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公共活動のほかに道はなし②  ゲスト:藤井聡(内閣官房参与・京都大学教授)青木泰樹(東海大学非常勤講師・京都大学特任教授)〜西部邁ゼミナール〜

公共活動のほかに道はなし②  ゲスト:藤井聡内閣官房参与京都大学教授)青木泰樹(東海大学非常勤講師・京都大学特任教授)〜西部邁ゼミナール〜

ゲスト
藤井聡内閣官房参与京都大学大学院教授、レジリエンス研究ユニット長、近著『スーパー新幹線が日本を救う』(文春新書)

青木泰樹:東海大学非常勤講師、京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授、近著『経済学者はなぜ嘘をつくのか』(アスペクト

【ニコ動】公共活動のほかに道はなし② 2016.07.30

http://sp.nicovideo.jp/watch/sm29345189

今村有希
今後の日本のあるべき姿を問う、「公共活動のほかに道はなし」と題した連続企画の2回目です。ゲストは東海大学非常勤講師で京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授の青木泰樹先生と、京都大学大学院教授でレジリエンス研究ユニット長の藤井聡先生です。

 

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今村有希
公共事業をめぐっては、「コンクリートから人へ」というような聞こえのようさそうな言葉で、公共事業悪玉論へと傾いた世論ですが、公共事業は市場を安定させる言わば、国家を支える大きな基盤です。日本における公共事業の現状から、今後の投資、そしてその財源の問題まで広い視野で捉えた理論が繰り広げられるかと存じます。それでは先生方、宜しくお願い致します。

西部邁
今週も宜しくお願い致します。

藤井・青木
宜しくお願いします。

西部邁
先週ね、青木先生からご説明あったように、経済とは『経世済民』なんですけど、国家を活性化させる活動なんですけども、

[*【経済】:世を經め(おさめ)民を濟う(すくう)「経世済民」 国家を活性化させる活動である ]

今村有希
はい。

西部邁
国家ってね、みんないいますけど、「国家」っての具体的何かと言ったら、北海道、関東、東北転々として、九州、沖縄に至る「地域」ね。これ inter-regional(インター・リージョナル)、日本語で「域際」と訳すことが多いけど、地域の関係ですね、inter-regionalな関係が安定している、堅実であってはじめて国家。

[*【国家】:域際 inter-regional の関係が安定し堅実なものが国家である ]

今村有希
(頷く)

西部邁
ところが、もう一極集中でね、東京は不気味にネオンサインで朝から朝まで輝いているぐらい。

藤井聡
朝から朝まで(笑)

西部邁
地方に行くと、僕の出身地 北海道でこの前ね、女房の三回忌ということもあって帰ってみて、まぁ言ってみれば閑古鳥が鳴くというよりかは、北海道の人には悪いけど、僕個人もそうだけども、僕はこれはもう『死に体』だなぁと・・・死んでおるなと。

藤井聡
うん・・・

西部邁
たぶんね、いろんなそんな地域が多いんですよね。

青木泰樹
あぁ〜。

西部邁
という意味じゃ、域際関係が脆弱になっている・・・ということは、公共活動が歪んでいるということでしょう?

[*域際関係が脆弱になる、公共活動の歪み ]

藤井聡
はい、そうですよね。

西部邁
ちょっとその他、説明してくださいよ。

藤井聡
はい。要するに、いま「東京一極集中の問題」・・・これは「地方の衰弱の裏側の問題」ですけど、それが明らかになっているグラフがこちらなんですけど9、

[*東京に一極集中の問題 “地方の衰弱” ]

西部邁
あぁ〜。

 

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藤井聡
これはいわゆる先進国の主要都市のパリ、ニューヨーク、ローマ、ロンドン、ベルリンと東京のそれぞれの国の総人口に対するその都市圏人口の割合、推移なんですけど、

西部邁
うん、

藤井聡
1952年、今から60年以上前、だいたいどの国もまぁ12%前後以下ぐらい(で推移している)でまぁ似たり寄ったりだったんですけど、

西部邁
うん。

藤井聡
である特殊な一国(※日本)を除くと、それ以後どうなったかのかって、だいたい横ばい。

西部邁
横ばいか。

藤井聡
或いは、微減しているぐらいです。

西部邁
うん。

 

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藤井聡
意外と一極集中って起こっていないのですが、この赤い線(※日本)だけがずーっと伸びている。

西部邁
どこですか、これは?

藤井聡
これは、この赤いのは日の丸・・・あぁ〜日本だ!!

一同
(笑)

藤井聡
東京の集中率というのが2倍に膨らんでしまっているわけですね。

西部邁
すごいねぇ〜。

藤井聡
ところで、なんでこういうことになるのかと言うとですね、あの通常考えますとですね、東京というのは一番大きな街、首都というのは一番大きな街ですから、『自由に競争させると、どんどんどんどん勝っていって一極集中が当然起こるわけですね。』

西部邁
そうだよね。

藤井聡
『従って、日本はかなり市場原理主義的な都市間競争をやって、東京がどんどん勝ち続けている。ところが、諸外国でそれが起こっていないということは、競争を過剰にさせていないんですね。』

[*なぜ?東京一極集中、諸外国では起きていない ]

西部邁
そういうことだね。

藤井聡
で、なぜそれほど競争が起こらないのかというと、政府が投資を地域に満遍なく行っていくと。

西部邁
うん、

藤井聡
経済規模を度外視してですね、いろんな地域に、人口が少ないところも多いところも、それなりに新幹線・鉄道、道路、港湾をつくっていくということをやっていくんですが、日本の場合は、やはり人口が多い、経済規模が大きいところに集中投資をやる。東京に集中投資をやるからこういう状況になっていくと。

[*日本では人口の多いところへインフラ投資、だから東京に一極集中してきた ]

西部邁
うん・・・

 

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藤井聡
例えば、一例だけお示しすますと、これは先週お示しした新幹線の地図ですけど、これ元々、田中角栄が列島改造論を書いた時には、全国に満遍なく新幹線のインフラをつくり、そして『域際を活性化させていく、地域の交際を活性化していくということを考えていた』んですけど、それから50年間、日本人は何をしてたのかというと、東京には4つの新幹線が接続しているのですが、全国に関しては1本通しただけと。それで通っていない地域もいっぱい残っていると。

西部邁
うん、

藤井聡
で、第2の都市であった大阪ですら1本しか(新幹線が)通っていない。第3の都市の名古屋ですら1本しか通っていない。東京だけに新幹線をつくって、大阪との新幹線投資格差は4倍の差に開いていると。で、もう他のところは全然つくっていないということです。

[*東京中心に新幹線整備、大阪との投資差は4倍 ]

西部邁
うん。

藤井聡
で、新幹線が通っていない日本の(人口)20万以上の都市というのはだいたい25ほどあります。フランスとかドイツにはですね、20万都市であるにも関わらず新幹線が無い町は1つ、ないし2つしかないです。

[*フランスやドイツでは20万人都市に新幹線整備 ]

西部邁
うん。

藤井聡
ですから、ほとんどの20万都市には新幹線は通してあげるという政府方針がヨーロッパにはあって、従って、その結果としてヨーロッパ並びにアメリカの町々というのは人口集中が起きなかった。けれども、『東京だけに一極集中公共投資を行ったので、東京だけ人口集中が起こって、それでこの裏側で地方が疲弊していったという事実がある』ということなんです。

[*日本では人口多いところへインフラ投資、東京に一極集中し、その裏で地方が疲弊 ]

西部邁
(うん)

藤井聡
『ですから、日本において政府の活動、公共活動というものが諸外国に比べて極めて脆弱であったという事実があるんですね。』

西部邁
数年前に示してくれた、あの道路の話でしたっけ?これ面白い地図でねぇ・・・

藤井聡
あっ、これ実は5年前に(西部)先生も私も5つずつ若かった頃に、

西部邁
ワハハハハ(笑)

今村有希
(笑)

藤井聡
この同じスタジオに来てお示しして、(西部)先生も「えっ?こんなになってるの?どうなってんのこれ!?」と先生もビックリされた。

 

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藤井聡
これは、60km/hで走れる高速道路ネットワークの地図です。

[*60キロで走れる道路のネットワーク国際比較 ]

 

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藤井聡
で、日本はこう「東京」が一番多いんですが、他にもこうポロポロポロっと(高速道路が)できていている状況なんですが。(上画像右側の)これもうイギリスではかなりの密度で(高速道路が)出来ている。

西部邁
スゴいねぇ・・・

 

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藤井聡
更にこちらはイタリア。日本よりずいぶん経済が小さい。でもイタリアはかなりの密度で(高速道路網が)出来ている。

今村有希
はい。

 

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藤井聡
そして、これがいちばん見ていて悲しくなるんですが・・・

西部邁
ワハハハハ(笑)

今村有希
(ドイツの高速道路網を見て驚く)

藤井聡
アウトバーンのドイツはですね、もうメロンの皮よりも密度が濃いぐらいのグチャグチャグチャ〜と(高速)道路が出来て、

今村有希
(笑)

藤井聡
それで(対照的に上図左側の)日本はこんな状況です。「道路王国」なんかいう言い方がかつてありましたけども、道路王国はヨーロッパの国々であって、

西部邁
(失笑)

藤井聡
『日本は道路後進国なんだと』・・・いう、これだけの格差が(欧米と)ある。

西部邁
それなんだよ。民主党政権ね、顕著だけども、「事業仕分け」と称して「無駄な道路がつくられてる!!」とか嘘ばっかり。全部嘘なの。

今村有希
(笑)

 

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藤井聡
しかも、これうちの研究所で分析しますと、(上図:グラフ)横軸が道路の整備率、縦軸にGDP成長量をとると、キレイな相関関係ができる。

西部邁
あぁ〜。

藤井聡
しっかりと道路をつくった国というのは成長しているということが分かっている。

西部邁
(頷く)

藤井聡
日本では東京一極集中で、地方には全然インフラが無い。そういう状況なのに、国全体のインフラの水準もヨーロッパと格差があるので、ヨーロッパに追いつくためには相当な投資をしていかないといけないですが。

[*日本は東京に一極集中、国のインフラ投資に格差 ]

 

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藤井聡
これは実は横軸は年代で、平成8年を100に基準化した場合のインフラ投資額の推移です。

西部邁
うん。

藤井聡
ご覧のように、一番増やしているカナダは(基点の平成8年水準の)3倍ぐらいにしてるんですね、この間の過去18年の間に。イギリスも3倍ぐらい。で、ドイツ(下から2番目)が一番公共投資を拡大してないんですが、それでもまぁ微増しているんですが、『1個だけ(平成8年水準の)半分に減らしている馬鹿がいる。』

今村有希
フフフフフ(笑)

西部邁
どこだっ!!!

藤井聡
やっぱり日の丸 日本なんです(笑)

西部邁
(頭を押さえてうな垂れる)

今村有希
(笑)

藤井聡
インフラの整備水準は彼ら(欧米諸国)の方が(遥かに)高い。地方にも(欧米の)彼らの方が公共投資をたくさんやっている。

『しかも、彼らには巨大な地震津波も大きな洪水もそれほど無い。日本では地震津波も大雨も台風もいっぱい来ている。しょっちゅう洪水しているのにこの状況ですから・・・これは国力として日本が諸外国にこれから数十年の間に勝つ見込がこのままだったら無い。』

西部邁
よく市場・・・経済学者はさ「市場理論」という。市場理論っての簡単に言うと、みんなが自由に交換するシステムという意味ね。例えば、この2人が取引するために、例えば物を運ぶ道路があるとかですよ、他にもいろんな条件があるのね。

[*「市場理論」:自由に物資が交換できるシステム、取引成立のための道路や教育水準 ]

藤井・青木
(頷く)

西部邁
仮に今村さん、

今村有希
はい、

西部邁
今村さんも病気なさるでしょう、えぇ?

今村有希
はい(笑)

西部邁
あんまり相手が健康状態が悪いとね、取引にならないわけでしょう。

今村有希
うん。

西部邁
こっちがこんなに強くてね、貴女が(病気で)下に倒れるという・・・今は本当は逆だけど、僕の方が倒れるんだけど(笑)

今村有希
(笑)

西部邁
それから今度は、教育水準もありますよね。

青木泰樹
そうですね。

西部邁
僕はさなんてーの、新聞もテレビも本も読まないとか、無知悶々の輩である・・・取引が成り立たないんですよね。取引どころか2人で一緒に働くこともできないわけでしょう。

今村有希
(うん)

西部邁
ですからね、いろんな意味で僕は公共投資だけじゃなくて、『公共活動』というものがあって、

藤井・青木
そうですね。

西部邁
みんなの関係性というものを、何も完全平等じゃなくてもいいんですよ、『取引可能な、或いは、協力可能な関係をつくるというその土台があってはじめてマーケットは機能するわけ。』

[*取引可能な協力関係の土台があって機能する市場 ]

青木泰樹
主流派経済学というのは、国民も国家も国土も宗教も文化も伝統も全く考えてないんです。当たり前の経済活動をするには、必要な人間関係・社会関係があるじゃないか。

西部邁
ねぇ。

青木泰樹
当然のことなんですけど、一切考えてないんですね。で、そこにあるのは、市場メカニズムと合理的経済人と、幾許かの資源と、そして所用の技術と4つの要素しかない。それを持ったものを「市場システム」といって、まぁそれの中で経済効率だけを考えましょうと、そういうふうなレベルの話がもうほとんどの経済学者が考えているわけで。

[*国民・国家・国土・宗教・文化・伝統を全く考えず、公共活動から価値は生まれないという主流派経済学 ]

西部邁
そうですね。本当にそこには人間とかね、集団とかあぁいうもの全部を度外視して、一種の空中楼閣、砂上楼閣。

[*人間や集団を度外視した空中楼閣、砂上楼閣 ]

西部邁
(天井を指して)ここに合理的な人間がいるとしてね、自由に取引できるシステムがあるとして、空中楼閣に関する緻密な少々の下等数学を・・・本当は僕むかしそれやってた(笑)

今村有希
ウフフフフ(笑)

西部邁
20代の後半。

今村有希
ハイ(笑)

西部邁
だから結構詳しいんですけどね(笑)

青木泰樹
(笑)

西部邁
こんな砂上楼閣、空中楼閣に付き合いきれねぇわと・・・思って、30過ぎでそういうものからオサラバサラバしたから、まだその延長線上でやって、

青木泰樹
そうなんです。

西部邁
結果としてはね、そこで競争だ何だという虚しい掛け声だけがあるわけでしょう、イノヴェーション競争だなんだと。それでその結果、いま(藤井に)仰っていただいたような、惨憺たる状況をもたらしていると。

藤井聡
ハイ。しかも、さらに経済学の先生方の滑稽なところはですね、そもそも彼らが一生懸命勉強している教祖と呼んでいいところの【アダム・スミス】は、やっぱり彼らは『国富論』の中で交通インフラのことを論じているわけですね。で、『生産というものは交通のaccessibility(アクセシビリティー=交通利便性)に依存している。』従って、インフラは重要であるということが(スミスによって)示唆される。

アダム・スミスの真逆にいる【カール・マルクス】も、元々その上部経済の経済というものを下部構造のその計算システムに依存してて、で、生産システムの根幹にあるのが物理的交通システムだということを、論じているんですよね。

西部邁
そうですねぇ。

藤井聡
ですから、右であろうが左であろうが経済を論じていた昔の賢人たちは、インフラのことを軸に、或いは、インフラのことをベースに経済理論というものを組み立てて、経済政策を論じていたのに、タコツボ化して、なんかこの辺のことを勉強するのを忘れたのか、何の勉強をしたのかちょっと分からないんですけど、そっくり忘れてしまっているんですね。

[*インフラを軸やベースに経済理論を組み立て、経済政策を論じていた昔の賢人たち ]

西部邁
そういうことをしなくて済む領域があるとしたら、いわゆる純粋金融、或いは、純粋証券世界ね。

[*純粋金融証券の世界は賭け事のような瞬間損益 ]

藤井聡
あぁ〜。

西部邁
あれだけはね、インターネットのボタン押せばさ、まぁ1億だ100億だ、一瞬にして動かせると。一瞬にして利益が損失もあるんだけども、そういう世界だけね・・・それならば、いま言ったような土台も枠組みも法制も、それこそ取引が速いでしょう、明日どうなるかなんてったってさ、1秒後にはまた別の取引をやればいいんだから、明日明後日の事を考えなくて、瞬間瞬間の賭け事の世界、そういう世界を国家全体に拡大しようという・・・

藤井聡
そうですね・・・

西部邁
妄想の中に(平成の)28年間も生きてるわけであります。

藤井・青木
フッフッフッフ(大苦笑)

青木泰樹
(西部)先生ね、ちょうど2008年のリーマンショックの時に、いわゆるまぁ「効率的市場理論」というんですけども、金融市場には世界中の知恵と知識と情報の全て集まっている。で、金融市場というのは将来の予測から成り立っていますから、一番効率的なんだ、というふうに言ってたんですけど、リーマンショックでそれが吹っ飛んでしまったんですね。

西部邁
うん、そうですよねぇ。

青木泰樹
即ち、もう完全に合理的な市場であるにも関わらず、もしもその市場であれば、この暴落が予測できるハズですから、誰も取引はできない。

西部邁
えぇ。

青木泰樹
そうした合理性に対する疑問というものが、経済学の方でも少しずつ芽生えていると。

[*金融市場は将来予測から成り立つ“効率的市場理論” 、リーマンショックで合理性への疑問が経済学に広がる ]

西部邁
そりゃそうなんですよね。経済だけじゃなくて、あの東北大地震なんかも、東電のある責任者が・・・実は清水社長さん(※原発事故当時)でありますけども、「想定」ね、英語でpresumption(プリザンプション)と言いますが、東電の間違いでした。で、新聞記者どもがですね、「(想定は)どこまでだったんだ!!」と(声を荒げて)言うでしょう?「想定できないことも想定しておくべきでした」って・・・僕それテレビで聞いた時に、

藤井聡
えぇ、

西部邁
言葉は悪いけど、おれ狂気の世界にいるのかなって。

藤井・青木
(頷く)

西部邁
想定できないことを想定できないでしょうよ。

[*“想定” presumption 東日本大震災対応めぐり ]

藤井聡
ンフッフッフッフッフッフ(苦笑)

西部邁
それをね、「想定できないことをも想定しておくべきでした。それをしなかったのは、我が東電の間違いです」と言って、新聞記者・テレビ記者が頷いているのを見た時に、僕は本当に呆然とした。

「将来」というものを想定する、これね、実はまぁ簡単に言うと三段階あってね、一つは日本語で⑴『予測』と言いますけども、これを英語で prediction(プレディクション)といいますけどもね、これはね、「平均でこんな儲けがあがるな」と、いわゆる確率分布ね、予測できると。

[*「予測」prediction 将来の想定(三段階) ]

藤井聡
(うん)

西部邁
数字でね、確率的に。

今村有希
はい。

西部邁
ところがね、こういう確率分布なんか想定できない、でもなんとなく日本経済調子良さそうだなぁ、悪そうだなぁと、これ英語でanticipation(アンティシペーション)といいますけども、⑵『予想』ね。予想できること。

[*「予想」 anticipation 将来の想定(三段階) ]

西部邁
ところがね、これも更に超えた不確実なね、なんとなく⑶『想像』できる。例えば、今で言えば、なんか世界中きな臭くて第3次世界大戦が起こるとか言ってる人もいるなぁと、

藤井聡
うん・・・

西部邁
世界は危ないなという程度のimagination(イマジネーション)ね。

[*「想像」 imagination 将来の想定(三段階) ]

今村有希
はい。

西部邁
つまりね、⑴prediction(予測)、⑵anticipation(予想)、⑶imagination(想像)とまぁ一応、三段階にある。ところが、経済学者たちがやってるのはヒドい話でしょう?

青木泰樹
(頷く)

西部邁
もう「全部予測できる!!」と。

[*prediction(予測)、anticipation(予想)、imagination(想像)“全ては予測できる” という経済学者による嘘話 ]

藤井聡
うん。

西部邁
予測できるというのはね、我々4人が毎日同じようなことをやっている時。

今村有希
(笑)

西部邁
ね?今村さん今晩あれ食べるぜとかさ(笑)、明日はこう言うだろうなぁとか、

今村有希
ウフフ(笑)

西部邁
ところが一方でイノヴェーションと言っているわけでしょう?毎日新しいことを起こそうと言っているわけですよ。

今村有希
(うん)

西部邁
新しいことということはね、初めての経験ですから予測できない。難しいのね。

青木泰樹
そうですね。

西部邁
でもね、想像(imagination)とかですよ、或いは、予想(anticipation)ならばなんとかできる。

今村有希
はい。

青木泰樹
経済学者というのは完全に予測できるというふうに考えていますけども、それは過去に起こった事が、将来に必ず繰り返して起こるんだという前提条件に立ってるわけで、

西部邁
そうでしょう。

青木泰樹
それで(西部)先生がいま仰った通りに「革新・innovation」そうしたものは「過去にないもの」が起こる。これが将来ですから、「不確実」ですから。

[*革新とは過去にないもの、将来の不確実性 ]

西部邁
そうでしょう。もう毎日毎日(innovation=革新=過去にないもの)起こせと言うわけですよ。

青木泰樹
(頷く)

西部邁
そしたらね、未来なんて予測できるわけないでしょう。

今村有希
はい。

西部邁
それでリーマン事件の時にどういうデタラメやったかと言うと、簡単に言うと、昨日起こったことね、一昨日、つい最近起こったことが未来も続くと(笑)

青木泰樹
(苦笑)

西部邁
それで予測できると言って、(サブプライムローンに関する)証券をつくって、「この儲けはこんだけです!」と売り捌いて、蓋を開けてみたら全部嘘でしたってね。それで、世界は金融パニックに陥ったわけですよ。

[*最近のことは未来まで続く、予測可能と金融パニックへ ]

西部邁
つまり、過去のことはみんな切り捨ててね、(つい最近の)昨日一昨日起こったことは、今後ともこう(将来まで)行きますと、そういう『歴史観の喪失』ね。

青木泰樹
そうですね。

西部邁
要するに、『国家というものを忘れてしまった』という。国家というのは歴史の上に成り立ちますからね。

[*歴史の上に成り立つ国家を忘れた歴史観の喪失 ]

青木泰樹
そうですね。

藤井聡
並びに、未来の不確実性に対して人間のできることの最高の形が『政治』であるとすると、

西部邁
うん、

藤井聡
『経済学が世の中を支配してしまって予測できるという嘘話に基づいて国が運営されると、政治がどんどん小さくなって、最後は政治がなくなってしまう。』

[*“未来は予測できる” という嘘話に基づいた国家運営をすれば “政治がなくなってしまう” ]

西部邁
そうなんですよね。

藤井聡
『全部 algorithm(アルゴリズム)だけで、計算機だけで世の中が動いていってしまう。』

西部邁
そう、そういうことなの。いまalgorithm(アルゴリズム)って計算法(算法)って意味なんだけど、

今村有希
はい、

西部邁
ITね、information technologyでボタンを押して、ところがね、こっちの方(→予想、想像)に入ってくるとですよ、確率分布の何もないんだからね、

今村有希
うん、

西部邁
そうすると予測できないでしょう。アルゴリズムが成り立たない。

藤井・青木
(頷く)

西部邁
それでもなんとかしなきゃいけないでしょう、人間は。そこでね、これも英語で言って『HO』これ Human Organization(ヒューマン・オーガニゼーション)、人間の組織ね、

今村有希
はい。

西部邁
集団でもいいんですけどね、経済だけじゃなくて政治だ文化だも絡んだ人間、ヒューマン(human)ね。機械ではない、人間ね。

今村有希
うん。

西部邁
『人間の関係でもってなんとか支える以外に未来の不確実性に耐えられないという。』

[*【HO】:Human Organization 人間の組織、人間の関係性で支えねば未来の不確実性に耐えられず ]

西部邁
こんなことは経済学者にわかるわけもないのにわかったフリをしてね、未来がこうなりますって・・・

青木泰樹
そうです(笑)そうするともう「不確実性が無い」わけですから、国土強靭化も無い、

西部邁
無い。

青木泰樹
(未来の不確実に)もう備える必要が無いという、

西部邁
無い。

青木泰樹
愚かな結論に行くしかないんですね。

藤井聡
そしたら、この国で地震津波が起こることは確実で、起こること自体は確実であるという国であるにも関わらず、国土強靭化、即ち、防災対策ができないとすると、それは文字通り、政治の蒸発を意味してて、

西部邁
そうね。

藤井聡
来たるべく大災害に我々が備えるかどうかというのは、我々は政治をできる民なのかどうなのかというのを問われてて、

[*きたるべく大災害に備えるのが国土強靭化、政治ができる民なのか問われている ]

西部邁
そうだね。

藤井聡
例えば、あのヨーロッパですと、今回の財政政策に対して比較的批判的だったドイツとイギリスという国がありますけども、彼らは(英独両首相の)2人ともどんなことを言っているかというと、キャメロンはですね、『もし我々のインフラが二流になれば、我々の国も二流になる』ということを断定していますし、あのメルケルさんですら、『個人の自由、社会参加の豊かさと経済成長のためには、質の高い交通インフラが必要である』ということをやはり言ってて、緊縮的で全部マーケットを中心でやっているかのように見える彼らですら、やっぱり未来のための交通インフラは必要であるということを言っているということを、考えるならば、これだけ不確実性の高い、地震津波等々の多い日本でインフラをやらないというのはあり得ない選択だと思いますね。

[*もし、我々のインフラが二流になれば我々の国も二流になる(キャメロン首相) / 個人の自由、社会参加及び豊かさと経済成長のため必要な基盤が質の高い交通インフラ(メルケル首相) ]

西部邁
そうですよね。何か外国から来たアイデアね、この場合は、市場競争でもイノヴェーションでもいいけど、或いは、ITでもいいのだけど、

今村有希
はい、

西部邁
そういうアイデアが一つのイデオロギーとなってね、(こちらが)受け身で受けいれますから、自分で考えた意見じゃないんですよね、どうもこういう新しいアイデアがあるそうだぜと、それに飛び込めば勝つことができるようだぜと言う。

でもヨーロッパもね、アメリカも含めてそうだけど、まず自分たちから始めていますからね、自分たちで考えるわけ。そしたら、『普通の常識』に辿り着くんですよね。

藤井聡
(頷く)

今村有希
(うんうん)

西部邁
こっちも整備しないと国家は穴ボコだらけだなぁと。普通の常識。わかるんですね。何かこう自分で考えない、しかも自分たちで議論した上での自分達の結論じゃないという。

[*欧米も自分達で考えて常識へとたどり着く、自ら考え、議論した上での結論 ]

西部邁
どこかから、まぁ日本の場合はアメリカなんですけどね、アメリカ戦争に負けて以来ね、僕はもう時々乱暴に言うんだ・・・敗戦、属国、従属、奴隷民族と・・・精神がよ、向こうから来るアイデアに飛び付いて、それを振り撒いてね、それで構造改革と称した(平成の)28年間・・・

藤井聡
(大きく頷く)

西部邁
小さい声で言う。滅びやがれ!!!!!

藤井・青木
(爆笑)

藤井聡
今の確かに小さいお声でした(笑)

今村有希
(笑)

西部邁
では次の週に入ります。

今村有希
はい(笑)ありがとうございました。

藤井・青木
ありがとうございました(笑)

【次回】今週の続編です。