ちょっとした理屈とかね、データとか何かで割り切れるほど平板なものじゃないんですね、国家も時代も人間も。そうすると、そのことの矛盾の動き方というのは経験上、よくよく分かっているのは、どっちかといえば『老人』なんですよね。だからね、『政治家は、おおむね老人の知恵を待ってやれ』と。
ところがね、アメリカとか、昔で言うとソ連ね、あぁいう、『実験的にできた若い国家は非常に危ないんですよ。』
青年たちが先頭に立つでしょう?戦後日本もそうよ。学生運動もそういう意味じゃ問題なんですよ。
小林麻子
はぁ〜。
森田御大から末端の西部に至るまで「青年だった」んですからね。青年が国家を壊したり何だりしてるんですからね(笑)
小林麻子
(笑)
(うんうん)
大変な時代なもんで(笑)
青年が暴れる時代というのは、止むを得ず暴れるんだけど、おおむね危ない時代なんですよね。
(うん)
先ほどね、みんな昔は議論したって話を西部さんされてましたけどね、
小林麻子
はい。
あの、旧制高校では、三年あるわけですね。でね、議論をするということをやりましてね、Aという立場と、Bという立場とで議論をしてると、ある時にスパっとやめて、(AとBの)立場を変えて、その後、議論をするんです。
あぁ、そうですか。
(その結果)そこで、議論の感情が無くなるんですよ。まぁ、ある意味では、仏教の教育なんかもそういう議論をやってね、どんなに議論をしても感情的にならないということをやるわけですね。
小林麻子
へぇ〜。
で、僕は旧制高校にいた人たちと、一時期一緒の時期があったんで、彼らはそういう方法を非常に強調していましたね。
で、だんだんだんだん、そういう議論を積むことが教育なんだと。立場をサッと変えてやってみようというのが、無くなって来てるから、ちょっと惜しいですね。
小林麻子
は〜そっか・・・。
あの、アメリカのディベート教育もそうみたいですね。
いまなんか、日本人、「debate(ディベート)」と言うと、論争術みたいなことを言ってるけど、
うん。
これ(debate)が『教育』で使われた時は論争じゃなくて、要するに立場を変えるわけさ。「本当はクリスチャンじゃないのに、クリスチャンの立場としてどう言うか?」「仏教徒じゃないの、仏教徒としてどうやるかを言う」ことによって、相手の気持ちが何ほどか了解できるというね。
で、アメリカ的な、「俺が俺が、私が私が」という個人主義から抜け出るために『相手の立場を自分がとってみるという教育方法がディベートなんだ』と。
それがなんかね、日本ではよく『朝まで(生)テレビ』なんてのはね、ワーワー叫んでいる方が勝つ!という、そういう論争術になっちゃったんですね。
小林麻子
う〜ん、そうですねぇ・・・。
あの場に出てたのは誰なんだ!!
フフッ
僕ですけど(笑)
小林麻子
(笑)
でも、最後に森田さんに、ちょっとアナタ(小林)聞いてくれる?僕が聞くと変だから。
小林麻子
えっ?
・・・森田先生、日本の国家は、政治は、日本の政治家は、日本の国民は、これからどうなります?・・・っていう。
小林麻子
え、え〜と・・・・
あのぉ〜・・・
小林麻子
えっ、えっ?、あっ、すいません。私も聞きたいです(汗)
(笑)
あのつまり、東洋の思想というものを、今の政治家の人たちは知らないような人が多いような気がするんですね。
小林麻子
はい。
アメリカに留学して帰ってきた人が(政治家に)非常に多い。で、アメリカは良いところはあるんだけども、しかしアメリカには、歴史観とか、大きな宗教思想だとか、というものは、無いといっちゃあれはだけど、薄いんですよね。
ところがやっぱり大きな流れの中で、東洋の思想の二大潮流は、『儒教』と『仏教』ですけども、このことをやっぱりもう少し議論すべきじゃないかなぁと。
でいま、いろんなところで、イスラムと仏教との対話とかね、そういうものが起こっているのだけども、そういうやはり人間の根底的な考え方に関する議論というものをはじめるべきだと。そういうことがね、できる指導者は西部さんですよ。
小林麻子
はー。
だから、西部さん一つ頑張ってもらってね。
いやぁ〜、僕なんかいいんだけど。
本当に日本人ね、いろいろと変だと思うんだけど。これ、Islām(イスラーム)・・・麻子さん。
小林麻子
はい。
Islāmという言葉の意味はどういうことですか??
小林麻子
・・・こないだ先生に聞いたんですけど、忘れちゃいました(滝汗)
教えてやったのに、忘れちゃったのか(笑)
僕が言いたいのはね、なんかさ、「イスラム国が〜」とかさ、「イスラム原理主義が」とかパーパー言ってるけども、そもそも「Islām」という言葉はどんな意味なのか?ということについて、確認しようとしないんですよね。
で、字引で引くとすぐ出てくるんですよ。
(うんうん)
『帰依する』っての。
[*Islām(イスラーム) “帰依”を意味する]
小林麻子
あっ、そうでした!
こういう意味(帰依)ですよね。
だから、キリスト教に帰依するのもまぁ言ってみればIslāmだし、仏教の悟りの境地に帰依するのもIslāmだしね。
もっと浅く言えば、天皇陛下に帰依するのもイスラームだしさ。多分、あれでしょうね、イスラームそのものは、人間で言えば、僕は一度もイスラームしてきたことは一度もない依然として一介のニヒリストに過ぎないの・・・だがしかし、多分、あれでしょうね、
『イスラームするということは大事なことなんでしょうね。』
(うんうん)
それ(イスラーム=帰依)ができれば、物事の秩序基準が相当ハッキリするわけですからね。
そういうこともあれだしね、「イスラムだ!問題だ!!」とかさ、あぁいうその雑な言葉遣いが嫌ですね。
そうですねぇ。
あのこないだね、中国の山東大学に招かれて講義してきた時に、隣に孔子の生まれたところがあって、2500年の歴史がそのまま残っているんですよね。
[*孔子(紀元前552~紀元前479) 春秋時代の思想家・主著「論語」]
小林麻子
へぇ〜。
で、いろんな指導者とそこで話をしたんですが、結局、原始的儒教に、つまり、原始的儒教の中には『老子』的なものも含まれているわけですね。その後、道教と儒教に分裂していくわけですが、(道教と儒教の)統一の努力もいろんなところで行われるんですけども、いま全体として、その原始儒教の中に、一つ『調和』というものを見つけだそうという動きがあって、それがね、『仏教』ともものすごく共通しているんですよ。
で、その仏教圏にイスラム教がどんどんどんどん広がってね、マレーシアとかインドネシアとかどんどんアジアに、タイにも広がってるんですね。そういう形でね。
で、キリスト教はもう戦争やって、キリスト教を教えようということはないですから。平和のあれですからね、調和的なものですから。
あの、宗教対話を通じて、調和を作り出す、そういう時代に私はなってきてると思ってましてね、まぁ口出しですが、西部さんのご登場をお願いと。
小林麻子
はー。
まぁね、もうじきというかもう既に日本は、アメリカご51番目の州になっておりますのでね、
(うん)
小林麻子
はい。
何かね、いま(森田)先生が仰ったような、そういう老荘の思想を含めた東洋的な、もっと広く言うと、お釈迦様を含めた【我欲を断つ】というね、
(うんうん)
自分のせせこましい、そういう欲望というものを捨て去って、もっとその大きな自然、宇宙、無窮の時間の中に我が身をおいてみるといった種類のね、そういうことをやる前に、アメリカに吸収されて・・・
「明日の証券の価格はどうなる?!ドルは円はどうなる?!儲かった!損した!!ウワウワウワァーーー!!!」
と言って・・・もうなってますけども。
小林麻子
なってますか(笑)
ということで、冗談で言うんだけど、森田先生の御努力も儚く・・・
小林麻子
はい。
・・・いわんや、西部邁の努力など何の効果もなく・・・
(うんうん)
この国はいずれ、アメリカの大海に没する、
小林麻子
いやぁ〜。
一粒の泡となるであろう。
(うんうん)
小さな声で言うが、ざまぁ〜みやがれ!!
小林麻子
(笑)
・・・と、言いたくなりもする。が、こういうところで終わっちゃいけないから、また次の回に、ね(笑)
まぁ、なんとかしたいですよね、我が日本民族の方向を。
小林麻子
はい。はい。はい!!
ということで、3週間本当にありがとうございました。
ありがとうございました、どうも。
小林麻子
ありがとうございました。
【次週】第三期表現者塾 講師:澤村修司『逆光の明治』