刺激・便利・流行めぐり「現代若者論」 ② ゲスト:中森明夫(作家、アイドル評論家)〜西部邁ゼミナール〜
刺激・便利・流行めぐり「現代若者論」 ② ゲスト:中森明夫(作家、アイドル評論家)〜西部邁ゼミナール〜
ゲスト:中森明夫(作家・評論家)、1959(昭和34)年 三重県出身、著書には小説「アナーキー・イン・ザ・JP」三島由紀夫賞候補、「アイドルにっぽん」、「午前32時の能年玲奈」、【近著】「寂しさの力」(新潮新書)
【ニコ動】
(西部邁ゼミナール)現代若者論【2】2016.05.14
今村有希
前回に引き続きまして、作家で評論家の中森明夫先生にお越し頂いています。テーマは「現代若者論」です。
これまでの理論では、若者が恋愛をしなくなった理由について、危険を超えた危機に身を投じなくなったから、女性にとって男が魅力的に映らなくなった。つまり、『戦争をしなくなったからじゃないか?』という大胆な発言も飛び出しましたが、今回は中森先生と西部先生から一体どんなお話がお伺いできるかとても楽しみです。それでは先生方、宜しくお願い致します。
宜しくお願いします。
今週もお願い致します。僕は若者の知識がゼロなんだけど、
今村有希
はい。
何ヶ月か前にある酒場でね、ちょっとショック受けたことがあるの。
今村有希
はい。
話したこともない若者からね、向こうは僕の顔と名前を知ってるかもしらん。突如、この距離(西部と中森の距離)でしたね。
はい。
先生はまだセックスしてるんですか?と聞かれたの。
[*初対面の若者との出来事、「言葉」「会話」のチカラとは ]
今村有希
え、えぇ〜!!(驚)
最初の会話よ。
今村有希
はい。
僕もっと昔で元気でしたらね、あんた1日に何回マスターベーションしてるの?とね、
うんうんうん。
今村有希
はい(笑)
聞き返すところだったけど、もうそんなケンカやる元気も無いから、とんとご無沙汰ですなぁ〜と言って、数分後にその場を離れたんですけど。
今村有希
私も劇団の仲間とよく(酒場に)行くんですけど、
あぁ、行く?
今村有希
はい(笑)なんか会社員の、ビジネスマンの方々が、ワリと会社の噂話とかをされているのを見てちょっとウンザリしちゃうなってことはあるんですけど、はい。
という次第で、中森さんね、今日は若者・・・若者に限らないんだけどね、
今村有希
うん。
日本人も含めて、「言葉」とか「会話」とかね、そういう力が五月蝿いワリにはね、なにか「力ない言葉」・・・噂話みたいなね、会社話みたいなさ、
今村有希
はい。
そういうのが増えすぎているということについて、中森先生にも教えを乞うと。
ぼく物書く仕事しているでしょう。
今村有希
はい。
そうすると、出版社というところへ行くわけですよね。で出版社、あるアイドルかなんかの写真を作っているようなその編集部なんですけど、こうパッと見たらですね、なんか変なね、中に置いてあるような資料とか何とかが、入り口のところにこう山積みになっている。それでそこの編集長に、これ一体何なの?と聞いたんですよ。「あぁ〜これね、新入社員の青年に、こっちにあるものをちょっとそっちに片付けといてくれよ、適当にやっといてくれよ、と言ったら、全部こうね・・・」(※元から山積みされた状態のものを、そのままの形で整理することもなくただ場所移動しただけ)
ブワッハハハー(笑)
今村有希
(笑)
分かるでしょう?片付けろというのに、全部これをこう・・・(頼んだ編集長が)くいっと見たらギョッとするようなことになっていた。それは何を言いたいかというと、彼はこう言ってました。ある時から新入社員が、まぁ適当にやっといてくれとか、うまくやってくれ、という言葉が通じなくなった。
あぁ〜。
もしこれ移動するんだったら、これぐらいのをこれぐらいにってそれこそね・・・。
西部・今村
(笑)
先週の(西部が名付けた)「スマホ人」じゃないですけど、全部マニュアルとして打ち込まなければならない。
西部・今村
あぁ〜。
つまり、適当にやっといてくれ、その辺うまくやっといてくれ、という言葉が、若い社員にはもう通じなくなったと言ってたことを思い出しました。
[*「“適当”片付け」と指示、若者に通じない言葉の意味 ]
なるほどねぇ・・・。全体状況が見えなくなったということなんでしょうね。
今村有希
うん。
例えば、このゴミみたいになったものを適当に、という意味は、やっぱり全体を住み心地の良い
オフィスにしてくれってことを含んでいるのにそれが分からないのね。
あの言葉それ自体ではなくて、
今村有希
はい。
つまりは「関係性」とかね、
そうだね。
或いは、その「場」の何かとか、そういうのというのは実は、学校で定期的に、況してやスマホで情報的には伝わらないじゃないですか。
そうですよね。
知識は得ても、人間関係で初めて出会った人に対してどう対応するかという「経験値」だとか、
今村有希
うん。
あと「世間値」とか、どういうとこで育っただとか、
そうだねぇ〜。
或いは、その社会全体が成り立ってなければ、それを適当にやっておいてくれの「適当」が伝わらなくなりますよね。
今村有希
はい。
それは若者だけの問題ではなくて、
そうそう。
そういう社会で育った、覿面にそれは「言葉」とか、普段喋っている言葉とか「対応」に出てくるもんだなぁというふうに思いましたけどね。
[* 人間関係における初対面で、経験が言葉や対応に出る ]
あるところでカウンターで飯を食べてたの。隣の客がひとり客でした。突如ね、目の前で働いているコックに(目を合わさず)スマホ見ながら、
今村有希
はい。
「ロンドンマーケット荒れてるぞ!」と。まぁこう株の乱高下があったんでしょう。
今村有希
はい。
そしたら立ち働いているコックが、あぁそうですか、と。・・・一体この会話に何の意味があるのかねぇ(呆)
[*スマホ見ながら店員に意味のない客の会話 ]
今村有希
ウフフフフ(笑)
う〜ん。
どう見たってね、その客も貧しそうで、コックも貧しそうで、(見た目に)どんな株の一枚も持っていない。
今村有希
(吹き出す。笑)
けどしかし、他に会話が無いから、
今村有希
無いからあぁ〜。
ロンドンマーケット荒れてるぞ、とこう言ってしまうというね。
う〜ん。なんでビジネスマンの会話が空疎に聞こえるかというと、
今村有希
うん。
自分と何の関係も無い話を、テレビで聞いたことをパッと(他人に)言うとか、
今村有希
あ〜あ!ハイハイ。
だから、言葉に何か切実さとか、そういうものが何にも無いんですよね。
[*言葉に何の切実さもない、ビジネスマンの空疎な会話 ]
そう。
でもう一点、僕のさっきの「適当にやっといてくれ」が通じなかったり、(西部)先生がある違和感を感じることの一つとして、「空気を読む」ということがあるわけですよね。
今村有希
はい。
で、「空気を読む」のはワリと若い人の方が読んでいるんですよね、すごく仲間ハズレにならないように。
うん。
今村有希
(うん)
僕は別に空気を読むことはいいのだけれど、前々から言っているんですけど、その空気と日本人にとって大事なのは、その「程(ほど)」というのがあると思うんですよね。程々(ほどほど)にしておくと。
[*「空気を読む」若者多いが、ほとほどが大切である ]
そう。
イジメだって程々にすると。
今村有希
はい。
だから、何か今ね、若い人ほど何かイジメが発生すると、昔だってイジメとか何とかありましたよ。でも死ぬまでやらなかった。
今村有希
うん。
(今は相手が死ぬまで)イジメをやっちゃう。或いは、社会がね・・・僕はメディアってスゴイなと思うのは、最近、インターネットなんか見ているとネットの世界ではとにかく誰かがスケープゴートを挙げてワァーと(集中砲火)・・・炎上と言うんですけど、イジめるんですね。
[*誰かがスケープゴートにされネット上で炎上する ]
あぁ〜。
今村有希
はい、一気に。
それと、最近のまぁ自分が関わってて言うのもなんですけど、週刊誌のね、
あぁ〜。
まぁ名前は出しませんけど、『週刊文春』ってありますよね。
ワハハハハ、そんなものがあったっけね(笑)
今村有希
(笑)
週刊文春がスゴイ大好調ですよ。「文春“砲”」、大砲の「砲」(の字)で。
おぉ。
文春砲という言葉がいま流行語になろうとしている。
今村有希
へぇ〜。
何かというと、文春が出たお陰で、不倫事件で議員を辞めるね。
(※余談ですが、金子恵美議員は丸川現大臣とこのゼミに過去に登場されましたね。笑)
今村有希
はい。
タレントは引退寸前まで追い込まれる。何するって“文春砲”がこう炸裂すると。
[*議員やタレントの不倫 “文春砲”が炸裂する ]
炸裂(笑)
僕はもう週刊誌が売れてくれないと食えないんですけど、余りにもね、最近のその一つの言説が週刊誌で出て、それがネットから世間までワァーとなって、で「不倫」というのは読んで言葉の如し「倫を不」だからダメなんですよ。でも、こんなにね、桂文枝師匠までね、
今村有希
ンフフフフ(笑)
そうなの?(笑)
落語家の桂文枝師匠までもう不倫でどうだ?って。
何とかって議員の話、それは(妻である金子恵美議員が)産休とったことも知らなかったから娘に聞いて、何でこんなに騒いでるんだ?と言ったら、その産休を要請して、その間(夫側の)その議員は不倫をしていたと(笑)これはバカな奴だなと思ったけどね、
若い自民党の議員でしょう?
そう自民(笑)
結構イケメンのね。
うん。ある野球選手がね、なんか覚醒剤をやっている。それを何も僕は認めないよ。僕もね、大昔に、昔だけど実験的にやってみたことがあるけど。
でも、僕のどっかの原則はね、それで人を刺したとかね、それで何か起こらない限り、咎めるのもいいし、お止めなさいと、おバカさんねと表現してもいいけど、みんなして拠ってこぞって、
そうそうそうそう。
何?何とか砲?
文春砲炸裂で(笑)
砲弾が炸裂してさ、で、ある一定期間経ったら、ハッとあっという間に終わっちゃうのね。誰も覚えていないという。
[*よってこぞって騒ぐ砲弾炸裂も、誰も覚えていない ]
今村有希
はい。
そうそうそう。兵どもが、みたいな感じで(笑)
何なんだと(笑)ところでさ、étiquette(仏語:エチケット)の語源知ってる?
今村有希
知らないです。
これわかるでしょう?ticket(é-「tiquette」)って。
今村有希
あぁ〜ticketって、切符?(切符のジェスチャー)
切符、うん。
今村有希
はい。
それ(ticket)から来ているというんですよね。人付き合いの、この3人で言えば、やっぱり「場」があってさ、その中に入るためには「切符」が必要でしょう?
う〜ん(唸る)
今村有希
はい。
それと同じように、人間関係、集団でもいいけど、そこに入る時に何かこう出さないといけない切符。(ticket→が、é-tiquette)
[*étiquette 語源は「切符(ticket)」 人間関係に入る時の「ticket」 ]
う〜ん。
ただこれが難しくてね、
今村有希
はい。
中森さんが言った「状況」ということなんだけど、ある場では、あんまりやりすぎると慇懃無礼徒となるでしょう。
あぁ〜そうですねぇ。
例えばね、ある場合では、僕が先ほど出したような例では、俺が若けりゃ、うるせぇこの野郎!!と言ってもいいわけね。
今村有希
うんうんうん。
この切符(ticket)の具体的な姿はね、
難しいですねぇ・・・
今村有希
難しいですね。
状況何れかでね、ひょっとしたらなんぼ言うとね、殴っちゃうのがticketって場合だってね、あり得るんですから(笑)
[*人間関係の「切符」出し方、その状況いかんで決まる ]
あっ!乱暴な言葉が一つのそこの礼儀みたいな。
そうそう。そこは難しいからね、俺なんもそれ以上のことは言わないけども、そのためには何か「経験」ってものが必要なんでしょうねぇ。
経験とか、最近、若い人たちがインターネットとかメールで、手紙で文章を書かないから、
今村有希
あ〜書かないですね、えぇ。
それでたまに僕なんかが、ある女子大生なんかが、是非こういう講演をして下さい、取材をさせて下さいと手紙で来たことがあって、
今村有希
はい。
あぁ〜感心だなぁと思ってね。ちゃんと手紙の何とかを見て書いたんでしょうね、前略なんとか・・・とか、何とかかんとか。
今村有希
はい。
それでね、最後そのね、「中森先生の御活躍を草葉の陰からお祈りします」と、ワハハハハハ(笑)
ワハハハハ(爆笑)
そうなっちゃうんですよね(笑)下手にこのチケットを知らないと。
チケット、草葉の陰で?(大笑い)
今村有希
(笑)
まぁ男性・女性と分けるわけじゃないのよ。(黒板に直線を真一文字、左右に一本引いて)まぁ、横軸は事実的な繋がりだと思ってください。
今村有希
はい。
女性の特徴はね、なんかこの「事実」にこだわってね、あの人はさー、とか、あの人の髪の毛はさーとか、あの人の旦つくはとか、まぁ旦那(=旦つく)ね。事実についてはものすごい表現能力が、男よりかは優れてるのね。
[*“事実”に関する事柄について、表現能力に優れる女性 ]
今村有希
はい。
この両軸はいろんな事実を「同一化」する、細化というかいろいろと区別するのね。これが揺れてるのは事実ね。
うん。
ところが、男が比較的優れているのは、こちらの垂直軸(縦横に直線を横軸の線と垂直になるようXYグラフのように引く)でね、これは上の方は宗教とか何かと「理念」的なことね。抽象的なこと。あいつの言ってる哲学はさーとかね。
うん。
今村有希
はい。
それからもう一つはね、この反対側は「身体性」というか、男は結構ね、女性は自分たちの身体に敏感だという自信があるから、あんまり自分の身体はお化粧以外にしないのだろうけど、
今村有希
はい。
男たちはね、身体的におかしいでしょう、この二人(西部と中森)見てたって?
今村有希
フフッ(笑)
髭があったりさ、いろいろとね。
今村有希
はい(笑)
自分の身体に何か問題を感じているから、この感覚は何処から来るのだろうというね、この縦軸に発達しているんですよ。
[*“理念”(哲学)と“身体性” 縦軸方向で発達している男 ]
今村有希
へぇ〜。
[*横軸(X方向)と縦軸(Y方向)があって、女性は横軸(X軸)方向で、女性の特徴として「事実」にこだわるが、その様々な事実を「同一化」するので、事実と同一化を横軸方向の両軸に置く。それに対して男性は女性の横軸に垂直に交わるような縦軸(Y軸)方向で、上下両軸の上方向は「理念」(若しくは抽象)をとり、下方向には「身体性」をとる。くわしくは動画を参照ください。]
やっぱり、酒場で変なのはね、僕の好きな集まりはこうだな・・・5人の集まりだとしたら、そのうちの一人か二人は女性がいて欲しいの。
うん。
今村有希
へぇ〜。
少数派でいい。まぁ2.5人でもいいですけどね(笑)
いや、先生のまわり女性ばっかりですよ。
今村有希
(笑)
でも酒場行くとね、
今村有希
はい。
男だけの集まりとかさ、女だけの集まりとかってのも結構目立ちますよねぇ?
[*男女がどちらかだけの集まり酒場で目立つ ]
女子会とか、
女子会!?(笑)
今村有希
アハハハハ(笑)
いや本当に分かれて、女子だけでしかなかなか話せないあれがあってという。
僕の場合で言うとね、男って得てしてこっち(縦軸方向の「理念」と「身体」)に行っちゃうでしょう。
今村有希
はい。
なんかわけのわからない抽象的なとこまで来ちゃったなという時にね、ふと周りを見るとですよ、女ってのは、「何なのその難し気な屁理屈は?!」って顔があるから、
今村有希
はい(笑)
何か女性の目付きとか反応で、自分自身を修正出来るのね。
[*抽象的な話題も女性の反応で方向修正 ]
今村有希
へぇ〜。
フェミニンなんですよね。ある時ね(西部を指差して)「フェミニズムの敵として」、
西部・今村
(笑)
荒らされてたけど、実は実際はものすごく優しいしあれだと思う。
今村有希
うん(深く頷く)
むしろ僕は若い人の方が全然ホモソーシャルで、
ワッハッハ(笑)
男ばっかで、あのオタク世代の連中たちって見てますけども、男ばっかりで飲んでるんです、これが。
今村有希
ふう〜ん。
ほんとこれ昔話ですけどね、外国に2年居て、イギリスから帰ってきて行ったのがビアホールでした、大手町方面の。夕方5時か5時半か忘れましたが、大きなビアホールで収容人員500名でしょう。本当に恐怖を感じたのは、大手町ですからサラリーマン街ですね、その500人ぐらいが満杯になって全員男なの。
おぉ〜!スゴイですねぇ(笑)
全員(男)。まぁあの辺りは高給(取りの)サラリーマンなんでしょう、何処を探しても女性の姿が1匹も見つからないというね。
今村有希
へぇ〜。
あの時は何か、スゴイところに帰ってきてしまったなぁ、という。
う〜ん。この話(女性男性を横軸縦軸に準えた話)ってすごく面白いなぁと思ったんですけど、
今村有希
うん、
なぜ女性が「事実」で、男が「観念」なのかというと、やっぱりどう考えても、それは(女性は)子供を産むからだろうなぁと。
うん。
今村有希
(頷く)
[*「女性は時間に遅れてくる権利がある」三島由紀夫 ]
うん。
何故ならば、自分が生理の時間を持っているわけだから、時間感覚というのは外部に求めなくても自分の身体の時間に合わせればいいんだと。
今村有希
へぇ〜。
で、男はそれ(自分自身の生理の時間)が無いから高い時計を買いたがるとかね。
今村有希
はー。
で、高い時計というのは、これは「観念」みたいなものだから、
まぁそうだね。
ということは何かというと、やっぱり男性は弱いわけですよ。というのは、生物的に言えば女性と精子さえあればいいわけですね。
うん。
そうでしょう?人工授精出来るんだから。
今村有希
はい。
「精子的価値しかない男性」が、何とか自分たちの存在意義をもう社会としてあれしなければいけないから、(グラフを指して)「観念」とか、
戦争しよう!
「戦争」してみたりとか。僕その(男性故の)弱さをね、特に日本の男性ってのはレディファーストも無いし、もう奥さんをお母ちゃんってなっちゃうわけですよ。
今村有希
はい。
弱さに対して、もっとちょっと(男性自身が)自覚すれば、男性も女性も(西部)先生が言うように対等に。
今村有希
(うん)
そうねぇ。ですからね、男女が関係無くしてしまうと、例えば、分かりやすく言うと、女性たちがこういう言語社会(縦軸の無い、横軸の「事実」だけの言語社会)作っちゃうでしょう。
今村有希
はい。
そのうちにね、人間には記憶力の限界がありますから、昔に言ったこの辺りのことを忘れてね、あの人たち嫌ね〜、或いは、あのケーキとこのケーキのどこが違うの?、みたいなこういうなんか宙に浮いた話になってくる。
[*女性だけだと断片的事実の宙に浮いた話になりがち ]
今村有希
(笑)
[*男だけに任せると、理念や身体性の断片に偏る ]
今村有希
フフフ(笑)
うん。あの僕はやはりね、日本の男というのは高尚のような事を語っているように見えて子供っぽいと思っていて、
今村有希
はい。
で・・・僕はアイドル評論家の身だからあんまり言えないんですけど、グラビアアイドルってあるじゃないですか?
今村有希
はい。
よくひと頃あれした。で、みんな見ると大体パターンが同じなんですよね。ものすごい童顔でものすごい巨乳なんです。
ほぉーあぁそう(笑)
今村有希
はい(頷く)
西部・今村
あぁ〜。
分かります?顔が子供でオッパイがママなんです。
あぁ〜。すごい説明だね、分かりやすいねぇ(笑)
今村有希
(爆笑)
対等な女性関係が苦手なんですよ。だから、西欧のいわゆるカッコイイ女性、あぁいう人、キャリアウーマンで何でも出来て。
今村有希
強さに押されちゃうんですか?
ここにいますでしょう、西部先生は珍しいなぁと思っていて、例えば、僕ら酒場に行くじゃないですか。そうすると、今村さんとかに「今村さん」とこう言うんですね。対等なんですよ。
今村有希
はい。
(笑)
こういうタイプの人って、だいたいお酒飲むと、どんな年下の女性にももうオネーチャンなんて言い出す。
いや、僕はお嬢さんと言うよ。
一同
(大笑い)
本当のことを言うと、「会話」ってね、(ちょっと黒板が)汚くなっちゃったけど、男女が付き合ってると、この辺りのことがなんかね、まぁ「円形」(X軸とY軸が交わるところを中心点として円状のものができる)ほど上手くいかないけれども、
中森・今村
うん。
水平(女性の横軸)も長さを持つし、垂直(男性の縦軸)もある高さを持っていて、この範囲になんとなく“落ち着き”とか“面白さ”というのはこういうことなんですね。
[*会話の落ち着き面白さは、男女の垂直と水平のバランス ]
えぇ。
今村有希
はー。
あんまり(中心点から離れた)端っこまで行ってさ。
今村有希
えぇ。
あの、いま仰るようにその女子会なら女子会、オタク趣味の青年ならオタク趣味の青年、『タコツボ化』って言うんですか?
あぁ〜。
こう混ざらなくなっちゃいましたね。混ざらなくてもいいような感じになっちゃって、つまりは趣味のサークルをネットで探して、それで上司なんかと呑むと、まぁ上司ったってロクな上司じゃないんでしょうけど、すぐねパワハラみたいなことに持っていかれちゃうし、
うん。
こういうふうに(横軸と縦軸が)混ざり合って、それこそコミュニケーションで「中庸」を求めるみたいな感覚が極端に失われているかもしれませんね。
あぁ〜そうだね。ただ時々ね、そうは言うものの、あれイギリスでさ、紳士クラブとか淑女の、男女こう分かれる時があるでしょう?
中森・今村
はい。
あれもまた必要な時があるのよ。男と女の間には、亡くなった・・・野坂さん?
野坂さん、野坂さん!
今村有希
はい。
(男と女は、野坂の歌の如く)やっぱり通じないところがあるの。時々ね・・・(渋い表情で)男と付き合いたいと。
今村有希
アッハハハ(笑)
う〜ん(頷く)
ジェントルマン・クラブでさ(笑)
うん、あります。
女性もさ、そういう時あるだろうとは思う。
今村有希
はい(笑)
だから、のべつ幕無しに男女が交流すればいいとも思わないから、そこらへんが難しいか。まぁ兼合いですけどね。
今村有希
はい。
まぁでもそういうふうに違うから、コミュニケーション出来るって面白さがあって
そうそう。sociabilities(ソーシャビリティーズ:社交)、どういうわけか複数(形)で使うらしいけどね、
今村有希
はい。『社交の場が我々を有り余る魅力で惹きつけるのは、我々を益々激しく苛もうとしてそうするのである』(ホセ・オルテガ)というね。
う〜ん。
これオルテガって人なんだけどね。
なるほど。
今村有希
はい。
やっぱりその「社交」というのはね、単に楽しむ場じゃないんですよね。
うん。
やっぱりそこで、ある苦しみ、不愉快、なんかそういう快楽と苦痛ね、
今村有希
はい。
快苦微妙にバランスをとらなきゃいけない場所で、『人間性の訓練の場』なんですよね。
[*社交の場は快苦のバランス、人間性を訓練する場 ]
うん、放っとくとね、ドンドン楽な方に行くわけじゃないですか、さっき言ったようにスマホひとつ持っていればなんでも出来る、便利だ。でもそれが、便利であることが豊かなことかと言えば、違いますよね。
[*スマホひとつで何でも出来る、便利さと豊かなこととは違う ]
そうですよね。
苦も受け入れることによって。
そうなんですよね。だから、スマホってのは何か、あそこに全て世界の情報が入っていると、自分で世界を弄んでいるつもりだけど、結果として言えばね、これ(=スマホ)が世界だとしたら、世界に弄ばれてさ、自分が(横軸縦軸の)あっち端こっち端、上にも下にもぶっ飛ばされてしまって何もかも忘れましたとみたいな。
[*スマホで世界を弄んでいるつもりが、自分が弄ばれている ]
今村有希
はい。
でも、それは誰が悪いんでも無いね。
うん。
思う。何か人間というものの奥底にそいういうね、何かやっぱり“便利なものに群がる”とか、“刺激的なものを求める”とかさ、もっというと“簡単なものに飛びつく”とか、何かこう旧石器時代から人間の背中にそれが埋め込まれていて、
[*“便利さに群がり” “刺激を求め” “簡単なものに飛びつく” (旧石器時代から人間の背中に埋め込まれている) ]
今村有希
はい。
それを自覚するのはどういうわけか、旧石器時代から中森先生のような、・
いやいや、
少数派だけ。僕もそうなんだけど(笑)
今村有希
(笑)
僕はそれは、そういういものに対して当たり前のことに対して真に疑う知性というか、そういうのが僕は「若さ」だと思っていて、
[*当たり前なものに対して真に疑う知性が若さ ]
今村有希
うんうんうん。
それで、西部先生なんかを聞いてると「永遠の若者」だなぁと。
今村有希
へぇ〜(笑)
若者と言ってるよ(笑)
真の意味での若者だなぁというふうにして聞かせて頂きましたけども、今日は本当に。
僕は左翼運動をやっていた、もう60年も前よ。
今村有希
はい。
「若者よ〜♫」という歌を聞いたときに、僕ね、まだ19、20歳だった。
今村有希
はい。
どうみても僕の耳には「馬鹿者よ〜」と聞こえてきてさ(笑)
中森・今村
(笑)
後は「身体を鍛えておけ」と言うんだけどね、馬鹿者が身体を鍛えたらロクなことが起こらないなというふうに、(当時の)若者の僕は思ってた。
うん。
なんかそういうこう自己批評って必要ですよね。
うん。
ということで・・・
中森・今村
はい。
2回目、いろいろ面白いことをありがとうございました。
はい、ありがとうございました。
今村有希
ありがとうございました。